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堕ちた巨艦・東芝、一大粉飾事件&上場廃止の恐れも 不正会計に走らせた“焦り”
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150518-00010001-bjournal-bus_all
Business Journal 5月18日(月)6時2分配信
5月8日、東芝は過去に不適切な会計処理が行われたとして、2015年3月期連結決算の公表を6月以降に延期すると発表した。15年3月期の業績予想を取り消し「未定」とし、期末配当の見送りを決めた。期末の無配は10年3月期以来5年ぶり。東芝は第三者委員会を設置し、調査を進める。不適切な会計処理を理由に決算発表を延期するのは、異例のことだ。
8日の発表に先立つ4月3日、東芝は14年3月期のインフラ関連工事の会計処理に問題があったとして、室町正志会長をトップにした特別調査委員会の設置を発表している。特別調査委の調査が進む中で、原価の見積もりの過小評価以外にも、調査が必要な事案が出てきた。不適切な会計処理が14年3月期より前の期にも行われていた可能性が明らかになった。
不適切な会計処理が行われたのは、コミュニティ・ソリューション、電力システム、社会インフラシステムの社内カンパニー3社とその関連会社だという。508億円の最終利益を上げた14年3月期連結決算については、「少なくとも修正の必要がある」と説明している。不適切な会計処理がいつから、誰の指示で行われていたかなどは究明されていない。
●監理銘柄指定や上場廃止の可能性も
東芝は5月13日、午後11時45分という深夜に、「不適切会計の現時点での業績の影響」を発表した。東京証券取引所や投資家から「情報が少ない」「タイムリー・ディスクロージャーをすべき」といった苦情が寄せられたことから、「少しでも早くわかっている状況を説明すべきだと判断した」(東芝)ため深夜の発表になったとしている。
発表によると、14年3月期までの3年間に営業損益ベースで累計500億円強の利益がかさ上げされていた可能性があるという。東芝単独のインフラ関連工事にかかわるもので、今後、第三者委で他事業を含めた全社的、網羅的な調査が行われることになっており、影響は今後さらに広がる可能性がある。
東芝は、影響する金額が判明した場合には「速やかに公表する」としている。最終的な修正額は第三者委の判断待ちであり、500億円強に上る営業利益下方修正の可能性を公表したが、「第三者委の判断が、これと異なる可能性はある」(同社)という。
「依然として不透明感が強く、東芝が優良企業のイメージを取り戻すためには、多くの時間が必要になるだろう」(市場筋)との見方も強い。上場廃止基準に抵触する恐れがある場合、その事実を投資家に周知するため、東証で監理銘柄への指定が検討されることになる。その場合、6月末までに有価証券報告書が提出できなければ、「監理銘柄(確認中)」に指定される。さらに、7月末まで提出できなければ上場廃止になる。
上場廃止の可能性が低いが、投資家の東芝株離れは避けられない。14日に株価は小反発したが、短期筋の個人投資家による買いが中心で、機関投資家は持ち株を減らす動きが強まっている。たとえ7月末までに有価証券報告書を提出できたとしても、「虚偽の記載」などがあり影響が重大と判断されれば、「監理銘柄(審査中)」になる。
また、監理銘柄の指定を解除されても、内部管理体制に改善の必要があると東証が判断すれば、「特設注意市場銘柄」に指定される。1年以内に内部管理体制確認書の提出が求められ、その内容が不十分なら上場廃止になるわけだ。
東芝が越えなければならない高いハードルがいくつもあり、経過の報道があるたびに株価は波乱を起こす懸念もある。
●現・旧経営陣の責任問題
今回の不適切会計について東芝が詳細説明や情報公開をしないことに対し批判が高まる中、発表から1週間が経過した5月15日、ようやく田中久雄社長が記者会見を行った。田中氏は「内部統制が必ずしも完全に機能していなかった」と語り、意図的な不正や会計操作があったかどうかという点については「第三者委が調査する」と述べるにとどめた。
不正が行われた金額が拡大する懸念が強まっており、有価証券報告書の提出期限である6月末までに決算を発表できるかどうかの「メドは立っていない」(田中氏)。6月下旬の株主総会で例年、決算が報告されているが、上旬までに発送される株主総会の招集通知に決算掲載を間に合わせるのは困難だ。「まず株主に調査の経緯を報告した後、調査終了後に正式な株主総会を開くことになるのではないか」(東芝関係者)との見通しも出ている。
すでに発表された第三者委のメンバーは、元東京高等検察庁検事長の上田広一弁護士が委員長に据えられ、委員は松井秀樹弁護士と伊藤大義公認会計士(元日本公認会計士協会副会長)、山田和保公認会計士。第三者委はすべての部門と海外を含む連結子会社を対象に調べる。
田中社長は「内部調査の過程で、インフラ以外に疑義がうかがえる点が出た」ことを明らかにしており、不適切な会計処理の範囲や金額が、500億円より膨らむ可能性がある。田中氏のほか、これまでの経営トップも第三者委の調査対象になるとみられており、現経営陣や過去の経営トップの責任問題に発展することも十分にあり得る。
●東芝の“焦り”
不適切会計発覚のきっかけは、関係者による証券取引等監視委員会への内部通報だったことがすでに判明している。
「08年のリーマン・ショックによる業績落ち込みからの回復で、ライバルの日立製作所や三菱重工業に遅れを取り、その焦りから社内でのノルマが厳しくなっていたことも、今回の事件の底流にある」(東芝関係者)
田中氏は15日の記者会見で、過去の決算で営業損益減額修正の必要が生じた工事は9件あり、その大半は国内案件だと説明した。判明したのは社内カンパニーの電力システム社で4件(約60億円)、社会インフラシステム社で4件(約300億円)、コミュニティ・ソリューション社で1件(約140億円)となっている。
「粉飾決算が発覚する可能性もあり、そうなれば東芝の経営は大きく揺らぐ事態に発展する」(市場筋)ともいわれる中、予断を許さない状況が続く。
(文=編集部)
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