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【コラム】実体経済から乖離し始めた黒田日銀総裁−ペセック
2015/05/01 13:31 JST
(ブルームバーグ):日銀の黒田東彦総裁は日本のデフレ脱却に向けた取り組みで、トラウマを抱えた世帯、慎重な銀行業界、後ろ向きな企業経営者、力強さに欠ける世界経済といった多くの課題に直面してきた。しかし、4月30日に黒田総裁はリストに新たな1項目を加えた。それは受け入れがたい状況を認めようとしない「否認」だ。
日銀が同日、金融政策の維持を発表した後、黒田総裁は記者会見に臨んだ。それはまるで心理学で言う認知的不協和の勉強会だった。認知的不協和とは矛盾する認知を抱えた状態を指し、人はそれに伴う緊張や不快感を低減しようとするという。自身が掲げる2%のインフレ目標の達成がますます達成困難の様相を強めているものの、黒田総裁は物価の基調は着実に改善していると自信を示した。以下にブルームバーグが速報した5つのヘッドラインを示し、黒田総裁が日本の実体経済と乖離(かいり)し始めている様子を検証してみよう。
*日銀総裁:物価2%の達成時期の後ずれは原油価格が原因 これは現実とかけ離れている。ごくわずかな賃金の上昇と人口動態を背景に、日本の消費者物価上昇率は再びマイナス圏となりつつある。大手輸出企業は円安の恩恵を受けているが、労働者への分配は少ない。日本のエコノミストは何カ月も失業率3.5%と労働市場がタイト化することで大規模な賃上げが近いと分析しているが、なぜ人手不足となっているかの議論が欠けている。理由は人口の減少と高齢化であり、デフレの根本的な原因だ。商品相場だけに責任を負わせても無駄だ。
*日銀総裁:市場との対話で問題生じていない 本当なのか。黒田総裁が量的緩和についての訳の分からない話を止めるなら、この発言の妄想度合いは低下するかもしれない。必要ならちゅうちょなく追加緩和を行うと語る一方で、量的緩和からの出口政策の議論についても多く語る。では、どっちなのだ。
*日銀総裁:政府が財政改革への取り組みを継続すると強く期待 黒田総裁はもちろん、格付け会社フィッチ・レーティングスが先月27日に日本の長期発行体デフォルト格付けを「A+」から「A」に1段階引き下げたことは承知している。安倍晋三首相は世界最大の公的債務の問題に何ら手を打たず、日本の格付けはマルタと同水準とされた。政府は財政改革を推進しつつあると黒田総裁が本当に思っているとすれば、間違った新聞を読んでいるのだろう。
*日銀総裁:国債買い入れで今後問題生じると考えていない 2つ目の妄想発言。日本の金融市場は現在、流動性の欠如に見舞われている。英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)など一部で、日本のトレーディング業務から撤退の動きが見え始めている。日本の10年物国債の奇異な低金利(現在0.32%)も、この国の市場で何かが間違っていることを示唆している。日本のケースは巨額債務を抱える国に関する経済の基本的理論を逸脱している。
*日銀総裁:株価は企業収益の見通しを反映 黒田総裁は図らずも自らの説に冷水をかけた。日経平均株価は4月30日に2.7%安の1万9520円で終了。企業業績が材料となったのではなく、日銀の金融政策維持の発表を受けてだった。日本株は2年にわたり上昇してきたが、その間、実際に変化してきたのはこの国の金融政策だ。黒田総裁が低金利の資金供給で日経平均を押し上げ、市場が企業のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)を先取りしていることは否めない。
黒田総裁の意図的に「否認」は、その地位がかくも影響力のある人物でなければそれほど問題ではない。今の状況は、総裁が自らのデフレ脱却戦略の欠陥について修正を急いでいないことを示唆している。さらに悪いことは、成長促進に向け政府に対し真剣に構造改革に取り組むよう促す努力を、黒田総裁が諦めてしまっているように見えることだ。
つまり、金融政策のミスを実演中なのだ。黒田総裁が現時点で日本経済の状況に満足しているとすれば、この国の中央銀行を率いるという難局には挑まないということだ。
原題:Bank of Japan Is Beginning to Part With Reality(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 Willie Pesek wpesek@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Cameron Abadi cabadi2@bloomberg.net
更新日時: 2015/05/01 13:31 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NNNENF6TTDS101.html
焦点:ETF増額に期待、日銀がユニクロ「大株主化」の副作用も
2015年 05月 1日 11:13 JST
[東京 1日 ロイター] - 日銀による追加緩和の手段として、可能性が高いツールは何か──。多くの市場関係者が予想しているのが、ETF(上場投資信託)の買い入れ枠拡大だ。機関投資家の新規参入を促すプラス効果があるものの、リスク資産の増大は「出口戦略」を難しくする。
さらに、ファーストリテイリング(9983.T)など間接的に個別株の5%を超えて保有するケースがあり、副作用を懸念する見方も広がりつつある。
<日銀ETF買いで市場規模が4.9倍に>
みずほ証券が3月に実施した投資家動向調査によると、約7割が年内の追加緩和を想定。実施される政策手段について、9割近い投資家がETFの買い入れ増額を予想した。一方、国債買い入れの増額を挙げる回答比率は6割超、付利引き下げについては4割弱にとどまった。市場でETF買い入れ強化を予想する声は、相当な広がりを持ってきた。
日銀は、年間約3兆円のペースでETFの買い入れを進めている。市場観測によれば、日銀の買い入れ対象ETFは、日経225連動型上場投信 (1321.T)など日経平均型で5銘柄、TOPIX連動型上場投信 (1306.T)などTOPIX型で4銘柄、NEXTFUNDS JPX日経インデックス400連動型上場投信(1591.T)などJPX400型で4銘柄の計13銘柄。いずれも時価総額に比例して購入しているもようだ。
複数の市場関係者によると、日銀のETF買い入れは、新規設定を通じて行われているという。主な手順は、日銀からETF買い入れを受託した信託銀行が証券会社にETF買いを発注。証券会社はETFに見合う保有株を運用会社に渡し、運用会社は新たにETFを設定するというスキームが採られている。
一連の取引はほとんどが市場外取引で行われ、東証が公表している投資主体別売買動向などには、反映されないとみられている。
この手順を踏めば、日銀がETFの買い入れを継続しても、新たにETFが新規設定されるため、ETF市場自体が拡大していく。これまでもETF市場の残高は、日銀がETF買い入れを始めた2010年12月の2兆6103億円から2015年3月には12兆8967億円と、約4.9倍に膨らんだ。
加えて日銀によるETF買い入れ策を受け、銀行のETF活用が進むという好影響も出ている。東証が公表しているETF受益者情報によると、都銀・地銀の保有金額は2013年7月の6853億円から15年1月には1兆6509億円まで拡大。値上がり分を考慮しても2倍近く増えている計算になる。
<日銀がファーストリテの実質大株主に>
ただ、市場の一部からは日銀によるETF買い入れに対し「個別銘柄への影響を考えると倫理上、問題が生じる」(大手投信)と懸念する声も出始めている。
日銀が公表しているETF購入合計額(簿価ベース、4月30日時点)は、4兆8618億円。時価総額で案分すると、日経平均連動型ETF5銘柄の合計で約2兆6400億円、TOPIX連動型ETF4銘柄の合計で約2兆1700億円の残高となる計算だ。
日経平均の構成比率9.6%、TOPIXで同0.4%となっているファーストリテイリング(9983.T)で算出すると、日銀の保有分は合わせて約2620億円。時価総額5.0兆円の同社にとって、約5.2%にあたり、大量保有報告書の提出が義務付けられている5%ルールに抵触する。時価ベースに換算すれば「約7─8%程度を占める」(国内証券)との試算もある。
ファーストリテ株の直接の保有者はETF運用会社であり、日銀はあくまで間接的に保有しているに過ぎない。だが、個別株における日銀の保有分が膨らむことにより「市場に出回る浮動株が減少し、ヘッジファンドなど短期筋によるファーストリテ株を通じた相場コントロールがしやすくなる」(松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏)と警戒する声が出ている。
<一層の買い入れで歪み増幅>
「ETF買い入れ枠は5─6兆円に増額されてもおかしくない」(みずほ証券・チーフ株式ストラテジストの菊池正俊氏)との見方が広がる一方で、日銀によるETF買いが進めば、その分、ゆがみは増幅しかねない。
日銀は昨年10月、JPX日経400連動型ETFの買い入れを決定。算出開始から1年も経たない同指数の採用に対し、市場では「日経平均型ETFの買い入れに伴う一部個別株への影響を軽くしたいという意向が、あったのではないか」(国内投信ETF担当)との見方も出ている。もっともJPX連動型ETFの規模はまだ小さく、ゆがみの解消にはほど遠いのが現状だ。
日銀のETF買い入れ拡大は、ETF市場の拡大や株価の下支え効果がある。その一方、適正な価格形成が妨げられ、実体経済とかい離する可能性があるほか、日銀自身のリスクも高めかねない。
市場では「株価が上昇しているうちは良いが、グローバル景気がピークアウトし、株価が下落し始めたらどうするのか。出口戦略も一切みえてこない」(UBS証券エクイティ・ストラテジストの大川智宏氏)と不安視する声は根強い。
(杉山容俊 編集:伊賀大記)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0NM31C20150501
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