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トヨタとシャープ
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52702454.html
2015年05月09日 在野のアナリスト
露国の対独戦勝70年式典、主要国の参加は中国だけ、ということで習主席を極めて厚遇していますが、プーチン大統領が演説で「ナチズムと日本の軍国主義と戦った国々…」とまで述べました。明らかに今回参加しなかった安倍首相への当てつけ、対日戦略の見直しを示唆したのでしょう。これはもう、安倍首相時代に北方領土の解決が遠のいた、不可能となったことを意味し、安倍外交がまた一つ行き詰ったことになります。米国に依存するばかりで、独自の戦略がとれない安倍外交の致命的問題、その延長上に対露外交も見直しが迫られているのでしょう。
企業の話題がいくつか出てきています。トヨタの決算、15年3月期の営業利益が前期比6%増の約2.75兆円、16年3月期も2.8兆円と絶好調です。しかし世界のSUVブームを牽引してきたのは、原油安と節約疲れで、その2つの効果が今年は剥落しつつあります。しかも円高も想定レートは115円と低めですが、16%も円安がすすんだ割りに、前期の営業利益の伸びは低い。売上高営業利益率が10%も伸びているのはその効果ですが、逆に北米以外の足の引っ張りが顕著です。
研究開発、設備投資を増やすのも、その危機感でしょう。さらに問題は、稼いだ金を株価対策、人件費や中小下請けに回せ、という政府の圧力をかわしきれない点にあるのでしょう。日本では主力のハイブリッドが、海外では売れない。こうしたギャップを何とかしない限り、官製コスト増圧力と相まって、将来は押し潰される懸念があります。純利益が日本企業として初の2兆円越えと、日本を代表する企業に成長しましたが、ここからの伸び代を考えると、新興国対策により積極的にならない限り、成熟企業の座にとどまることにもなってしまうのでしょう。
シャープが1218億円ある資本を1億円に減資し、欠損金を穴埋めした上で出直す案が、判明しました。すでに取引行との話し合いもついている、とされ、株主総会を経て決議される見こみです。中小企業となれば、優遇税制がうけられるメリットもありますが、今後は経団連から外れるなど、他企業との付き合い方も変わってくるでしょう。それは下請け事業者となることで、取引関係が変わることも同様であり、過去を捨てて未来をとった、という形になるのでしょう。
しかし減資の影響は、間違いなく株価にも影響します。要するに倒産した場合、取り分が減るのですから、これで再建し、堅調な経営にもどって倒産リスクが減ったとしても、保証が減ったことに違いありません。取引行がこの計画を容認するのは、恐らく倒産させないまま再建するには…と案を練ったのでしょう。そしてこの『倒産させない』には、官邸の意向が働いている、とされます。つまり安倍ノミクスを頓挫させないよう、倒産などに敏感になっている官邸が、『倒産させない』シャープ再建策を求めた結果、こうした異例の事態になった、ということです。
一方で、円安誘導という政策支援をうけて絶好調のトヨタ。一方で、液晶テレビ買い替え支援としてのエコポイント制度で一時期絶好調だったのに、その後のテレビ販売の不振で苦境に陥ったシャープ。対照的な姿にみえます。しかしトヨタとて、円安が終焉したら、先にも示したように負担増が重しとなって跳ね返ります。政策支援に浮かれ、次を見据えておかないと、どの企業も山の後の谷の深さから抜け出せなくなります。トヨタとシャープ、この明暗の裏に政治があるのであれば、まず経済政策から議論をはじめないと、この問題の根深さを浮き彫りにすることはできないのでしょうね。
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