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総務省発表の経済統計について
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/
2015年05月01日 在野のアナリスト
訪米中の安倍首相が、日本の中小企業200社をシリコンバレーに進出させる計画を明らかにしました。それだと米国の雇用、米経済への寄与は大きく、仮に成功して日本に持ち帰る技術がある場合のみ、日本経済にも恩恵がある形になります。200社も進出する手助けをするぐらいなら、どうして日本でシリコンバレー並みの開発拠点をつくる、と言えないのか? 視察したのですから、その成果を日本で実現できなければいけないはずです。どこまでも米国に従っていればいい、という発想から抜け出せない。それが安倍ノミクスの限界とも言えるのでしょう。
連休の谷間ですが、総務省が経済指標を発表しています。3月消費者物価が生鮮食品を除く総合で2.2%上昇。増税分を除くと0.2%とされます。日銀は原油安の影響を、物価低迷の主因としますが、食料及びエネルギーを除く総合でも2.1%上昇と、コアコアとコアの差がほとんどないことからも、原油安の影響は軽微か、ほとんどないと言えます。2014年度を通じてコアが前年度比2.8%上昇、コアコアが2.2%上昇。むしろエネルギーを除いた方が、物価上昇が鈍い。電気代が上昇をつづけるように、原油価格下落の影響は遅れてくるため、日銀が主因と見ている、原油安は物価低迷を現時点では引き起こしていない、ということが通年の指標からも読み解けます。
3月労働力調査は、完全失業率は前月比0.1pt下がった3.4%。就業者数も前年同月比21万人増と、良好な結果ですが、中身はそれほど楽観できません。パートが増え、アルバイト、嘱託が減っていますが、この多くを女性労働の構造変化、で説明がつきます。しかも業態別でみると、医療・福祉、その他サービスの雇用が大きく伸びている。以前から指摘していますが、これらは労働環境、労働条件が厳しく、離職率の高い職場であって、安定雇用につながるかは政府の施策次第です。製造業が下落し、輸出の伸びも期待できない中、インバウンド消費の本命であるはずの宿泊、飲食サービスの大幅下落は、中国春節明けの影響とするなら、外国人旅行者への高い期待もかけにくいのかもしれません。
3月家計調査は衝撃の内容です。実質消費支出が前年同月比10.6%減、実収入は前年同月比0.3%減。2014年は通年でも前年比、実質で消費支出が2.9%減、実収入が3.9%減ですが、やや回復傾向とはいえ、未だに減少からは脱け出せていません。4月からは前年からみると、比較対象が低いため、回復となるかもしれませんが、一昨年比にどこまで追いつけるか? が重要となります。
2014年度、通年の労働力調査をみると、楽観できる数字でないことがより鮮明になります。正社員は男性1万人減、女性10万人増。男性は減っていますが、特に15〜64歳は6万人減で、65歳以上が5万人増なのです。非正規は男性13万人増、女性21万人増ですが、男性に限ってみると15〜64歳が3万人減、65歳以上が16万人増。男性の15〜64歳の労働力は正規、非正規ともに減っているのです。家族を養うべき年齢層で、就業が減ったことは、日本の構造変化という問題にも直面します。つまり今、女性と高齢者の雇用が増えたことで支えられた数字でもあるのです。
男女とも、非正規の65歳以上が男女合わせて31万人も増えている。働き甲斐を求めて、という面が一部にはあるとしても、減った年金で働かざるを得なくなった、という層もいるでしょう。単純に数字を比較するだけでは見えない、日本の事情が浮かび上がってくる、そんな経済統計とも云えるのでしょう。シリコンバレーに進出する前に、日本で起業、操業する企業を増やしていかないと、日本は凋落の一途を辿っているだけ、ということがつづいてしまうのでしょうね。
GWの連休は、5日までお休みして、6日から再開したいと思います。
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