http://www.asyura2.com/15/hasan96/msg/322.html
Tweet |
日銀がコントロールする債券市場への投資家の不安
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43226
2015年05月07日(木) 真壁 昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」 現代ビジネス
4月後半以降、世界的に金利が上昇している。ドイツの長期金利は4月半ばに0.07%台を付けた後、月末は一挙に0.36%まで上昇した。この背景には、欧州の景気回復期待が高まっているという指摘がある。しかし、それが本当に金利上昇の原因なのか、それだけで説明することは難しい。
足元の世界経済に付いては、むしろ不透明な部分が増えている。また、ギリシャの資金繰りも根本的な解決を見てはいない。それを考えると、最近お世界的な金利上昇はやや不可解な動きにも見える。
■量的緩和は金利の変動性を高める
2013年4月、日本銀行は質的量的金融緩和を発動した。これは、池の中にクジラが飛び込むような政策だった。日銀が多額の国債を買い上げてしまうため、一般投資家は債券売買が困難になってしまった。結果として、日銀が債券市場を支配する構図が出来上がった。
質的量的金融緩和によって国債の売買が減ったため、少額の売買であっても金利が乱高下する状況が生じた。当時のバーナンキFRB議長が早期の利上げに言及したこともあり、金利のボラティリティは急上昇し、一時、長期金利は0.9%台を付けた。
特に金利のボラティリティが急上昇したことは、中央銀行による国債購入の圧力に乗じ、先物等を用いた投機的な動きに影響されている可能性がある。今回のドイツ金利の上昇、そして日米での金利上昇もこうした投機的な動きに影響された可能性が高い。
■異次元の緩和策は投機筋の跳梁跋扈を生む
ヘッジファンドなどの投機筋は、多くの場合、多額の金融資産を売買することで相場の流れを作る。例えば、彼らが多額の国債を買うと、国債の価格が上昇して金利には低下圧力がかかりやすい。一般の投資家もその流れにつられ、市場全体の金利水準は低下する。
そのタイミングで、ヘッジファンドはいち早く債券を売却し利益を確定することが多い。そして次の行動として、反対に空売りを仕掛ける。4月のドイツ長期金利の動きはまさにこのパターンに適合するかもしれない。また、ドイツ国債の入札、米国での社債発行によって、債券相場の需給が崩れやすい要素があったことは見逃せない。
投機筋は今後も売買を仕掛けることで、金利のボラティリティ=変動性を高め利益獲得を狙うだろう。それが投資家に“金利が上昇する”と懸念させる可能性もある。これまで売り対象として扱われてきたユーロが買い戻されているのは、そうした懸念の表れだろう。
ユーロ圏、わが国など国債市場が政府、中央銀行にコントロールされているだけに、多くの投資家は今後の相場の先行きに不安を抱いている。そのため、投機筋の仕掛けがトリガーとなって、売りが売りを呼ぶ展開が進むのか、冷静に見極める必要がある。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。