http://www.asyura2.com/15/hasan96/msg/562.html
Tweet |
日本は当面は問題が少ないものの、「巻き添え」をくらう可能性が残っている(写真:vichie81 / PIXTA)
日本株は大幅下落する可能性が残っている 震源地はやっぱり「買われすぎている」あの国
http://toyokeizai.net/articles/-/69950
2015年05月17日 馬渕 治好 :ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト 東洋経済
内外市場が、どうもすっきりしない。一方的に株価が下落し続けているわけではないが、かと言って上昇基調を明確にしているわけでもない。米S&P500は5月14日(木)、15日(金)と、連日史上最高値を更新はしたが、これまでの高値水準をごくごく僅差で抜いたに過ぎず、NYダウは(これもぎりぎりではあるが)まだ高値を抜けていない。
■いま世界のマーケットで起きている「2つのこと」
両者とも、チャート上は「保ち合い」に近い状態だ。ナスダック総合指数に至っては、4月24日(金)の終値ベースの高値から、下落基調へと、片足を踏み入れているようにも見える。
ここで、現在の世界市場の様相を、2つにまとめてみよう。なお、下記で挙げる2つの特徴は、どんどん強まっているというより、時折巻戻しも交えながら、「二進一退的」に進行していると言える。
(様相1)欧米で、株価下落と長期国債価格の下落(利回りの上昇)が、同時に起こる局面が目立った。
(様相2)これに加えて、米ドルが独歩安の様相をじわじわと強めている(したがって、米国株価軟化、米債券価格下落と合わせて、米国で「トリプル安」がしばしば生じている)。
米ドルは、対円で見ると頭が重い、といった程度だが、対ユーロでは1ユーロ1.05米ドル近辺から1.14米ドル台へと、明らかに下落している。
こうした現象が起こっている理由は、次の2つの「市場の行き過ぎ」が限界に達し、その反動が生じていることだと考えている。
(行き過ぎ1)これまでの米国の緩和気味の金融政策や、日欧の量的緩和を過度に騒ぎたて、「世界でおカネがあふれまくっている、だから世界の市場動向は何でもカネ余りで説明できる」という「カネ余り中心主義」に毒された投資家が、日米欧の株式も長期国債も買い上げた。このような、行き過ぎたカネ余り幻想の化けの皮が、特に欧米で、はがれ始めている。
(行き過ぎ2)世界中で米国経済が最も安心できる(これ自体は事実だ)という考えから、世界の株で買えるのは米国株だけ、世界の国債で買えるのは米国国債だけ、世界の通貨で買えるのは米ドルだけ、という「米国一極主義」が行き過ぎた。
■「買われすぎている米国」の「帰結」はどうなるのか?
結果としてPER(株価収益率)からみた米国株価(後述)、米経済指標の動きと比較した米国債利回り、購買力平価などと比べた米ドル相場が、ことごとく買われ過ぎを示唆している。このため、米国におけるトリプル安が生じ始めている。
こう見ていくと、肝心なのは、「どこまで株価などの調整が進むのか」という点だ。
日経平均株価が下落するとしても、特に日本国内で深刻な状況が発生している、ということでは全くない。
前述のように、行き過ぎた世界のカネ余り期待と米トリプル高の反動が起こり、それに日本株が巻き込まれるという展開だ。したがって、まず米国株の調整メドを考えよう。
予想PER(米ファクトセット調べ)の週平均値を見ると、米S&P500指数ベースで、直近の5月15日(金)に終わった週は、17.7倍に達している。2006年以降の期間における平均値は14.9倍だ。企業収益が一定で、株価の変動のみによって、17.7倍のPERが14.9倍まで調整すると仮定すれば、約16%米株価が下落することになる。
もし米国株が下落したとき、日経平均株価が、米株価と同率下げなければならない義理も人情もない。
■1万7000円割れはなくても1万7000円台否定できず
ただ、ざっくりと5月15日(金)の終値である1万9732円から16%下落するとすれば、1万6575円となる。
これはあくまでも目安に過ぎず、1万7000円割れの可能性が高いとまでは考えていない。だが、1万8000円を割れて1万7000円台のどこかまで株価が下押しすることは、否定できないと考えている。
ただし、今週からいきなりそうした下落相場に突入はしないだろう。今週は極めて手掛かり材料が少ない週だ。国内企業の決算発表は一巡し、日銀の金融政策決定会合(5月21日(木)〜22(金))は無風だろう。海外発の材料も見当たりにくい。
したがって、中期的には海外の相場調整に日本株が巻き込まれると懸念しているものの、その中で今週は膠着状態となり、日経平均は1万9500〜1万9950円での推移となろう。
これまで筆者が執筆した当コラムでは、4月19日付「日本株の崩落が、いよいよ始まった?http://toyokeizai.net/articles/-/67005」、5月4日付「連休明けの『マーケットの波乱』に注意せよhttp://toyokeizai.net/articles/-/68703」と一貫して、海外発の市場波乱が拡大し、それに日本株も巻き込まれて下落する可能性が高い、と述べ続けていた。
上記の2つのコラムからのアドバイス視点は、繰り返しになるが「2つ」である。
株価下落時の安値で株を買うことができるように、いったん株式を売却して現金を用意すべきである、ということが1つ。
あと1つは、世界市場の波乱があるとすれば、実体経済が深刻化するわけではなく、先述のような2つの背景要因によるものだ。
したがって、長期的に株価下落が続くとは予想しがたい。数年単位で株式投資を考えている投資家や、積立投資で株式投信などをじっくり買っていく投資家は、特に何もする必要はない。
特に気を付けてほしいのは、株価が大幅に下がった後から、今さらのように悲観論を唱える専門家に惑わされて、最安値で手持ち株を売却してしまうことだ。そうしたことだけはしないでほしい。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。