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http://jp.wsj.com/articles/SB10164193758919163512104580627833329964118?mod=wsj_nview_latest
大学の専攻で生涯所得に大きな格差―エンジニアは教師の3倍
MELISSA KORN
原文(英語)
2015 年 5 月 8 日 14:15 JST
教師は石油工学エンジニアリングより所得が少ない可能性 Steve Ruark/Associated Press
良い生活がしたいと思うか。それなら大学に行くのがいい。ただし、何を専攻するかに留意すべきだ。
米ジョージタウン大学教育・職業センターが国勢調査局のデータに基づいて分析した新リポートによれば、大学卒業生の平均生涯賃金は、高卒者よりも約100万ドル(約1億2000万円)多い。しかし長期的な所得見通しは、大学で何を専攻したかによって大きく変化する。また一部の専攻科目の中の所得格差は、大卒者と非大卒者との格差よりもはるかに大きいことが分かった。
例えば、石油エンジニアリングを専攻した大卒者の生涯賃金は平均480万ドル(つまり年間13万6000ドル)で、初等教育学を専攻した教師の140万ドル(年間3万9000ドル)の3倍以上に達しているという。
このリポートには137種類の専攻科目の卒業生の所得に関する詳細な分析が含まれるが、学生のローン残高が急増し、新卒者の就職市場が依然として低迷しているだけに大学教育の価値をめぐる議論が活発化しそうだ。
一般家庭が大学への投資のリターンを計算しようとする際、情報が欠如しており、シンクタンク、州、連邦政府は、さまざまなツールでこうした情報の穴を埋めようと努力している。ブルッキングス研究所は先週、「付加価値」に基づく学校のランキングを発表した。これは、大学の卒業生のキャリア半ばの賃金と、比較可能な他大学の卒業生の推定賃金との差を測定したものだ。キャリア半ばの賃金という点では、4年制大学で最も付加価値が高かったのは、カリフォルニア工科大学だった。
ジョージタウン大学は、最近の大卒者と高卒者の賃金の差に着目したリポートを2月にも公表しており、それにはさまざまな専攻の卒業生の失業率も記されていた。今回の最新リポートは、建築専攻の卒業生の賃金は、教師より高い場合が多いとしているが、2月のリポートによれば、建築専攻の卒業生の失業率は教育学専攻の卒業生、つまり教師より2倍高い公算が大きいという。
大学の専攻別賃金格差
ジョージタウン大の今回の最新リポートは、大卒者の賃金に関する包括的なコメントからは、個々の卒業生の賃金見通しがほとんど分からないことを示している。それが学校全体の就職1年目の賃金に基づいたものであれ、専攻の平均に基づいたものであれ、そう言える。
同センターのアンソニー・カーニバル所長は「驚いたのは、そのディテール(詳細)にある」と述べた。例えば、いわゆるSTEM(科学、技術、工学、数学)分野を専攻するだけでは多額の賃金は約束されない。同所長のチームによれば、生物学専攻の25歳〜59歳の年収の中央値は5万6000ドルと、物理学専攻のそれより3分の1ほど少ない。
それでも、生物学専攻者が大学院課程を修了する(約半数以上が修了する)と、年収の中央値は9万6000ドルとなり、大学院課程を修了した物理学専攻者のそれとほぼ同等になるという。
特定の専攻の卒業生の間では、賃金のばらつきが特に大きいことも分かった。金融学専攻者で年収が上位25%に入る人は10万ドルを超える年収を期待できるが、下から25%までの人は年に5万ドルほどしか稼げないという。
カーニバル所長は「人々は中央値を見るとそれが運命だと考えるが、実際は違う。それを上回る人もいれば、下回る人もいる」と述べる。
同様にブルッキングス研究所のハミルトン・プロジェクトの昨年秋の報告によれば、経済学専攻の大卒者で90番目のパーセンタイル(100人中、下から90人目の人)の生涯所得は、10番目の人の3倍近くに上っている。これは、この種の専門家の就職先が政府から民間部門まで多岐にわたっているのを反映しているという。
一部の州は、将来有望な専攻を選択するよう学生に勧めており、低賃金の仕事ないし高失業率の仕事につながりかねない専攻学科を避けるよう促している。
ノースカロライナ州のパット・マクローリー知事は、特定の専攻プログラムの雇用見通しに基づいて教育補助金の配分を増やしたいと述べた。そして来年度予算で、学生を引き寄せるため、州立大学のSTEM系学部を刷新するよう提案した。
またフロリダ州は現在、業績に基づいた学校向け資金拠出にあたり、卒業生の就業結果を考慮している。同州のリック・スコット知事は6日、WSJとのインタビューで「わたしは全ての専攻学科が好きだ」と述べた。しかし同時に「子供たちが仕事に就けるような学科を好む」とも付け加えた。
ジョージタウン大学の卒業式 Emily Varisco/Associated Press
メリーランド大学の経済学教授でハミルトン・プロジェクトのディレクターでもあるメリッサ・キーニー氏は、賃金は専攻決定の際の要素として織り込むべきだが、必ずしもそれに支配されるべきではないと述べた。
同氏は「人々は何が得意かについて極めて慎重に考えなければならない」と述べ、「確かにエンジニアリング(工学)は給料が極めて良いが、数値処理能力で四苦八苦している人々には役立たないだろう」と述べた。
卒業後の低賃金の見通しは、アン・デービスさん(21)にとって心配の種だ。デービスさんはウィリアム・アンド・メアリー大学(バージニア州ウィリアムズバーグ)の3年生で、社会学と環境政策を勉強している。しかし、彼女は今なお環境団体のための草の根運動を志している。
デービスさんは、非営利の環境保護団体に就職して地域オーガナイザーとしてフルタイムで働くことを希望している。賃金は3万5000−4万ドルだと予想しているという。
デービスさんは「わたしは天職を見つけたのだ」と言う。そして「お金は儲からないのは承知しているが、他の仕事をする自分は考えられない」と語った。
http://jp.wsj.com/articles/SB11258286719794574597104580406312744489070
米大学生の4割、合理的思考力が不足 ホワイトカラーに不向き?
DOUGLAS BELKIN
原文(英語)
2015 年 1 月 18 日 11:19 JST
「CLAプラス」テストの大学4年生(上)と1年生(下)の結果(赤:基本水準未満/ピンク:基本/グレー:熟練またはそれ以上の水準)
米国の大学生の4割はホワイトカラー職に必要な複雑な合理的思考力を身に付けないまま卒業していることが、約3万2000人の学生を対象にしたテストで明らかになった。
テストは全米169の大学を対象に2013年と14年に行われ、15日に結果が発表された。それによると、学生の知力の発達具合は通った学校のタイプや場所によってばらつきがあることも分かった。
概して学生の合理的思考力は4年間で発達しているものの、多くは合理的思考力が大きく不足した状態からスタートしている。このため、散布図を読み取ったり、一貫性のある議論を組み立てたり、理論的な誤りを特定したりする能力がないまま卒業している可能性があるという。
今回行われたテストは「CLAプラス」と呼ばれる試験で、大学1年から4年までの間にどれだけ知力が発達したかを測るもの。学科に関わる知識ではなく、批判的思考力や分析的推論力、文書資料活用力、文章力、コミュニケーション力といった能力を評価するもので、仕事に必要な基礎的能力を測る内容になっている。
テストを主催した米教育支援審議会(CAE)のプログラムマネジャー、ジェサリン・ジェームズ氏は「これらは何をするにも重要な能力だ。陪審員を務めるにしても、選挙で適切な候補者を選ぶにしても、極めて転用可能な能力」と指摘する。
http://jp.wsj.com/articles/SB10001424052702304067104580046542150438892
進学以外にも所得拡大の道―米国の経済的モビリティ
TAMAR JACOBY
原文(英語)
2014 年 7 月 23 日 15:10 JST
溶接を学んだアンソニー・ソリスくん Eric Kayne for The Wall Street Journal
ダコタ・ブレイジャーくんは大きな決断を下した。気さくで爽やかなブレイジャーくんはインディアナポリス北部にある小さな町の出身だ。彼の決意とは大学に進学しないことだった。
「昔からわかっていました」とブレイジャーくんは言う。「ぼくは学校の勉強が得意ではないし、じっと座っているのも好きじゃない。日常的なことのほうが頭に入るんです」。しかし、そのことで自分の選択肢が狭まったとは思わなかった。それどころか、高校のクラスメートの誰にも負けないほどしっかりとした計画を実行していた。
始まりは高校2年生のときだった。建設・請負業協会(ABC)が運営する技能訓練センターで基礎的な建設技術のコースを取った。次に地元の請負業者ゲイラー・エレクトリックで実務研修を受けた。
今年の夏、ブレイジャーくんはゲイラーでフルタイム勤務に就いている。時給は10ドル(約1000円)で、訓練センターへの振替可能な単位も取得できる。秋にはセンターに戻って4年間の職業訓練を受けるつもりだ。18歳のブレイジャーくんは計画を説明すると顔を輝かせた。他の計画がだめになったからそうするわけでもなければ、一か八かの賭けでもない。よく考えた上での選択だった。彼はアイビーリーグへの進学が決まったかのように誇らしげで心躍らせていた。
米国では大卒者は大卒者同士で付き合うことが多く、誰でも大学を卒業しているとは思わないまでも、大卒であることは普通のことと考える傾向にある。しかし実際は、25歳以上の米国人のうち学士号取得者は10人に3人にすぎない。8%は高校中退者で、60%を超える残りの圧倒的多数はブレイジャーくんと同じような境遇にある。
ブレイザーくんが関心を持っているのは、自分はどのくらい裕福なのだろうか、隣りの家の人は裕福なのだろうかという不平等の問題ではない。自分にはどのような機会があるのだろうか、望む仕事に就けるだけの教育を受けられるだろうか、仕事を見つけてキャリアを積めるのだろうかという経済的モビリティの問題である。
経済の変化は好材料ではない。新しいテクノロジーの登場やグローバリゼーションで経済は根本から変化している。多くの米国人にとってそれがどういう意味をもつのか、はっきりとわかっている人は誰もいない。しかし、一つ確実なことがある。それは、これからは専門技術が高く評価されるということだ。教育関係者も雇用主も、もはや高校教育だけでは十分ではないという点で一致している。
ブレイジャーくんも承知しているように、彼のような人々が成功する機会は十分にある。デジタル全盛期ゆえ、実用的な技術が偏見にさらされているが、米国人はこれまでとは違った方法で静かに上の所得階層に移っている。溶接工、看護師、フランチャイズ店のマネージャーという、注目されることの少ない3つのコースについて考えてみよう。
上の所得階層に移るための第1の条件は入口に足をかけることである。テキサス州コーパスクリスティにあるコースタルベンド技能訓練センターでは200人の高校生が溶接を学んでいる。学校で落ちこぼれ寸前の生徒がほとんどだ。アンソニー・ソリスくん(19)も学校を辞めようとしていたときにこのプログラムの話を聞いた。溶接については何も知らなかったが、やってみることにした。そうすれば、1週間に何日かは授業に出なくてすむからだ。
父親は石油採掘施設で働いて人並の生活をするのに高校卒業の資格さえ必要なかったが、ソリスくんは自分には何かしらの資格が必要だと思っていた。ソリスくんは訓練プログラムの中で実地体験が好きだということに気づいた。突然、数学がこれまでより簡単にできるようになった。重量や容積の計算に数学が必要だからだ。
溶接そのものは難しかったが、ソリスくんはやればうまくできることを知った。学校の教室では経験できなかったことだ。やがて高校で単位を取るための授業だけでなく、夜間に大人向けのプログラムにも出席するようになった。その年の夏、職業準備コースを受講するため技能センターに戻った。費用は全額、高校と地元の雇用者団体が支払った。
上の所得階層に移る2つ目の条件は訓練が仕事につながることである。昨年8月、大きなチャンスがソリスくんにめぐってきた。コースタルベント訓練センターからソリスくんを含め21人がJVインダストリアルの試験を受けた。JVインダストリアルは石油精製施設で維持管理の仕事を行う。危険だが報酬も多い仕事だ。この会社がコースタルベント訓練センターで採用活動をしたことはなく、ソリスくんは緊張のあまり、実地試験の日に気分が悪くなりそうだった。それでも合格して、さらに無料の訓練を受けるためにヒューストンに向かった。訓練が終われば、良い仕事に就けるかもしれない。
3つ目の条件は仕事が経済的な需要と一致する必要があるということだ。この点がJVインダストリアルのような企業が他と決定的に違うところである。多くの高校やコミュニティー・カレッジは仕事の技術を教えているが、教える技術そのものも使っている設備も時代遅れだったり、停滞している産業に若者を進ませたりしていることがあまりに多い。時代についていくには、何が必要とされているかについて助言したり、カリキュラムの作成を支援したり、設備を使わせてくれたり、JVインダストリアルのように訓練を行ってくれる企業と提携するのが一番だ。
溶接の需要は旺盛だが、溶接工の平均年齢は54歳。米国の業界団体の予想では、溶接工や溶接技術が必要なパイプの取り付け業者、配管工、ボイラー業者などは2024年までに40万人以上不足する見通しだ。米労働統計局によると、溶接工の平均賃金は年3万6300ドルだが、具体的な例を見ると、それは最低水準のようだ。JVインダストリアルでは年間7万5000ドル近くの賃金を支払っているという。10万ドル以上稼ぐ社員もいるそうだ。急成長を遂げているシェール産業では、テキサスやアパラチア地方で週に7000ドル稼ぐことも可能だ。
建設業と同様、中流階級への道として昔から知られている職業に看護師がある。業界への敷居が低いことや職業訓練の目的がはっきりしていること、段階的に出世できること、業界認定の資格があることなど、特徴も建設業のそれと似ている。
フロリダ州の例を見てみよう。同州オーランドで看護師になるにはさまざまな方法がある。セントラルフロリダ大学が育成するのは看護の学士号取得を目指す学生だけ。高校時代に優れた成績を収めていることが必要で、入学するにはキャンセル待ちしなければならない。フロリダ州出身の学生なら学費は1万4000ドル、州外出身者はその3倍以上を支払う必要がある。コミュニティー・カレッジのセミノール州立大学とバレンシア州立大学には正看護師を養成する準学士号のプログラムがあり、学費は7500ドルだ。さらに、郡が運営する職業指導センター「オーランドテック」では約5000ドルの学費で准看護師を養成している。
看護師になったステファニー・ラベロさん Preston Mack for The Wall Street Journal
正看護師の年収が約6万5000ドルなのに対し、准看護師の多くは年収4万ドル未満からスタートしなければならないと聞くと、不公平なシステムと感じるだろう。だが、そうとは限らない。3つのルートと並行して、学生が養成プログラムを受講したり入学したりプログラムを変更したりする方法がいくつもある。一生をかけてキャリアを積むことが可能だ。
しかし、多くの場合、出世するには時間がかかる。ステファニー・ラベロさん(41)は1990年代初めに高校を卒業した。看護師になることしか考えられず、早ければ早い方がいいと思い、地元の職業訓練センターで10カ月間の准看護師養成プログラムを受講した。
准看護師の資格を取得したラベロさんにはいくつかの道が開かれた。ラベロさんは小学校、介護施設、リハビリテーション病院で働いた。2つの仕事を掛け持ちしたことも多かった。准看護師として20年近く働いたラベロさんはもっと尊敬されたい、もっと高い報酬を手に入れたいと思った。そこで2012年にセミノール州立大学で准看護師から正看護師になるための1年間のコースを受講した。授業はオンラインで行われ、臨床ローテーションも都合が良かったため、仕事を続けながら学ぶことができた。
ラベロさんは今、学士号を取得しようと、来年の春にはセントラルフロリダ大学に入学したいと考えている。しかし、今の仕事には満足しているという。「昔は病棟看護師でしたが、学校に行って正看護師になると、ユニットマネージャーに昇進しました。ユニットマネージャーになりたいと思っていました。尊敬されたかったし、出世もしたかった」
フランチャイズは一見、溶接業や看護師とは全く違うように見える。フランチャイズには専門技術もなければ必須の訓練もない。業界による認定制度もない。しかし、フランチャイズは溶接業や看護師と同じように出世が可能な職業ながら、溶接や看護師より融通の利く市場主導型のルートだ。若者は現場に入って、仕事をしながら学んでいく。
シェイナ・ゴンザレスさん(41)は昔から起業家になりたいと思っていた。ゴンザレスさんはつつましやかな家庭で育った。父親はアリゾナ州の炭鉱で炭鉱作業員として働いていた。彼女が初めてフランチャイズの仕事に就いたのは1990年代初めだった。コミュニティー・カレッジに通いながらアルバイトのレジ係としてタコベルで働いた。
それから20年以上経った今、ゴンザレスさんはアトランタでオーナーとして4つのファストフード店を経営している。年間売上高は350万ドルに上る。
ゴンザレスさんがたどった道のりは容易でなかったが、フランチャイズ業界では珍しくはない。マクドナルドでは、オーナーの約60%、約20人いる米国内の地域マネージャーの63%が最初は時間給の従業員だった。
ゴンザレスさんの最初のチャンスは仕事についてから9カ月目にやってきた。当時、ゴンザレスさんは大学の授業を優先していて、仕事はただの小遣い稼ぎだった。しかし、店のマネージャーが彼女の存在に気づいた。責任感があって率先して動き、店がどのように動いているかに興味を持っているように見えた。研修を受けることにしたゴンザレスさんは12週間をかけてテキストを勉強したり、アシスタントマネージャーについて学んだりした。ゴンザレスさんにはシフトマネージャーの資格が与えられた。
フランチャイズ・レストランを経営するシェイナ・ゴンザレスさん Raymond McCrea Jones for The Wall Street Journal
ゴンザレスさんは次の昇進もその次の昇進も予想していなかった。その頃にはファストフード店で働き始めて4年近くが経っていた。最初に受けた12週間の研修を除いて、飲食店業に関する知識は全て独学で身につけた。3度目の昇進で大きな仕事を手に入れた。ゼネラルマネージャーとして自分の店を切り盛りすることになったのだ。定期給与が支払われるようになり、15人の直属の部下を持った。
ゴンザレスさんがフランチャイズ業界でただの仕事以上のキャリアが築けるかもしれないと考え始めたのはそのころだ。当時、彼女が働いていたラリーズ・ハンバーガーズというブランドはその年、さらに大きな企業に買収された。ゴンザレスさんら中間管理職はプレゼンテーションや交流のために定期的にタンパに出張した。そのときの驚きをゴンザレスさんは今でも覚えている。「他の人たちもみんな、最初はカウンターで働いていたんです」とゴンザレスさんは言う。「私と同じような人たちと会ったのは初めてでした。一生懸命働いて、持てる全てを会社に捧げたいという同じ思いを持つ人たちでした」。2003年にチェッカーズ・ラリーズを退社するときには、ゴンザレスさんはアリゾナとカリフォルニアの業務を担当するマネージャーを務め、年収は給与とボーナスを合わせて10万ドルを超えていた。
ゴンザレスさんの次の上司となったアジズ・ハシムさんも何もないところから成功をつかんだ。ロサンゼルスに暮らす「下流中産階級」の移民家庭出身だというハシムさんは電気技師の学位を取得したが、突然それをやめてフランチャイズビジネスに飛び込んだ。今ではNRDホールディングスという会社を経営し、50を超えるフランチャイズ店を所有する。ハシムさんは業界に現れた希望の星だ。
ハシムさんは自分もゴンザレスさんも特別ではないと言う。「この業界では一生懸命働けば出世できます。われわれオーナーは内部の人材をマネージャーにするしかない。学校を出たばかりでファストフード店の経営方法を知っている人間はいません」
経済的モビリティについての米国社会の見方は悲観的だ。今後はさらに悲観的になるだろう。良い仕事がなくなっているとか、教育水準が低い労働者の労働習慣は良くないとか、米国は他国に遅れを取り始めているとかいう話を聞く。
奇妙なことに、中流階級を目指して働いている多くの人からはそういう話は出てこない。人々は訓練を受け、貯蓄に励み、他の方法で成功しようと努力している。彼らの目に映る世界は常に活力や可能性に溢れている。ゴンザレスさんは「次から次に機会がやってきた。この仕事をやめようと思うたびにわくわくするようなことが起きる。昇進だったり、私を夢中にさせる目標だったり」と話した。
誰が正しいのだろう。もちろん、答えは私たち次第だ。まず、実地訓練に敬意を表すことから始めるのはどうだろう。数百万人という米国人が承知しているように、知識経済においても、大学の教室の外で学べる重要な職業技術は数えきれないほどある。
(ジャコビー氏は経済的移動性を促進するワシントンの非営利団体「オポチュニティ・アメリカ」の代表。「Someone Else's House: America's Unfinished Struggle for Integration(他の誰かの家:統合のための米国の終わらない闘争)」の著者。「Reinventing the Melting Pot: The New Immigrants and What It Means to Be American(るつぼの改革:新しい移民と米国人になるということの意味)」の編者)
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