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バクーでのADB総会に出席した中尾武彦総裁 photo Getty Images
ADB中尾総裁とAIIB初代総裁の会談で中国側が隠せなかった助平心
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43254
2015年05月09日(土) 歳川 隆雄「ニュースの深層」 現代ビジネス
■ AIIBに対抗したADBの年間融資額増加
5月4日〜5日、アゼルバイジャンの首都バクーでアジア開発銀行(ADB=本部マニラ。中尾武彦総裁・元財務官)の第48回年次総会が開かれた。
1966年に日米が主導して創設されたADBは現在、67ヵ国・地域が参加するが、この間、新興国から出資比率の見直しや融資審査の緩和など組織改革を求める声が上がっていた。
そうした中で、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の年内設立が確定したこともあり、麻生太郎副総理・財務相は4日の総会で演説し、ADB最大の出資国である日本の国際協力機構(JICA。田中明彦理事長・元東京大学副学長)とADBが協調融資などで協力する脇組み創設などアジア向けインフラ投資を官民一体で拡充していく構想を明らかにした。
と同時に、ADBが無償支援を含む年間融資額を1.5倍に増やすことを言明した。明らかにAIIBへの対抗意識から来る発言であった。
JICAや国際協力銀行(JBIC。渡辺博史総裁・元財務官)が担う日本のアジア向け支援は、2013年度の実績はJICAが約9000億円、JBICが約4700億円である。
アジアでのインフラ需要は毎年8000億ドル(約96兆円)の巨額にも拘わらず、ADBが14年に承認した支援額は約135億ドルに過ぎず、新興国・途上国から不満が高まる間隙を突いて中国主導でAIIB設立が決まった。
それ故に注目を集めたのは、中尾総裁が総会開催に先立つ1日、AIIB初代総裁就任が確実視される金立群・元財政次官と会談したことである。
財務省ナンバー2ポストの財務官出身の中尾総裁は、中国財政省生え抜きの国際派であり、ADB副総裁経験もある金立群・元財政次官とは国際金融の世界で長い付き合いがある。
では、中尾・金立群会談で何が話されたのか?
■6月の「日中財務対話」が見物
財務省(香川俊介事務次官)は一貫して組織運営や融資基準が不透明であるとしてAIIB参加に懐疑的であった。もちろんそれ以外に、参加に慎重姿勢を取り続ける米財務省への配慮、即ち外務省(斎木昭隆事務次官)共々日米同盟に悪影響を与えるとの判断もある。
そうした背景もあって中尾総裁は金立群元次官に対して、中国側は「ADBはガバナンス効率を進めるべきだ」と主張するが、@AIIBこそ運営を監視する理事を北京の本部に常駐させないのは監督体制に問題がある、A融資審査の基準を緩やかにすれば環境破壊や乱開発を招きかねない、B途上国への過剰融資がその国の財政破綻を招来する―と指摘したという。
ところが、金立群元次官はADB参加67ヵ国・地域のうち42ヵ国・地域がすでにAIIBへの参加を表明しており、日本も参加して枠組み作りから関与したらいかがですかと切り返してきたというのである。
その一方で、楼継偉・財政相は3日のセミナーで、右隣に座る中尾総裁に目を向けることもなく「ADBは地域の経済協力の進化に重要な役割を果たしている」と述べているのだ。だが、中国には日本が持つ国際金融のノウハウと中国に次ぐ出資金約3600億円を供与してもらい、国際基準に適った投資銀行としてのステータスを得たいという助平心があるのは明白である。
しかし国内では、@日本がAIIBに入り込み、その中で発言力を高めることは極めて大きな意味を持つ、Aインフラ建設を通じて経済成長の基盤を強化しようというプロジェクト型援助について日本は多くのノウハウがある―を理由に積極参加を促す声が強くなっている(『日本経済新聞』4月29日付朝刊の「大機小機」)。
6月6日に北京で開催される「日中財務対話」で麻生財務相は楼継偉財務相と会談するが、果たして日本は既定のAIIB不参加方針を貫くことになるのか、けだし見物である。
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