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東電とソフトバンク、電力小売の新会社設立へ 電力自由化見据えた異色タッグの真の狙い
http://diamond.jp/articles/-/71231
2015年5月11日 週刊ダイヤモンド編集部
東京電力とソフトバンクが、電力小売り事業を共同で行う新会社を設立することが、本誌の取材で分かった。2016年の電力自由化に向け、“異色”のタッグが練る秘策とは。(「週刊ダイヤモンド」編集部 森川 潤)
4月28日、東京・内幸町の東京電力。最高幹部ら約15人が集まる会議室には張り詰めた空気が漂っていた。
「ソフトバンクとの提携は、早く進めていくべきだ」
取締役のうち数人が厳しい口調で提案すると、廣瀬直己社長は「携帯3社の話を、きちんと聴いて判断したいと思います」と、真剣な面持ちでそう答えた。
週刊ダイヤモンドが、5月2日・9日合併号http://diamond.jp/articles/-/70731で真っ先に報じたように、東電とソフトバンクの提携交渉が最終段階を迎えている。東電は4月、NTTドコモ、KDDIを含む携帯電話3社から事業提案を募集し、その中でソフトバンクを選ぶ方向で決着を迎えつつある。
東電とソフトバンク。片やかつて経済界を動かす影響力を持った巨大組織と、強烈な個性を持つ社長が率いるベンチャー上がりの大企業──。両社の社風には、相いれる部分はなさそうだが、なぜこんな組み合わせが成立するのか。
「3社のうち、ソフトバンクだけが、東電との新会社設立を提案してきた」と、東電幹部は打ち明ける。「電力の競争時代に向け、東電だけにコミットして、新たなビジネスを展開する覚悟があった」。
通信会社では、電力会社1社と組むより、各地域の電力・ガス会社と組むことで広範囲での電力販売を狙う動きもあるが、ソフトバンクは国内電力市場の3分の1を担う東電に絞って交渉を続けてきた。その戦略が、この“異色タッグ”の背景にあるのだ。
実は、東電内では、1999年にソフトバンク、米マイクロソフトの3社で設立したインターネット会社「スピードネット」で失敗した経験があり、ドコモを推す声も根強かった。だが、ドコモの提案は「電力を魅力的なコンテンツと思っていない」(東電関係者)との判断で、ソフトバンクとの提携が13日の取締役会で決定しそうだ。
■ソフトバンクの野望
「もちろん孫社長も、今回の提携はしっかり頭に入ってますよ」。あるソフトバンクの幹部は話す。
実は、ソフトバンクでは、昨年夏には、東電との提携を模索する動きが始まった。それが、孫正義社長を含めた明確な意思決定となったのは、今年1月だった。
1月23日、ソフトバンクは、国内通信事業の競争力強化を図り、ソフトバンクモバイル、ソフトバンクBB、ソフトバンクテレコム、ワイモバイルの4社を合併することを発表した。その際、電力事業についても、主に太陽光での発電を担当するSBエナジーから、傘下の電力販売会社SBパワーを切り離す改編を水面下で決めていた。
つまり、再生可能エネルギーによる発電事業から電力小売り事業を明確に切り離し、ADSLやiPhoneを売りまくってきた通信部門の営業力を総動員する方向にかじを切ったのだ。
これを支えたのが、新ソフトバンクモバイル社長となった宮内謙・ソフトバンク副社長だ。孫社長が女房役として多大な信頼を寄せる宮内副社長が、頭打ちとなる国内携帯事業へのてこ入れ策として電力事業に目を付けたという。
とはいえ、電力小売りに本格参入する場合、太陽光発電など再エネだけではなく、原子力発電や火力発電の電気も販売しないと、競争力は持てない。東電福島第1原発の事故後、再エネの普及を強く打ち出してきた孫社長の意向と矛盾しないのか。
「孫社長も、以前ほど原発について発言はしなくなった」と、あるソフトバンク幹部は話す。
というのも、すでにソフトバンクは、法人向けの電力小売りに参入しており、原発や火力発電の電気を含む電力卸売市場で調達した電気を販売している。そうした事情もあって、周囲も孫社長の説得に走り、孫社長も「原発依存度は減っていく」との主張は変えていないものの、発言を少しずつ軟化させているようだ。
「通信再編での経験を、電力に生かしていきたい」と、幹部は市場活性化に意欲を燃やす。
■最終的に電気自動車か
では、この異色タッグによる新会社は、一体何に取り組むのか。
各種報道では、電気料金と携帯料金の「セット割」が騒がれているが、「それだけでは味気ない。セット割はあくまで一歩目」と、双方の関係者は話す。
実際、東電の廣瀬社長もすでに「携帯とのバンドルはしやすい。だが、新たなメニューは知恵の出しどころで、今打ち明けるわけにはいかない」と話している。
サービスの内容は、それこそ実際に新会社の設立が決定してから決まるはずだが、両社のこれまでの動きを詳細に見てみれば、幾つかのヒントが見つかる。
一つは、ソフトバンク傘下のヤフーも含めたインターネット経由での電力販売だ。SBパワーの新取締役にはヤフー幹部も名を連ねており、今後検討が進みそうだ。
もう一つは、電気自動車や家庭用蓄電池などの販売への進出だ。東電が4月末に発表した人事異動では、小売り部門のトップがすげ替えられ、電気自動車などを担当してきた人材も新たに登用された。
東電幹部は、「今後は、家庭用の蓄電のニーズが増すのは間違いない。電気自動車を含め、さまざまな施策が必要になる」と強調する。
ともあれ、両社のタッグを手始めに、電力自由化に向けた動きは一気に表面化しそうだ。
東京ガスは、日本電信電話(NTT)を通してドコモに打診しているとされ、KDDIも、全国の電力・ガス会社と“等距離外交”を進めている。
特に、電力会社において、小売り事業は営業でなく、「料金徴収」がメインで付加価値が小さかった領域。今後は電子商取引(EC)や小売りチェーン、家電量販店などの参入も見込まれ、解体的な再編が進んでいきそうだ。
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