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「韓国 脱財閥へのもがき」 だから私はサムスンを辞めた 日本人元社員がみたサムスンの「壁」
http://www.asyura2.com/15/hasan96/msg/358.html
投稿者 rei 日時 2015 年 5 月 11 日 07:53:08: tW6yLih8JvEfw
 


「韓国 脱財閥へのもがき」
だから私はサムスンを辞めた

日本人元社員がみたサムスンの「壁」

2015年5月11日(月)  齊藤 美保

 日経ビジネス5月11日号の特集では、大転換期にある韓国経済を取り上げた。その代表格であるサムスンで3月、複数の日本人社員が退社した。日本の技術を貪欲に吸収し、製品開発にいかしてきたサムスンに何が起こったのか。
 ソウルから車で1時間。賑やかな地方都市、水原(スウォン)の一角に、サムスン電子の水原事業所がある。スマートフォンなど家電のR&D機能が集約された、同社にとって最重要拠点の1つだ。

 今年3月、ある日本人技術者がここを去った。

 プリンター部門に勤務していた遠藤直也さん(仮名)。彼がサムスンを辞めたのは、目には見えないサムスンの「限界」に気付いたからだった。


業績低迷が続くサムスン。ウォン高や新興国市場の低迷だけではない「壁」がサムスンの前に立ちはだかっている。(写真:シン・スクミン)
批判覚悟で転職

 「あなたのような方には是非うちで活躍してほしい」。

 2011年初頭。知人の紹介で知り合ったサムスン社員からこんな熱烈アプローチを受けたのが、サムスンに転職したきっかけだ。当時遠藤さんは国内の大手電機メーカーでプリンター部門の技術者として勤務していた。もともと海外で働きたいという思いが強かったうえに、その頃在籍していた会社とは違う環境で挑戦したいとの考えもあり、二つ返事で転職を決めた。スカウト時すでに、サムスン側は遠藤さんの持つ特許や経歴などについて驚くほど詳しかったという。

 サムスンに転職すると周囲に告げると、同僚や上司からの猛反対を受けた。「技術をサムスンに売るのか」「報酬にひかれたのか」…。二度と会ってくれない人もいるだろうと思ったが、それも覚悟のうえで単身、韓国に飛んだ。

 入社初日に言われた配属先はプリンター部門の中にある部署の所属長。いきなり200人の韓国人が部下になった。当時のプリンター事業のトップが日本人などの外国人を積極的に登用しようと考えていたからだ。全く分からない韓国語と馴れない社風に戸惑いながら、サムスン社員として働き始めた。

 当時、サムスンのプリンター部門は新興国をターゲットにした「BtoB(企業向け)」商材として事業拡大を目指していた。遠藤さん以外にも何人かの日本人社員が日本の電機メーカーから引き抜かれていたと言う。

 入社後は日本で培った技術がそのまま製品に応用されたり、新製品開発の最前線に携わったりした。全くできなかった語学も、会社が用意した外国人社員向けの語学研修により半年後には不自由なく使えるレベルにまで上達。生活習慣の違いにも苦労したが、刺激も多く充実した毎日だったと振り返る。プリンター事業部全体を見れば、当初十数人だった日本人も、気が付けば50人以上にまで増えていた。

 1年半ほどすると環境は一変する。プリンター部門の業績低迷を理由に当時の部門長はクビに。新たに就任したトップは、前任とは異なり外国人の登用には消極的だった。遠藤さんもその時の人事異動で、所属長から普通の社員へと降格になった。

 遠藤さん自身は所属長として部下を統括する立場よりも、現場でガンガン製品開発をしたいという思いが強かった。周囲からは降格人事とも言われたが、自身は前向きに受け取っていたと言う。

 しかし、現場に戻ったことで遠藤さんはサムスンの「限界」に気付くことになる。

徹底した成果主義が拒む「イノベーション」

 きっかけは上司とのこんなやりとりだった。

 「この新技術を製品に応用させてください」。

 ある日、遠藤さんは独自開発した技術の仕様書を手に、意気揚々と上司に提案した。サムスンに入社以来、日本で培った技術など既存技術を応用した製品開発ばかりを手掛けてきた。しかし、遠藤さんの手元にあったのは日本メーカーのプリンターにもまだ使用されていない新しい技術。この技術は必ずイノベーションの種になる。遠藤さんはそう確信していた。

 「それはキヤノンやエプソンも使っている技術なのか」

 日本の大手プリンターメーカーの名前を出してきた上司に対し、遠藤さんは「いえ、どこもまだ使っていない技術です」と自信ありげに応えた。

 しかし、上司から返ってきたのは全く想定もしていなかった言葉だった。

 「じゃあダメだ。失敗したらどうするんだ」

 徹底した成果主義で知られるサムスン。現在病気療養中のイ・ゴンヒ会長は、「よくやった人は抜てきし、そうでない人は抑え付ける」と述べ、結果が出せなければ容赦なく降格やクビの処分を下していた。これによりトップダウンの素早い決断ができ、大規模投資によって一気にシェアを取る。これがサムスンの勝ちパターンであり、日本メーカーにはない強みでもあった。

 しかし、これの強みは今、サムスンの「弱み」になり始めている。

 イ会長は事業の方向性を示すだけで細かい戦略はそれぞれの事業部門のトップに任せている。しかし、部門のトップたちは失敗した場合の上からの「罰」を恐れ、現場からの新しい提案には耳を傾けず、リスクに挑戦しようとしない。その結果、サムスンはイノベーションを生み出しにくい組織構造になってしまった。

 今までならイノベーションがなく、既存技術の組み合わせだけでも通用した。しかし、中国などの新興国メーカーがこの組み合わせ技術を身に着け始めたことで、サムスン製品の競争力は急速に失われている。

 結局、遠藤さんの独自技術が日の目を見ることはなかった。

 ここでは何も新しい挑戦ができない――。遠藤さんがサムスンを辞めた最大の理由がこれだった。

 サムスンでは人事評価だけでなく製品開発も徹底した「結果主義」だった。日本人のように製品化するまでの開発プロセスを重視する傾向はなく、とにかくスピード重視で開発を進める。新技術への挑戦だけでなく、開発プロセスの改革を訴える声も、巨大な組織の中ではすぐにかき消されてしまった。

 今回、遠藤さんと一緒に辞めた日本人はプリンター部門だけで10人弱。うち、3人は事実上のリストラだったが、過半数は自らサムスンを去ること決めた。「業績が悪いから社内の雰囲気も悪い」。そんなムードに耐えきれず逃げるように辞めた日本人社員もいたと言う。

 遠藤さんは、サムスンに3年半勤めていたことは決して後悔していないと振り返る。「海外で働きたいという願いは叶ったし、いろいろな価値観や考え方に触れ視野も広がった」。しばらくは休養をとるが、次は国内のプリンター用部品メーカーで新たな挑戦をしたいと言う。

正念場のサムスン

 サムスンの業績は2013年第四四半期以降振るわず、先月発表した2015年1〜3月期の連結営業利益は前年同期比30%減となった。ウォン高の影響もあるが、小米など中国勢の台頭によるスマートフォン(スマホ)部門の苦戦が響いている。

 これまでの強みが徐々に通用しなくなったサムスン。再び輝きを取り戻すためには、ものづくりの方針や組織、経営体制を見直し、大胆にメスを入れることが必要かもしれない。「全てはウォン高のせい」と楽観視し、その病巣に気付いていないのならば、それが最も恐ろしい。見え始めた「壁」を越えられるか。急成長してきたサムスンは今、正念場を迎えている。

このコラムについて
韓国 脱財閥へのもがき

韓国経済を支え、世界を舞台に急成長してきた財閥が今、もがいている。原因は、ウォン高や頼みの綱だった新興国経済の低迷だけではない。独裁型経営や、既にある技術の組み合わせといった「強み」が通用しなくなったのだ。 スマートフォンの売れ行きが鈍り、収益も伸び悩むサムスン。崩壊し始める中堅財閥。一方で、産業構造が大きく転換する中、これまでにないような革新も生まれている。続々と世界を目指す新興企業。そこからサムスンの次を担う企業は現れるのか。そして、日本企業は変貌する韓国とどう向き合えばいいのだろうか。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150508/280830/?ST=top  

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コメント
 
01. 2015年5月11日 17:38:39 : YyjIFqeECQ

一読する価値ある記事。

02. 2015年5月11日 19:11:36 : nJF6kGWndY

>何も新しい挑戦ができない

キャッチアップ成長の限界

円高デフレ不況時の日本の電気企業に似てきたな



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