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日銀、黒田総裁の評価
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52702987.html
2015年05月16日 在野のアナリスト
黒田日銀総裁が、読売国際経済懇話会(YIES)にて講演を行いました。消費者物価2%への自信を示すとともに、量的・質的金融政策の効果を強調しました。黒田氏は雑誌で、個人的な経済人脈を明かしていますが、米元財務長官のサマーズ氏や、経済学者のスティグリッツ氏など、錚々たるメンバーです。最近、市場では黒田氏の無能ぶり、問題を指摘するような発言が目立ってきたので、先手をうって海外の権威を借りて、自らの正当性を主張し始めたのでしょう。
そんな日銀から、発言を否定するような指標が発表されています。4月企業物価指数が消費税増税の影響を除いたベースで2.1%下落と、デフレに逆戻りした印象すら受けます。前月比では、8月から一貫して右肩下がりでしたが、3月に0.3%上昇し、4月も0.1%上昇と、辛うじてプラスを維持しましたが、下げ止まったというより、年度末、年度初めの特殊要因で少し切り返した、とみています。原油が少し価格をもどしてきていますが、この影響が今後どの程度でてくるか。それによっては、デフレに逆戻りすることも意識しておく必要がでてくるのでしょう。
製品別では、石油・石炭製品の下落が大きいのはその通りでも、鉄鋼や製材など、素材関連の落ちこみが大きくなり、また電子機器なども落ちています。海外も含めた消費不況が原因なら、しばらくは過剰感からも生産が落ち込む恐れも出てきます。4月以降、軽自動車の落ちこみも目立ちますし、輸送機器までデフレ傾向を示し始めたなら、要警戒というところです。
内閣府発表の4月の消費者態度指数を「持ち直し」で、内閣府は判断を据え置きました。しかし前月比0.2pt低下し、41.5となるなど、下落傾向も示してきました。しかも5ヶ月ぶりに低下したということより、下がった項目が暮らし向き、収入の増え方、耐久消費財の買い時判断、というのが問題です。賃上げを企業に要請しつつ、収入の増え方に相変わらず実感がない。しかも暮らし向きが苦しくなっているのと合わせ、消費意欲の減退も示しています。これはWindows10の発売を控え、電子機器などに購買意欲が向かわないことと同時に、自動車増税の影響が出ているとすれば、やはり消費の減退を意識させる数字ということになります。
1年後の物価見通しについて、上昇すると答えた人が増えて89.2%となり、その中でも2〜5%が41.7%と、最大です。しかしこれはアナウンス効果であり、日銀や政府が2%に誘導する、といっているのでそうなる、と考えている人が多い、というに過ぎません。実際、インフレ予想が増えても、暮らし向きが悪化しているのですから、より家計は防衛的にならざるを得ず、それが消費意欲を減退させる一因になっているかもしれないのです。日銀の金融政策の結果、誰もがインフレを意識するようになりましたが、それで消費が喚起される、という説明だったはず。それが覆されつつあるのです。黒田氏が始めたイイワケ、著名人の名をだしてきたところをみると、そろそろ自身の政策の失敗についても、意識し始めているのでしょう。消費税増税の影響を「想定外」と述べていますが、量的・質的金融緩和の効果についても「想定外」だったとしたら、日本は舵取り役を失って漂流することになるのかもしれません。一部の経済の専門家は、増税の影響について正しく推計している人もいました。今となっては、そうした分析もできない人がこの一年、金融政策を担ってきたという事実だけが残りました。4月の経済指標がこれから出てきますが、まさに黒田氏にとって、政策の評価がでてくるタイミングという意味では、自身の評価が「持ち直し」で据え置けるか、にかかってくることになるのでしょうね。
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