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対円のウォン高が韓国経済を直撃している
円安・ウォン高の直撃受ける韓国経済 7年ぶりの水準、競争激化で輸出低迷、長期低成長の始まり懸念も
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43753
2015.5.13 JBpress
「東京に行ったが、何を食べても買っても安くてびっくりした」「湯布院と別府で温泉に行った。安くて楽しかったが、韓国人ばかりで海外旅行気分がしなかったのが残念・・・」
4月末から5月初めはじめにかけて、筆者の知人の多くの韓国人が日本に旅行に行った。口をそろえるのが、「円安のおかげで何でも安かった。これならまた行きたい」だった。
一方で、ソウルの観光中心地、明洞(ミョンドン)は中国人ばかりが目立つ。かつてどこからでも聞こえてきた日本語を耳にすることはほとんどなくなってしまった。
日韓間の訪問者数のこうした現象は統計にもはっきりと出ている。日本政府観光局と韓国観光公社がまとめた1〜3月の統計によると、日本を訪問した韓国人は94万7900人で前年同期比39.6%増だった。これに対して韓国を訪問した日本人数は50万1100人で同17.7%減だった。
この間、韓国を訪問した中国人数は同44.5%増の142万6000人。韓国を訪問する外国人に占める中国人の比率は45%になった。
■安くなった日本旅行は嬉しいけれど・・・
日本人が減少しても中国人が来てくれるから良いとは単純に言い切れない。
というのも、2014年末以降、日本を訪問する中国人の増加率がすさまじいのだ。1〜3月に日本を訪問した中国人数は92万3500人で、韓国を訪問する中国人数に及ばないが、その伸び率は前年同期比93.2%増。韓国の観光業界では「近いうちに日本を訪問する中国人数に追い抜かれる。今から対策を打つ必要がある」という声が出始めている。
さらに、日本人観光客が減少していることで、高級以上のホテルの空室率が上昇しているという。
「朝鮮日報」は最近、「日本人観光客急減して・・・特級ホテル‘客室売れ残り’」という記事を経済セクションで大きく報じた。
高級ホテルのなじみ客だった日本人が急減したことで、こうしたホテルの客室利用率が低下し、業績が悪化している。さらに客室料金の引き上げ競争も起きているという。
「円安・ウォン高」が観光業界を直撃しているのだ。
一体どの程度の「円安・ウォン高」なのか。
2015年4月28日。韓国の外国為替市場で一時、100円=898ウォンをつけた。100円に対して900ウォンを割り込んだのは、7年2カ月ぶりのことだった。5月10日に明洞の両替店をのぞいてみたら、100円=880ウォンだった。
■4年足らずで70%超の変動、自動車、電機業界に激震
円・ウォンのレートは、4年前の2011年10月初めには100円=1561ウォンだった。日本企業が東日本大震災直後に「超円高」に苦しんでいた時期だ。それから4年足らずの間に、74%もの「円安・ウォン高」が進んでしまったのだ。
これだけ為替レートが変わると、いろいろなところに影響が出る。
「毎日経済新聞」は、観光業界業への影響に関連した記事で、日本と韓国と空港免税店でも海外有名ブランド品価格を比較した記事を載せた。それによると、ウォンベースでも日本の空港の方が10%以上安い商品が続出。30%以上安い有名ブランド品も出てきたという。
だが、観光業界への影響はほんの一部でしかない。製造業の輸出に大きな打撃となっている。
韓国産業通商資源部がまとめた「輸出入動向」によると、2015年4月の輸出(速報値)は462億ドルで前年同月比8.1%減だった。韓国の輸出額はこれで4カ月連続してマイナスとなった。
最大の輸出先である中国経済の減速のあおりも大きいが、産業通商資源部は「円安・ウォン高」の影響もその一因と指摘している。
日本と韓国の企業は多くの分野で海外市場で競合関係にある。円安・ウォン高で、日本企業の価格競争力が向上して韓国製品が影響を受けている。
2015年4月の輸出を見ると、自動車が43億6000万ドルで前年同月比8%減、家電が10億7400万ドルで同24.3%減となった。このほか、無線通信機器や石油化学製品などが前年同月比マイナスとなった。
産業通商資源部は「特に自動車や一般機械で、円安、ユーロ安の影響があった」と分析している。
韓国輸出入銀行の分析によると、円・ウォンレートが、10%円安になると、韓国の輸出が4.6%減少する。最近の円安・ウォン高はそれだけ効いているのだ。
「輸出立国」である韓国にとって、輸出が4カ月連続でマイナスになることは深刻なことだ。
韓国銀行が2015年4月23日に発表した「2015年1〜3月期国内総生産(GDP、速放値)」は、前期比0.8%増だった。これで2014年4〜6月期から4四半期連続して0%台の成長になった。
韓国銀行は、不動産取引の増加で建設投資が増加したが、国内消費と輸出が伸び悩んだことをその原因として説明した。
■警鐘鳴らす現代自動車グループ会長
「厳しい時期が予想より長期化する恐れがある。緊張感を緩めないように」
新興市場などで大きく販売を伸ばしてきた現代自動車グループ〔AFPBB News〕
韓国メディアによると、現代自動車グループの鄭夢九(チョン・モング=1938年生)会長は最近、社内幹部との会議でこう話した。
2000年代以降、急成長を続けてきた現代自動車だが、ここに来て成長ペースが一気に鈍化してきた。
2015年1〜3月期の連結決算は、営業利益が1兆5880億ウォンで前年同期比18%減となった。深刻なのは、営業利益が4四半期連続して前年実績を下回っていることだ。
現代自動車は、2000年以降、ウォン安の追い風を受けて、中国、インド、ロシア、ブラジルなど新興市場で特に販売を大幅に伸ばしてきた。
円安・ウォン高で日本車との競争で苦戦する一方、こうした新興市場で自動車販売が一時ほどの勢いを失い、「成長パターン」の抜本的な見直しが迫られている。
さらに頭が痛いのが、労組の力が依存として強く、今の為替レートだと、韓国の工場の人件費が国際的にも際立った水準になってしまったことだ。
現代自動車の工場正規従業員の年収は1億ウォン前後だ。円換算で1000万円を超える水準で、世界でも最も高いと言えるだろう。
■韓国GM、生産ライン一部インドに移管報道も
「韓国GM 生産ライン一部インドに移管」
2015年5月5日。こんな記事が韓国メディアで大きく報じられた。米ゼネラル・モーターズ(GM)の海外事業担当社長がロイター通信とのインタビューで「過去5年間で人件費が50%も上昇したのは世界中で韓国だけだ」と語り、GMのアジアの生産拠点を韓国からインドに移転することを示唆したと報じたのだ。
韓国のGDP成長率は、2012年の2.3%から2014年は3.3%に上昇した。2015年については、韓国銀行は2014年4月時点では4.2%との見通しだった。しかし、その後、たび重なる下方修正で、4月9日に3.1%にまで引き下げた。産業界では「1〜3月期のGDP成長率を見ると、3%台も厳しい」という見方が増えている。
◇韓国のGDP成長率の推移(%)◇
2006年 5.2
2007年 5.5
2008年 2.8
2009年 0.7
2010年 6.5
2011年 3.7
2012年 2.3
2013年 2.9
2014年 3.3
為替レートの変動は、マイナス効果もあるがプラス効果もあるはずだ。
では、円安・ウォン高で恩恵を受けている企業はないのか。
冒頭で紹介した海外旅行に関連した企業はプラスだろう。さらに、日本から製品や部材を輸入するには良い機会だ。
韓国メディアは、円建て債を発行していたり、円建ての借入金がある企業も少なくないと報じる。
日本からの輸入が多かったり、借入金が多い「恩恵企業」として韓国電力、現代製鉄、ポスコ、韓進海運などの名前が証券市場では挙がっている。
だが、全体から見れば、円安・ウォン高は、韓国経済にとってマイナス面が多いようだ。
韓国政府は、近く、2014年秋に続いて「円安・ウォン高対策」をまとめる計画だ。韓国政府にとっては、「アベノミクス」はなんとも苦々しい思いだ。
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