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ソニーを「殺した」出井伸之氏以降、歴代社長の罪 優れた技術を腐らせ、経営危機招く
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150509-00010003-bjournal-bus_all
Business Journal 5月9日(土)6時1分配信
ソニーは4月22日、2015年度連結業績見通しを上方修正した。2月の予想から売上高を8兆円から8兆2100億円に、営業利益を200億円から680億円に、税引き前利益を50億円の赤字から390億円の黒字へ修正。当期純損失も1700億円から1260億円に圧縮するという。この発表を受け、同社株価は大きく反応しなかったが、それは事前に織り込み済みだったためだ。3月末時点の株価(3190円)と比較し、4月22日(3675円)には15%上がっている。
しかし、この上振れ予想によりソニーが大幅な回復基調に入れたかというと、それは早計だ。今回の修正の主因は、金融、音楽、イメージング・プロダクツ、ゲーム&ネットワークサービス分野などで売上高が想定を上回る見込みとなったためである。主力事業とされるエレクトロニクス(エレキ)事業が大きく伸張したということではない。テレビ事業が辛うじて久しぶりに通年黒字を達成できる見込みだが、この事業部門は次の売却候補の筆頭ではないかと筆者も指摘してきた。薄日が差した業績修正だが、輝きを取り戻したというには遠い。
パナソニックが津賀一宏社長主導の改革によりV字回復の様相を呈しているのに比べて、ソニーでは平井一夫社長の経営力に多くのOBが疑問を投げかけている。実はソニーほど多数のOBが公に同社についてコメントする会社は珍しい。OBが著した「ソニー本」は優に数十冊を超える。
例えば、元ソニー・ミュージックエンタテインメント社長の丸山茂雄氏は、「“斬新で高級なおもちゃ”を世に送り出すという創業時からのソニーの使命は、20年前の大賀さんの引退で、もう終わっていたんだよ」(「日経ビジネス」(日経BP社/4月20日号)と指摘する。
しかし問題は、OBたちの多くが、大賀典雄社長時代以前のように画期的なエレキ製品を世に送り続けた「栄光の製造業」への回帰、再現を希求していることだ。OBまでも「成功の復讐」にとらわれている。そして消費者や業界関係者の多くも、「世界のソニー」として刷り込まれてきたかつてのイメージと比べて失望感を高めたり、過去の栄光への回帰を求めているのだ。ところがソニーという企業の体質は、丸山氏が指摘しているように20年前から変質し始めている。OBも、そして現経営陣も、それを自覚する必要がある。
●復活への道筋とは
ソニーがこれから発展の道筋を探すとすれば、現有の事業ポートフォリオを上手に組み合わせていくほかはない。ちなみにここでいう事業ポートフォリオとは、事業の組み合わせ(プロジェクト・ポートフォリオ)のことであり、PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント:製品の組み合わせ)ではない。事業ポートフォリオは全社戦略レベルで、プロダクト・ポートフォリオはマーケティング戦略レベルで効果的となるセオリーだ。
デバイス事業はBtoCに比べて高マージンが期待でき、安定性があるため、このまま注力すべき 「花形事業」 だ。一方のテレビ事業は、PC事業に次いで売却したほうがいい。家電の単一事業は海外メーカーとの長期的な競争に耐えられない、事業ポートフォリオ・セオリーで「負け犬事業」だからだ。
銀行・保険・不動産などの金融事業を「キャッシュ・カウ(金のなる木)事業」として、ここから出てくる資金を活用して新しい組み合わせ事業を開発する。現有の事業として映画や音楽などのコンテンツがあり、モバイルなどの通信技術がある。ソニーのITデジタル技術は、まだ一流だろう。加えて「プレイステーション」は世界を席巻しており、さまざまなサービスやコンテンツを消費者へ提供するプラットフォームとして使える。
ソニーはこれらのハード、ソフト、コンテンツを組み合わせ、新しいビジネスモデルを提案できる。そのためには、エレキ部門の単一製品レベルの枠を超えるものでなければならない。現有の個別事業のそれぞれを「プロブレム・チルドレン(問題児事業)」と捉えて、組み合わせ糾合により「スター(花形事業)」を現出させるのだ。
●歴代社長の罪
アップルがソニーを凌駕してきたものは何か。iPodで音楽の楽しみ方を提案し、iPhoneでスマートフォンの世界を切り開いた。しかし、アップルは既存技術とコンテンツ、その提供方法を組み合わせて、新しいビジネスモデルとしてプロモートしたにすぎない。個々の技術分野で新たに開発をしたわけではない。ソニーは、これらの新世代的な製品について、構成要素としてはすべて保有していたし、それぞれの分野では凌駕していた。拱手傍観していた出井伸之氏以降の歴代社長の罪は重い。
主要部門がエレキであり、そこへの回帰が王道だと考えられている間は、ソニーの本格的な復活はない。新しいビジネスモデルをひっさげ、「新生ソニー」として再登場する必要がある。「新しい器」には「新しい酒」が入らなければならない。そして「新しい器」には当然、新しい経営者が必要である。
(文=山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役)
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