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中国の利下げと日中の差
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52702533.html
2015年05月10日 在野のアナリスト
中国が0.25%の追加利下げを発表しました。どうやら政策金利と預金準備率を、毎月交互に引き下げるといった形であり、景気に相当の不安がある証左なのでしょう。これで貸出金利が5.1%、預金金利が2.25%となりますが、預金金利の裁量幅を1.5倍まで認めるなど、自由化も強化します。この影響は様々な形で現れそうです。この預金金利では、いくら裁量幅をもたせてもインフレ率を少し上回る程度なので、預金はまず増えず、銀行の貸し出し余力も増えません。
貸出金利も引き下がりましたが、すでに投資主導型の経済成長に翳りも見える中、貸し出しを増やしても不良債権が増加しそうです。しかも中国は個人投資家による株、不動産、債券等への投資によって支えられた社会。預金から投資へ、の動きが加速する一方、金融機関による低利の貸付が拡大すれば、社債等への投資の旨みは減ります。不動産市場はすでに崩壊しかかり、株価はすでにバブル化していますが、これらへの資金流入がますますすすむのかもしれません。それはよりバブルを深化させることでもあり、崩壊時の負の影響を強くすることでしょう。今はまだ金融政策を景気対策に用いていますが、中国がゼロ金利にまで陥るとき、また量的緩和にいたるようなときは、その数ヵ月後に要注意となるのかもしれません。
インドの州首相が、訪日をとりやめてモディ首相とともに訪中しています。理由は、恐らくAIIBです。決断が素早く、規模の大きい投資が引き出せますし、それは融資条件の甘さとしても意識されます。いくらADBが条件を緩和する、規模を増やす、としてもこれまでの経緯から使いにくさを意識され、敬遠されるのと逆の動きとして、日本より中国が強く意識されるのです。
しかも日本はこれから安保法制という難題もあって、景気対策や新興国へ目をむける機会が奪われる。今、訪日しても何かを期待することがない。だから訪日が避けられます。さらに安倍外交への不審もこの時期、日本を敬遠する一因なのでしょう。米議会であれだけ媚米宣言をしたのですから、親米国ならまだしも対米感情の悪い国にとって、気持ちいいはずもありません。中東や南アジアで米国の評判があまり良くない点も、インドの対日戦略見直しにつながっています。
さらに安倍ノミクスの失敗も意識されるところです。中国は言ってもまだ金利の調整と云った正常な金融政策により、経済をコントロールする段階です。一方の日本は、質的量的緩和などの異常事態における政策をとっています。それで昨年度はマイナス成長に陥ったた上、今年度から増大する防衛費、米献上予算などが積み重なり、財政は火の車になってきます。いくら中国の信用力が低いからAIIBの信用も低い、といってみたところで、格付け機関は日本の格下げについて、より前向きであって、いつ中国と逆転されてもおかしくありません。
投資主導型の中国が、景気後退局面を迎えれば一気に崩れる可能性は高い。しかし日本のように、ジリ貧に陥っている経済もまた、魅力には乏しいのです。中国が好調のうち、甘い蜜を吸っておこう、と考えるのと同時に、日本は一先ず見送っておこう、という判断が現状の世界の趨勢、ということなのです。中国の貸出金利の引き下げは、もしかしたらAIIBにむけた準備、という側面ももつのかもしれません。海外の貸出金利と、国内の貸出金利の差を埋める意味なら、着々とAIIBの設立にむけた体制の整備がすすんでいる、とも言えるのでしょう。中国と日本、それぞれの立場についてよく考えておかないと、世界との付き合い方すら間違えることになってしまうのでしょうね。
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