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イスラエルは農業の生産性の高さでも知られている(写真はイスラエル南部の農業共同体の花畑で、ラナンキュラスの花を摘む子供)〔AFPBB News〕
中国の対イスラエル投資が急増 乳業大手やデジタル企業に相次ぎ投資、イスラエル側も歓迎
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43806
2015.5.18 Financial Times
(2015年5月15日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
イスラエルが先月、同国最大の農業技術会議「アグリベスト」を開催した時、会議に出席するためにイスラエル中部レホボトに足を運んだ代表団の10人に1人は中国から来ていた。
その数週間前には、中国の電子商取引大手アリババ集団の大勢の代表団が、サイバーセキュリティーに関するイスラエルの主要会議「サイバーテック」に出席するためにテルアビブを訪れていた。
サイバーセキュリティーは安全保障意識の高いイスラエルが秀でた分野だ。アリババは1月、QRコード技術に特化したイスラエル企業ビジュアリードに出資した。
中国企業はかつてないほどイスラエルに深く、幅広く進出しており、イスラエルの企業と政府当局もその抱擁に応じている。
イスラエルのクラウドファンディング企業アワークラウドの創業者兼最高経営責任者(CEO)、ジョン・メドベド氏は「双方の政府から、こうした通商関係が花開き、栄えることを認めるコーシャ認定印が得られているようだ」と言う。
今から10年前、中国の対外投資は主にアフリカ、中南米などで天然資源の供給を確保することに焦点が当てられており、国営のエネルギー・鉱業企業が投資主体となっていた。
■大きく変わる中国の対外投資
今では、急増する対外投資は次第に中国が国内市場で持たないブランドと技術をターゲットにするようになっており、国営企業だけでなく民間企業もカネをつぎ込んでいる。中国の対外投資は年内に初めて、2014年に1280億ドルに達した対内外国投資を上回ると見られている。
「イスラエルに対する関心は、中国の明確な戦略的目標から来ている。その目標とは、ほかの人がやっていることを真似てやる――ただし、もっと安くやる――だけでなく、自らが投資家のリストに名を連ねることにおいても一大勢力になることだ」。イスラエル国家安全保障研究所(INSS)で中国フォーラムを運営するオデッド・エラン氏はこう話す。
中国の光明食品集団(ブライトフード)は最近、イスラエル最大の乳製品メーカー、トゥヌーバの経営権をプライベートエクイティ企業エイパックス・パートナーズから買い取ることについて中国政府から正式承認を得た。この案件はトゥヌーバの企業価値を20億ドルと評価している。
中国人はかつてないほどチーズを食べるようになっている。
だが、光明食品は、トゥヌーバに投資するのは「イスラエルが農業と農業経営の質で有名なためだ」と言う。
今回のトゥヌーバ買収は、中国化工集団(ケムチャイナ)が2011年に当時マクテシム・アガンの社名で知られていた農薬・作物保護企業アダマを24億ドルで買収して以来最大の中国企業によるイスラエル企業買収だ。
中国マネーがイスラエルに流れ込み始めたのは最近で、これまでのところ政治的反発にあまり遭わずに済んできた。地中海に面した都市アシュドッドで建設会社、中国港湾工程(チャイナハーバー)が建設している総工費33億シェケル(8億6300万ドル)の新しい港のような重要なインフラプロジェクトでさえ、さほど反発に遭わなかった。
■欧州から新興国へシフトするイスラエル
イスラエルにおける中国の経験は、米国と好対照をなす。米国では、当局が2012年に風力発電所に対する中国の投資を阻止し、最近では、中国政府が米国軍事企業に対するハッキング攻撃に関与しているとの懸念を表明している。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相〔AFPBB News〕
実際、数日内にイスラエル新政府のトップに就くベンヤミン・ネタニヤフ氏は自国の貿易関係を、今でもイスラエルにとって断トツで最大の商業的パートナーである欧州から新興国へシフトさせる政策を積極的に追求してきた。
イスラエルはBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)との貿易が比較的少ないため、この目標は実際的であり、同時に政治的でもある。
一部の欧州諸国は、パレスチナ人との未解決の紛争におけるイスラエルの強硬姿勢と見なすものを批判しており、イスラエル当局者は政治的な波紋を恐れているからだ。
「時折、世界の他地域で『イスラエル国家』と言うと、相手の頭に別のことが浮かぶことがある」。北京駐在のイスラエル商務官、オフィール・ゴア氏はこう話す。「中国で『イスラエル』と言うと、人々はイノベーション、ハイテクという言葉を思い浮かべる。だから、その意味では、ここでの私の仕事はかなり楽だ」
イスラエルの対中貿易額は昨年110億ドルに達し、2010年実績のほぼ2倍に上った。
だが、中国がイスラエルの貿易全体に占める割合はまだ10%に満たず、イスラエルの貿易の3分の1が欧州、4分の1が北米向けだ。
イスラエルの経済省によると、アダマやトゥヌーバのような大型買収に加え、中国の投資は比較的規模が小さい企業にも向かっており、ハイテク、農業科学技術、水管理への投資が目立つという。
中国最大の検索エンジン、百度(バイドゥ)はイスラエルの動画キャプチャーベンチャーのピクセロットに300万ドル出資した。また昨年11月には、中国沿岸部の平野に位置する寿光市が、水再利用と淡水化のイスラエルのイノベーションを展示することを意図した「水都市」プロジェクトを立ち上げた。
■市場およびパートナーとしての中国に利用価値
一方、10億人以上の人口を擁する中国は、消費市場および商業的パートナーとしてイスラエルの役に立つことができる。
「我々は優れた発明家であり、モノを開発することに長けている」。アグリベストを企画した会社を経営するトッド・ドリンジャー氏はこう言う。「だが、我々の生産能力は中国の能力に遠く及ばず、我々は主要市場からとても遠く離れた場所にいる――イスラエルは事実上、島であり、他者のパートナーになった時に最高の成果を上げられる」
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