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優秀な学生ほど、就活を終われない!?「就職売り手市場」がもたらす意外な悲劇
http://diamond.jp/articles/-/71149
2015年5月11日 熊谷智宏 [我究館館長] ダイヤモンド・オンライン
5月に入り、内定をもらう学生の数が増えてきた。
例年であれば、ここで就職活動を終了する学生も少なくない。しかし、今年はこれまでと違い内定をもらってもなお、就職活動を続ける学生が多い。
内定したのに、就活を終われない。ここに今回のスケジュール変更の落とし穴がある。前回説明した「就職活動の後ろ倒し」第一期生が陥っている問題について、引き続きキャリアデザインスクール・我究館館長の熊谷智宏氏にお話を伺った。
内定をもらっても就活を「終われない」理由って!?
Photo:milatas-Fotolia.com
■就職活動を「終われない」学生が急増中
熊谷智宏(くまがい・ともひろ)
我究館館長。横浜国立大学を卒業後、(株)リクルートに入社。2009年、(株)ジャパンビジネスラボに参画。現在までに2500人を超える大学生や社会人のキャリアデザイン、就職や転職、キャリアチェンジのサポートをしてきた。難関企業への就・転職の成功だけなく、MBA留学、医学部編入、起業、資格取得のサポートなど、幅広い領域の支援で圧倒的な実績を出している。また、国内外の大学での講演や、執筆活動も積極的に行っている。著書に『絶対内定2016』シリーズがある。
内定しても、就活は続いている。
なぜ、そのような事態になるのか。時系列で見て行くと次のようになる。
まず、3年生の6月頃から募集が開始されるインターンシップに参加する就活初期、多くの学生はこの時点で明確な志望企業はないことが多い。そこで有名企業を中心に「幅広くいろんな企業のインターンシップに参加した」(私立大学文系4年生)といった声がよく聞かれた。
今年のインターンシップは、実施企業が激増した。そのため倍率が下がり、比較的簡単に選考を通過した学生も多かったのではないか。実際に、私の指導する我究館の学生を見ていても、希望通りの企業に参加できる学生がほとんどだった。
参加した学生の感想を聞くと「業界のことが知れた」「会社の雰囲気が知れた」「楽しかった」という感想が多く、内容の充実と学生の満足度の高さが伺えた。
一方で「では、志望企業や業界は絞れたか?」と聞くと「どれも良かったので、かえって分からなくなってしまった」という感想が返ってくる。ある程度「知る」ことはできたが、それゆえ「決める」ことができていない印象だ。
さらに今年はインターンシップの募集時期が長かった。昨年の6月から3月頃まで、継続的に企業がインターンを募集していた。様々な企業を知ることができるのは良いことだ。しかし、残念ながら先ほどのような感想になり、選択肢が増えすぎて志望企業を定めることができなかった学生も多くいた。
■前年の1.5〜2倍の内定を出す企業も
インターン参加後、間もなく、彼らは年末年始に本選考がはじまる企業にエントリーをする。この時点で、引き続き志望企業は定まっていない。
そんな中途半端な状態なので、彼らが選考に落ちるのかというと、案外そうでもない。
ご存じのとおり、今は就職売り手市場。好景気に後押しされ、各社の採用数は増加している。
そのため、企業はとにかく採用、早めに学生を押さえよといわんばかりに、内定を多く出しているのだ。先のインターンシップ実施企業の増加も同じ理由である。
あるコンサルに内定した学生に聞くと「自分の知り合いで同じコンサルの選考を受けた人は全員内定した」(私立大学文系4年生)とのこと。
同じゼミやサークルには近い適性や価値観を持っている学生が多いこともあるが、例年より多いのが実感だ。実際に採用担当者の話を伺っても内定辞退を見越して、前年の1.5〜2倍の内定出しを計画している企業もある。
また、内定後も就職活動を継続することを容認する企業も多いというのが、今年の特徴だ。実際に、内定をもらった学生に「内定先の企業に就職活動を継続していることは伝えているのか?」と聞くと「伝えている」と答えが返ってきた。
採用担当者は「続けるのは分かったが、ぜひ当社を前向きに検討して欲しい」と理解のある姿勢だったと言う。この状況の中で、学生は志望企業を「決めず」に、ここまで過ごせてしまっているのだ。
■内定後に「企業選び」に迷う学生たち
実際に、5月に入ってから、内定をもらいながらも我究館に入館してくる学生がいる。その人に「内定もらっているのに、なぜその企業にいかないのか?」と聞くと、「他にもっと良い企業があるかもしれないので、もう少し見てみたい」と曖昧な返事が返ってくる。
「どんな企業だったら行きたいのか?」と聞くと「その決め手が分からなくなってしまったので、我究館に来ました」(私立大学文系4年生)と言う。
「企業選びの軸を見つける」という、いつもであれば就活初期に起こりがちな悩みに「内定後」に陥ってしまい、「このままでいいのか」という危機感を覚えたというわけだ。数年前、就職氷河期と言われ、「ヤリタイコトが明確にあるのに、どこにも採用されない」と多くの学生が当校の門を叩いてきた頃とは大違いである。
これが「就職活動を終われない学生の増加」を招いている一連の流れだ。
インターンシップや選考を長期にわたり忙しく受けている間に、「本当は何をしたいのか」「本当はどんな企業に行きたいのか」「本当はどんな仕事に就きたいと思っているのか」等、自分と向き合う時間を失ってしまっている。
一見贅沢な悩みに思えるかもしれないが、実は深刻な問題でもある。
このまま漫然と就活を続けていても、答えは見つからない。「決めきれない」まま就活を続け、迷いながらも「なんとなく決めた」企業に入社する学生は増えるだろう。
いざ来年就職をしたものの、もしも「こんなはずじゃなかった」と辞めてしまえば、学生にとっても、採用した企業にとっても大きな痛手となる。
■終われない就活→大量内定辞退へ
このような「就活を終われない学生」が増えると、秋以降の大量内定辞退が予測される。採用担当者は内定者フォローに追われ、現場が混乱するだろう。
「正直、どのくらい内定辞退があるかわからない。だから、学生の入社意欲の高い・低いにかかわらず、多めに内定を出さざるを得ない」(企業人事部)。
一方、学生も戸惑っている。「すごく行きたい企業というわけではない」「内定をもらったから行こうという程度」「こんな形で入社して、本当に思い切り働けるのか自信がない」など、納得度の低い就職活動を行っている人もいる。
いよいよ選考も山場に差し掛かり、エントリーシートの締め切りが近づいている。この時期だからこそ、学生の皆さんは今一度、志望進路の軸を明確にしてほしい。そして、入社して後悔しない一社なのか、本当に挑戦してみたい仕事なのか、少しだけ立ち止まって考えてみてほしい。
(次回は2015年5月12日更新予定です)
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