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格安スマホ隆盛の裏に“大手もうけ過ぎ”の構図あり
http://diamond.jp/articles/-/71218
2015年5月11日 週刊ダイヤモンド編集部
『週刊ダイヤモンド』2015年5月16日号の特集は「格安スマホ 最強理由」。その中から、格安スマホが登場する背景ともいえる、大手通信会社のもうけ過ぎの構図を明らかにした部分を紹介します。
『週刊ダイヤモンド』2015年5月16日号の特集は「格安スマホ 最強理由」
有為転変は世の習いというが、企業の業績は事業環境に左右されるのが常で、長きにわたって高収益を上げ続けるのは実に難しい。
下の表は、2005年度以降の国内上場企業(金融を除く)の営業利益ランキングの推移である。
例えば、日本経済を引っ張る“稼ぎ頭”として誰もが認めるトヨタ自動車も、苦しい時期を経験した。08年9月のリーマンショックやその後の歴史的な円高によって、08年度は71年ぶりに赤字を計上。さらに10年には世界規模でのリコールに見舞われ、11年には東日本大震災とタイの大洪水などの影響も被った。さしものトヨタも、この間はベスト10から姿を消している。
ところが05年度以降、一度もベスト10から落ちたことがない企業がある。NTTドコモだ。日本電信電話(NTT)も同様にランキング常連だが、同社はドコモを連結対象としており、およそ3分の2はドコモの利益で占められる。
同じ通信でも、固定電話と携帯電話ではもうかり方が違う。全国津々浦々に通信網を敷き、一般家庭まで一本一本電話線を引かなければならない固定電話に比べ、携帯電話の場合は最後の接続は無線で済む。その効率の良さは素人目にも想像に難くない。
実際、保有する資産がどのくらい効率よく利益を生んでいるか、NTT東日本とドコモの総資産利益率(ROA)を比べてみると、一目瞭然だ。NTT東日本が1%台なのに対し、ドコモは12%前後で推移している。
株主からすれば頼もしい限りの稼ぎっぷりだが、利用者の感覚でいうと「もうけ過ぎじゃないか」という声も聞こえてきそうだ。
06年10月、この年に携帯電話事業に参入したばかりのソフトバンクの孫正義社長が、中間決算の会見でドコモとKDDIの営業利益を引き合いに出し、「日本の携帯電話会社はもうけ過ぎ」と批判したことがあった。だが、そのソフトバンクも今やドコモを上回る営業利益を上げるに至っている。
試しに携帯電話3社(ドコモ、KDDI、ソフトバンク)の営業利益合計と、自動車3社(トヨタ、日産自動車、ホンダ)のそれとを比較してみると、この9年間で4年は携帯3社の方が上回っている。
厳しい国際競争の下で、為替の変動や関税などの問題とも戦いながら、技術開発や生産性向上に取り組む自動車産業に比べ、国内利用者から月々安定的に通信料を徴収できる携帯電話業界は、楽をしているとみられても仕方ない。
■完全ガイドを手にして格安スマホ元年に備える
『週刊ダイヤモンド』5月16日号の第1特集は「格安スマホ 最強理由」です。
あなたは、スマホに毎月、いくら支払っていますか?家計に占める通信費の割合は、長年上昇し続け、財布を圧迫しています。一方で、大手通信会社は莫大な利益を上げ、価格競争も落ち着いています。
そんな状況を変えるべく登場したのが格安スマホです。イオンや楽天など通信会社以外の企業が参入したニュースを耳にしたことがあるかもしれませんが、参入が相次ぐうえに価格競争も激しく、さらには、この5月にはSIMロックが解除されるなど、格安スマホ普及の条件はそろいつつあります。
特に、いまだ日本に6000万近くいるというガラケー利用者が、格安スマホに移行していく可能性は高そうです。なにしろ、ガラケーの平均的な利用料金は3000円前後と、大手通信会社のスマホの月額利用料金の半分程度ですが、格安スマホならその水準と同じか、それ以下のため、移行もしやすいからです。ガラケーは2017年にも製造が終了するという報道もあるだけに、ガラケー利用者は今のうちに格安スマホについて調べておいた方が良さそうです。
特集では、そもそもなぜ安くなるのか? 格安スマホとは何なのかから始まり、大手3社のぼろもうけの構図も紹介。また、iPhoneが割高な端末であることを、部品コストを明らかにしつつ分析。さらには、日本以外の国で話題となっている中国のスマホメーカー「小米(シャオミ)」の端末を購入し分解。詳細なイラストにより、なぜ格安にできるのかを解説しています。アップルに追いつかんばかりに急成長している小米の強さの秘訣を探ります。
さらには、会社やプランはどう決めればいいのか!? シチュエーションごとに格安スマホの選び方を掲載。もちろん、格安スマホの弱点も明示しています。
オリジナルキャラクター「格安マン」が縦横無尽に活躍する漫画や大きな図版、用語集などで、格安スマホ初心者にもわかりやすい誌面としました。
スマホの料金を巡っては、監督官庁である総務省もとかく問題視しています。そもそも格安スマホが実現したのも、総務省の意向によるところも大きいですし、今後も、いわゆる“2年縛り”の見直しが進むなど、まだまだ事態は動いていきそうです。大手通信会社や、周辺で関わる業者も含めて今までのルールが通用しなくなる可能性もあります。特集では、格安スマホが普及することで、通信業界に起こる地殻変動も解説しました。
スマホの料金が高いと悩んでいる、あるいは、ガラケーをまだ利用している。そんな方々にぜひ、手にとっていただければ幸いです。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 清水量介)
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