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5月14日、大統領の貿易促進権限(TPA)法案をめぐり、米上院本会議が審議入りをいったん否決し、日本国内では環太平洋連携協定(TPP)交渉の月内大筋合意は困難になったとの見方が急速に広がっている。ワシントンで8日撮影(2015年 ロイター/Yuri Grip)
焦点:TPP月内大筋合意困難の声、TPAで米民主足並み揃わず
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPKBN0NZ0KL20150514
2015年 05月 14日 17:01 JST
[東京 14日 ロイター] - 大統領の貿易促進権限(TPA)法案をめぐり、米上院本会議が審議入りをいったん否決し、日本国内では環太平洋連携協定(TPP)交渉の月内大筋合意は困難になったとの見方が急速に広がっている。13日に上院では再度、審議開始手続きをとることで合意したものの、多数の修正要求が与党・民主党から提案されている現状では、TPA法案の早期成立はほとんど不可能に近いとの声が多い。
15日からグアムで開催されるTPP首席交渉官会合は当初、来週中のTPA法案成立を前提にしていた。グアムでの協議において「地ならし」を終え、5月末に12カ国閣僚会合で「大筋合意」するというシナリオは、崩れ去ったとの指摘も出ている。このままTPAの成立がずれ込めば、TPP交渉が「漂流」する可能性が急速に高まることも予想される。
米上院では12日、TPA法案の審議開始に必要な動議の採決が、賛成52、反対45と、必要な60の賛成票を得ることができずに否決された。TPPを支持する共和党議員が賛成に回り、民主党議員のほとんどが反対票を投じた。民主党議員の間では、TPPで国内産業が空洞化し雇用が失われるとして慎重派が多い。
議会では、その後の与野党協議で14日に再度動議を採決することで合意した。可決されれば、来週から上院本会議で審議が始まる見通し。
<TPA審議入り否決はオバマ政権に打撃>
米議会の動向に詳しいアジア太平洋資料センターの内田聖子事務局長は、上院でいったん審議入りが否決されたことは「米政府にとってかなりのショックだった」とみている。
その後の協議であらためて審議入りについて採決することが決まったものの、このままでの法案可決に反対する民主党内の勢力は予想以上に強く、「すでに200近い法案修正要求が出されており、収拾がつかない状況。もし来週審議入りすることになったとしても、22日に議会が休暇入りする前に可決に至ることは不可能」だとみている。
米議会は22日から6月1日まで、メモリアルデーの祝日で休会する。内田氏は今後の見通しとして「最短でも6月半ばごろに上院で可決、6月末に下院で審議入り」と想定。下院の審議は上院よりも困難とみられるため、可決までにはかなりの日数がかかると予想している。
過去に日米貿易交渉にかかわったある政府関係者は、12日の採決で民主党議員のほとんどが審議入りに反対したことは、オバマ政権にとって大きな打撃だと指摘する。「大統領がいろいろな場面でTPP妥結の必要性を説いているにもかかわらず、与党議員がその意向に従わないということは、普通考えられない」と述べる。
こうした現政権の指導力の弱さを見せられると「TPP交渉の参加国は米国との交渉に疑心暗鬼となり、交渉妥結に向けた切り札を出そうとしないだろう」(同)という。
<交渉「漂流」の懸念も>
キヤノングローバル戦略研究所・研究主幹の山下一仁氏は、こうした状況を踏まえ「月内のTPP閣僚会合による大筋合意の可能性はなくなった」と断言する。
来年は米大統領選挙の年。年明けからオバマ大統領の政権担当能力は実質的にほとんどなくなるとみられている。現政権下でTPPが批准されるためには、事務作業にかかる期間などから逆算すると、6月中の大筋合意がぎりぎりの期限となる。
山下氏も「TPA法案は、いつかは議会を通過するだろうが、それが6月、7月にずれ込むとなると、TPP批准までに必要とされる半年後、大統領選挙に突入していることになる。一時的にTPPが棚上げにされると、次期政権に対する思惑など、様々な不透明要因が出てくるだろう」と懸念を示す。
内田氏は「時間的にはどんどん状況が厳しくなっている。オバマ政権下でのTPP批准は難しくなってきた」と指摘、「過去の世界貿易機関(WTO)交渉のように、TPP交渉が『漂流状態』に陥る可能性は十分ある」(元政府関係者)との見方も浮上してきた。
<TPA成立なくても、閣僚会合は開催か>
TPP交渉では、15─25日の首席交渉官会合を経て、26─28日に閣僚会合を開いて大筋合意を目指すというシナリオが予想されていた。5月23─24日にフィリピンでアジア太平洋経済協力会議(APEC)の貿易担当相会合が開かれるため、これに合わせてフィリピン、あるいはグアムで閣僚会合を開くという日程だ。
来週中にTPAが成立せず、TPP交渉で大筋合意の可能性がなくなったとしても、閣僚会合自体は開催される可能性がある。「閣僚会合をやめたら、TPPが漂流する可能性を自ら認めることになる」(内田氏)、「4月の日米交渉でかなりの進展があったことを受けて、それを全体に共有し、過去の閣僚会合のように、進捗状況を確認するという形で開催されるのではないか」(政府関係者)との見方だ。
(宮崎亜巳 編集:田巻一彦)
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