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日本経済は人口の高齢化やしつこいデフレなどに苦しんでいる〔AFPBB News〕
社説:アベノミクスは失敗してもリスクに過ぎない 安倍首相と黒田日銀総裁は一致協力を
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43767
2015.5.13 Financial Times
(2015年5月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
日本は人口の高齢化としつこいデフレ、労働市場とエネルギー供給における厄介な構造問題に苦しんでいる。財政状況は、畏怖を感じさせるほど悪い。こんな状況にある国は通常、最悪の事態に備えて計画を立て、ただ最善を祈るよう助言される。
ところが日本の内閣府は、今後何年も3〜4%の名目成長が続くとの前提に基づき財政予想を立てている。20年以上そのような水準に達していないにもかかわらず、だ。
名目ベースでは、日本は1990年代初頭の金融バブル崩壊以降、全く前進していない。
バラ色の財政予想はしばしば、政府の善意にとって致命的となる。内閣府の予想のために、安倍晋三首相は慢性的な財政赤字を抑制するための増税や歳出削減について、ほとんど準備せずに済むからだ。
他国であれば、そのような楽観主義は、予想を中立な第三者に委ねよという要求を招くだろう。
■日本経済を眠りから目覚めさせるために必要な薬
だが、日本は大半の先進国とは違う。一部には、数十年に及ぶ日本の成長停滞に、同じように不活発な欧州諸国の行く手に待ち受けることの前兆を見て取る人もいる。別の見方は、日本は異常値であり、まだ是正することができる悪いマクロ経済政策の実例だ、というものだ。
安倍氏の推進する金融、財政、構造改革プログラム「アベノミクス」は今なお、日本経済を刺激し、その眠りから目覚めさせるために必要な薬だ。
アベノミクスは不運に見舞われずにきたわけではない。消費税増税は消費者心理を悪化させた。原油価格の急落はインフレ総合指数の低下につながり、それが、消費者は年間2%の物価上昇を見込むべきだというシグナルを混乱させた。
さらに悪いことに、安倍氏と通貨膨張論者である黒田東彦日銀総裁はデフレの病を終わらせるうえでの財政政策と金融政策の相対的な重要性について意見が異なるように見えた。これらは現在のアプローチを中止せずに改善させる理由だ。
安倍氏と黒田氏の仕事は経済における期待を変えることであり、それを成し遂げる最善の方法は、内閣府の強気の予想が現実になるようにするという共通の意志を再確認することだ。
一方、2人はそれぞれの活動範囲にとどまるべきである。財務省出身の黒田総裁は、財政政策に干渉する筋合いはない。金融政策における安倍氏の役割は、黒田氏に極めて景気拡張的な前進命令を出すことに限られるべきだ。
首相の政治的資本は潜在成長率を2%に引き上げるための構造改革に費やした方がいい。こうした構造改革は一番難しい課題であり、特に日本の人口高齢化を考えると、財政予想において最も疑わしい要素だ。
■日本企業がため込んだ現預金にメスを
優先すべきは、財政赤字に対応する、日本企業の膨れ上がる資金余剰に対処することだ。
安倍首相は企業に賃上げを要求してきた〔AFPBB News〕
これまでのところ政府は、従業員に寛大になるよう企業に圧力をかけてきた。
もしこれが失敗したら――うまくいくという経済理論は存在しない――、次のステップは現金のため込みが高くつくようにする財政措置を含むべきである。
だが、労働市場が逼迫している兆候――失業率は15年ぶりの低水準に近付いている――は、市場主導の賃上げという伝統的な経路を通じて経済にお金を行き渡らせるかもしれない。
数十年にわたる優れた輸出力は、ドイツ、米国、英国の合計額よりも多くの外貨準備を日本に残した。
こうした外貨準備は、アベノミクスを批判する向きが警告している、通貨に対する突然の信頼喪失から日本を守る助けになるだろう。
今のところは、問題はまだ、日本円に対する信頼不足ではなく、過剰な信頼だ。その結果、日本円は投資に回されたり、投資されたりせず、貯蓄口座にしまい込まれているからだ。
もし失敗したら、アベノミクスは1つのリスクに過ぎない。その成功のために計画することが、まだ正しいアプローチだ。
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