★阿修羅♪ > 経世済民96 > 351.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
GEとソニー、製造業回帰vs.事業拡大どちらが正解か(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/15/hasan96/msg/351.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 5 月 11 日 00:11:15: igsppGRN/E9PQ
 

“本業以外”への積極参入でソニーは復活できるのか。写真は経営方針を説明する平井一夫社長(2014年5月) Photo:Takahisa Suzuki


GEとソニー、製造業回帰vs.事業拡大どちらが正解か
http://diamond.jp/articles/-/71193
2015年5月11日 真壁昭夫 [信州大学教授] ダイヤモンド・オンライン


■“本業回帰”に舵を切るGE “本業以外”に参入図るソニー

 最近、ニューヨーク在住のアナリスト連中とメールのやり取りをしていると、ジェネラル・エレクトリック(GE)とソニーがトピックになることが多い。

 その背景には、両社の株価が安定した展開になっていることに加えて、GEのイメルト会長が“脱金融”へと舵を切る一方、ソニーは金融や不動産など、当初の本業以外のビジネスへの依存度を高める経営戦略で、好対照になっていることがある。

 GEのイメルト会長は、2014年に同社の収益の40%程度を稼ぎ出している金融事業を縮小し、2016年には25%までに低下させる方針を明確にしている。

 金融事業の収益が、リーマンショックなど外部環境の変化によって大きく変動するリスクを考えると、安定性が見込める航空機エンジンなど本業に回帰する方が有効と判断したのだろう。

 一方、ソニーは、高い優位性を維持しているイメージセンサー事業などに注力すると同時に、不動産や介護事業など本業以外の事業に積極的に参入する方針を打ち出している。ソニーの本業以外の新規事業への参入に関しては、投資家や経済専門家の中でも評価の分かれるところだ。

 同社としては、保険や銀行などの金融事業が相応の成功を収めていることもあり、将来の収益チャンスになり得る事業を積極的に開拓したいのだろう。その姿勢は、赤字が続いている同社の事情を考えるとそれなりに理解はできる。

 GEとソニーという、いずれも世界的に知名度が高く、経営戦略についても一家言を持つ企業が、異なった方向の経営戦略を打ち出すことは興味深い。両者がどのような成果を生み出すことができるか、今後の展開に注目したい。

■サブプライム問題で金融事業が危機に陥ったGEの反省

 イメルト現会長の前任であるウエルチ会長時代、GEの金融部門は同社の稼ぎ頭として君臨していた。高格付けに裏打ちされた信用力に基づき、低調達コストで多額の資金を集め、それを不動産金融や保険事業で運用して高い収益を手にすることができた。

 ところが、バブルの発生やその崩壊など、経済には必ず大きな波がやってくる。その大波によって金融事業は甚大な影響を受ける。GEの場合も、サブプライム問題で不動産金融部門が大きな影響を受けた。

 リーマンショック後には、米国の金融市場の機能が低下したこともあり、同社は危機的な状況になった。一時、同社はデフォルト発生の危機にまで追い込まれた。そのときは、政府の支援などもあり、何とか破綻は免れたものの、イメルト会長の脳裏には、「金融事業は安定性の低い一種の砂上の楼閣」という意識が刻み込まれたとしても不思議ではない。

 イメルト会長とすれば、一時的に多額の収益を得られる金融業では、バブルの崩壊などによって多額の損失を被ったり、企業が破綻の憂き目に遭ったりする懸念を考えると、長い目で見ると安定した収益を上げることは難しいと映ったはずだ。

 そうであればこそ、ハイリスク・ハイリターンの金融事業への依存度を低下させる一方、高い技術力を持つエンジン事業など、もの作りの本業により多くの経営資源を振り向け、経営自体を安定させる方が有効との判断に至った。イメルト氏は、これからその判断を実践することになる。

 同氏の経営判断は、自社の最も優位性を持つ技術力というコアコンピタンスを使って、GEをさらに有力企業に育成することを目指すものだ。経営判断としては極めて妥当であり、十分な説得力がある。だからこそ、今のところ、多くの投資家も賛同する姿勢を示しているのだろう。

■金融部門の稼ぎが頼りのソニー 手っ取り早い収益獲得を目指す戦略だが…

 ソニーの2015年3月期決算は、売上高が前期対比5.8%増の8兆2158億円、営業利益は約2.6倍の685億円となったものの、スマートフォン営業権の減損処理で1760億円の損失を計上したこともあり、最終損益は1259億円の赤字となった。

 今夏の決算内容を見ると、今まで赤字を続けてきたテレビ事業が、リストラの効果もあり黒字化するなど明るい面はある。また、2016年3月期には、最終利益1400億円を見込むなど「ソニー復活」の期待を抱かせる要素が見られる。

 しかし、わが国の有力電機メーカーが不振から脱しつつある中で、ソニーは業績低迷が続いていると言わざるを得ない。また、事業ポートフォリオの中で、同社の稼ぎ頭役=キャッシュカウを担っている主な部門は、損保や生命保険、さらには銀行などの金融部門だ。

 つまり、現在のソニーは、かつてのような革新的な新製品によって世界市場を席巻するのではなく、主に金融部門が稼ぎ出すキャッシュを頼りに業務活動を続けていると言えるだろう。

 そうした事情もあり、手っ取り早く収益を手にすることができる不動産や、介護などの分野に積極的に進出していると見られる。問題は、そうした企業戦略が長期的に同社の企業価値を増やすことができるか否かだ。

 確かに、短期的には、ソニーの知名度を使って不動産や介護のビジネス部門を立ち上げれば、それなりの取引を確保するのは可能であり、それなりの収益を生み出すことができるだろう。

 しかし、それは、ソニーが自社のコアコンピタンスを生かすことにつながるのだろうか。そこには疑問府を付けざるを得ない。むしろ、かつて同社が持っていた新しいものを作る企業文化=カルチャーを殺しているような気がする。

■コアコンピタンスが企業を存続させるソニーはソニーでいられるのか?

 企業の存続意義は、社会の中で自社の役割を果たして収益を上げ、株主のためにできる限り企業価値を増加させることだ。その目的を達成するために、経営者は、人、モノ、金などの経営資源を最も有効に配分することが求められる。

 また、人間によって形成されている以上、組織内で働く人々が、本気で企業の成長を望んで、日常の業務を行うような企業文化や環境づくりが必要になる。その機能を果たすのが経営者だ。

 経営者は、自社が持っているコアコンピタンスを十分に生かして、戦略を練り、それを各従業員に分りやすく伝え、それを日々の業務の中で確実に実践するのが理想だ。問題は、それが本当に実践できるかだ。

 GEのイメルト会長のケースは、金融ビジネスの割合を減らして、製造業としての本業回帰を有効な企業戦略と考えた。一方、ソニーの平井社長は、手っ取り早くキャッシュを生み出す新規ビジネスに乗り出すことも選択肢とした。

 われわれがイメージしていたソニーは、高い技術力を生かして新しい製品を次々に生み出していく企業だった。恐らく、同社は今でもそうしたDNAを持っているはずだ。金融への依存度が高い現状、不動産などの新規事業に手を出すことによって、もの作りのDNAが失われてしまわないか懸念する人が多い。

 その懸念が当たってしまうと、ソニーという企業は、昔のソニーではなくなってしまう。それでは、同社が持つコアコンピタンスを十分に生かしていることにはならないだろう。

 金融やその他のビジネスが悪いと言っているのではない。そうではなくて、同社の経営者はしっかり腰を落ち着けて、同社のコアコンピタンスの再認識とそれを生かすビジネスモデルをじっくり組み立てる時だと思う。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民96掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
経世済民96掲示板  
次へ