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中国各地には続々と高層ビルが建っているが…(AP)
問題だらけの中国経済 都市はゴーストタウン化 レアアースでは大失敗
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150510/dms1505100830003-n1.htm
2015.05.10 大前研一のニュース時評 夕刊フジ
中国国家統計局が先月15日に発表した2015年1−3月期の国内総生産(GDP)は、前年同期比7%増程度だった。これは09年以来最低の数字。中国の経済成長の鈍化は今後も続くことが予想される。
特に足を引っ張っているのは不動産関連だ。先月16日の日経新聞には「中国・重慶市郊外の売れ残った大規模マンションをさばくため、開発業者が『1軒購入すれば、もう1軒おまけします』と売り出した」という記事が載っていたが、こんなトンデモないことをしなければならないほど追い詰められているようだ。
中国ではいま、「鬼城」(グイチャン)という言葉が注目されている。意味は「廃棄された街」。不動産投資の過熱によって各地で巨大都市開発が進められたものの、建設途中でストップしたり、完成しても入居者はなく、建物だけが立ち並んでゴーストタウン化している地域のことだ。
100万人都市として巨大高層マンション群が開発されたのに、実際に居住しているのは3万人程度というところもある。これが中国全土には、大きなものだけでも20−30はあるとされる。だが、中国経済がダウンすると世界も大きな影響を受けることになる。また、過剰な生産設備が海外に目を向けた時には、ダンピングで日本はじめアジア企業は大打撃を受ける。いまは「もう少し踏ん張ってくれ」と言うしかない。
その中国は、蓄電池や発光ダイオード、磁石などのエレクトロニクス製品の性能向上に必要不可欠なレアアースや、超硬工具の原料に必要なタングステンにかけていた輸出関税を5月1日から撤廃した。昨年夏、世界貿易機関(WTO)が中国のレアアース輸出規制を協定違反と認定したことを受けたものだ。
5年前の沖縄・尖閣諸島沖中国漁船衝突事件後、中国は日本に対する嫌がらせのために強引な禁輸措置を取った。しかし、日本や世界各国は知恵を絞って再生利用したり、ほかの物で代用して省レアアース化を進め、需要を縮小させた。いまごろになって、中国側は「もう意地悪はしない」「いや、もともと意地悪なんかしていなかった」と主張しているが、時すでに遅しだ。
最後は毎度おなじみ、「中国人の爆買い」に関する話題だ。広東省の深●(=土へんに川)市の公安当局は先月13日、「深●(=土へんに川)住民による香港訪問を週1回に制限する」と発表した。香港では粉ミルクなど日用品を爆買いする中国人の運び屋のため、日用品不足や商業施設の混雑が深刻化し、香港住民の反中感情も高まっている。それを収めるのが狙いだ。
粉ミルクがまったくなくなってしまうなど、日常生活を荒らされた香港の人たちにとって、とんでもない規模でやってくる中国人の爆買いは迷惑以外の何物でもない。近い将来、東京・銀座でもこういうことが起きないともかぎらない。そうならないことを祈っている。
■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。
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