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優秀な経営者は「何をやるか、やめるか」を正しく判断できる
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150502-00070857-diamond-bus_all
ダイヤモンド・オンライン 5月2日(土)8時0分配信
前回、「経営という仕事」があるということをお話し、経営者として成功するためには、「正しい努力の積み重ね」が大切ということを説明しました。
繰り返しになりますが、世の中には「経営」という仕事が存在します。では、「経営」という仕事は何なのでしょうか。前回も軽く触れましたが、私は、次の三つだと考えています。
@「企業の方向付け」
A「資源の最適配分」
B「人を動かす」
ここからは、それぞれについて細かく説明していきます。そして、それについて必要な「正しい努力」とは何かを説明していきます。
● 「企業の方向付け」で会社の命運が決まる
企業経営において、まず重要なことは「企業の方向付け」です。いわば戦略です。それは、@ビジョンや理念に基づいた上に、A外部環境、さらには、B企業の内部環境を分析して、方向付けを決めていくことなのです。これは、言うのは簡単ですが、実践するのは、それほど簡単なことではありません。ここでも「正しい努力」とは何かを知り、それを「積み重ねる」ことが必要なのです。
この「方向付け」をどうするかによって、会社の命運が決まります。これは、会社がうまくいくかどうかの必要条件です。これが違っていたら、もう目もあてられません。どんなに優秀な人が働いていても、会社はおかしくなります。
経営を「管理」だと考えている人は少なくありませんが、「管理」は正しい方向付けができているという前提があって生きてくるものです。方向付けが違っているのに正しい管理がなされてしまうと、むしろ会社は早く崖っぷちに到達するだけです。
「方向付け」をもう少し具体的に言うなら、「何をやるか、やめるかを決めること」です。それは会社全体の場合もあり、また部門を預かる立場にある人であれば、部門で何をやるか、やめるかを決めることでもあります。
大切なのは、経営者が「何をやるか、やめるか」を正しく決める判断能力を持つことなのです。繰り返しますが、これは言うのは簡単ですが、やるのは決して簡単なことではないのです。方向づけには、短期的な方向づけ、ともう少し長い中長期的な方向づけがあります。ドラッカーの言う「マーケティング」と「イノベーション」に対応していると私は考えています。
● 大塚家具は「方向付け」でもめた
最近、大塚家具の創業者会長と娘の社長との対立が大きな話題を呼びました。これは、会長のお客様一人ひとりに接遇係りを対応させ、高級家具を売るというこれまでのやり方に対し、社長は、もっとお客さまが自由に店内を見ることができるような店づくりにやり方を変えよう、ということがことの発端でした、「何をやるか、やめるか」の方向づけでもめたわけです。このことについて少し私なりの意見を述べておきます。
大塚家具は、創業会長の卓越した経営力によって、大成功を収めた企業であることは、貸借対照表を見れば一目瞭然です。一代で東証一部上場企業を築いたわけですが、もうけの蓄えを示す利益剰余金は280億円もあり、現預金も十分にあり無借金経営です。
ただし、そのビジネスモデルにも勢いがなくなっているのも事実です。巨大なショールームに輸入品も含めた幅広い品ぞろえの家具を展示し、名前や住所を登録した来店客に従業員がひとりずつ接客する販売手法で業績を急拡大させましたが、リーマンショック以降は売り上げや利益が伸び悩み、2014 年12 月期は営業赤字に転落しています。
一方、実質賃金の減少傾向が続く中で急速に業績を伸ばしているのが、家具業界の「ユニクロ」とも呼ばれるニトリです。低価格を実現するために製造から小売りまで手がけることで消費者の支持を集め、リーマンショック後も増収増益を続けています。
確かに、大塚家具が現状のやり方で利益を落としていることは事実ですが、では、大塚家具の業績が低迷しているのは、ビジネスモデルが陳腐化したからなのか。それとも社長の力量不足なのか。私から見れば、現段階ではどちらも「仮説」に過ぎず、ビジネスの現場で検証されていないと思います。このところのアベノミクスの恩恵もあり、百貨店などでは、高級家具の売れ行きが比較的堅調ですから、一概に高級路線が間違いとも言えないのです。
● 大塚家具は試験的な方向付けを行えないほど 親子の確執が強かったのか?
では、このような状況で、大塚家具は具体的に何を行なえば良かったのでしょうか。大塚家具は全国に16店舗を展開し、財務的にも余裕があるわけですから、一部の店で新しい施策を試験的に始めれば良かったのです。その過程で低迷の本質も浮かび上がってくると思います。
私は、株主総会でお互いの解任を求めるような経営問題だとは思えません。実験的に新しいことを行えばいいだけのことです。それで問題はビジネスモデルの陳腐化なのか、あるいは社長の力量なのかを見極めればいいことです。
大塚家具にとって不幸だと思うのは、無借金経営であるために銀行という強力な「第三者」のアドバイスが得にくかったこともあります。影響力のあるメインバンクがあれば頭取が仲介に出たと思います。株主総会でも一般の株主から意見が出たようですが、妥協点を見出すのはそんなに難しいことではなかったはずです。
長期保有を望む株主は、増配よりも優れたサービスを提供し、顧客基盤を広げ、安定的に業績を回復させることを望んでいるはずです。社長と会長がどこかで妥協を図り、従業員を安心させるのが最も合理的だったでしょう。対立が長引けばブランド力が低下し、致命傷となりかねません。いずれにしても、社長側が勝利したわけですが、今後の業績が、すべてを決めるということです。業績が悪ければ、問題は再燃しかねません。
ここでは「方向づけ」を巡って株主総会にまで問題が拡大した大塚家具の事例について、私なりの意見を紹介しました。「方向付け」こそが経営者が常に考え抜かなければならないことで、そのためには経営者が常に情報を集める努力を怠らないことと、衆知を集め、素直で謙虚でいることが大切なことは言うまでもありません。そして、方向付けのアイデアも所詮は仮説ですから、それをどう実証するかを考えなければなりません。
次回は、その能力を高める「正しい努力」について説明します。
小宮一慶
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