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株価の高さ、金利上昇のリスクに言及したイエレンFRB議長 photo Getty Images
イエレンFRB議長の「株割高、金利上昇のリスク」発言をどう解釈すべきか
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43269
2015年05月10日(日) 真壁 昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」 現代ビジネス
4月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数が事前予想22.8万人に対して22.3万人増加、失業率は横ばいの5.4%となった。イエレンFRB議長が株価の割高さや金利上昇のリスクに言及したこともあり、発表後の市場の反応は、今後の米国景気の行方を考える上で極めて重要な材料だった。
雇用統計後、米国の株式市場は上昇し、金利は低下(債券価格は上昇)、そしてドルは対円で下落した。総じて、市場の反応は低金利が続くという見方に影響されたようだ。しかし一方、米国経済の緩やかな回復が確実になると、FRBは利上げに動かざるを得なくなる。金融市場の今後の動向は、利上げのタイミングが何時になるかにかかっている。
■貿易赤字のGDP下押し圧力
4月以降の米国を見ると、景気回復は鈍化していると思われる。鉱工業生産を始め、生産活動の勢いは低調だ。そして、3月の貿易赤字は予想以上の赤字に陥った。原因は、港湾ストが終わり、荷下ろしが進んだためだと言われている。だが、それが活発な経済活動に支えられているとは考えづらい。
これは1〜3月期のGDP成長率の下方修正につながる可能性がある。1〜3月期のGDPは年率ベースで0.2%だったが、今後の改定値はマイナス圏に落ち込む可能性もあるかもしれない。市場はすでにその可能性を織り込み、低金利が続くとみている可能性がある。
雇用統計は、ほぼ市場予想通りという報道もあるが、それは正確に実体を表してはいない。なぜなら、3月の雇用者数は8.5万人(当初12.6万人)の増加に下方修正されたからだ。1〜3月の景気が想定以上に弱いとなれば、景気回復期待は後退しやすい。
■注目されるイエレンFRB議長の発言
景気回復が鈍化しつつある一方、FRBのイエレン議長は株式市場の割高な水準、長期金利の上昇リスクに言及した。こうした発言もありディーラー間では9月の利上げ観測が高まっている。実体経済が利上げに耐えられるか否か、今後の政策判断はより重要になる。
議長発言の真意は、足許の金利上昇の流れを活かして、利上げへの地ならしを行うことだろう。つまり、議長には金利が低すぎるという投資家の認識を喚起し、利上げのインパクトを軽減させたいという意図があるのだろう。
しかし、その試みは大きなリスクを孕んでいる。現状の景気は軟調に傾きつつある。投資家が過度に利上げを懸念するのであれば、株式市場が大きく調整し、金利が大きく上昇するなど景気への逆風が高まりやすい。その動きが進む場合、現在の経済状況では投資家は保有するリスク資産の圧縮を進める可能性が高い。
雇用統計後、利上げの前倒しを見込む指摘は増えているようだ。しかし、市場は低金利を望んでいると考えられ、必ずしも早期の利上げがコンセンサスだとは言い切れない。FRBが早期の利上げに踏み切るならば、景気回復のペースが大きく変化する可能性は高まっている。
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