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マツダのCX-3「マツダ 公式サイト」より
マツダ、“無謀”な大ばくち 超高難度のディーゼル一本勝負 苦い過去を払拭or二の舞い?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150501-00010006-bjournal-bus_all
Business Journal 5月1日(金)6時1分配信
「自動車業界の一匹狼」と呼ばれるマツダが、また勝負に出た。
「国内ではディーゼル仕様車のみを販売する。国内のディーゼル車市場は、新車の登録台数が全体の2%を切るレベルだが、『CX-3』でディーゼル車の普及にチャレンジしたい」
同社の小飼雅道社長がそう言うと、会場の一隅でどよめきが起こった。2月27日、都内で行われた同社の小型SUV(スポーツ用多目的車)「CX-3」発表会でのことだ。
小型SUV市場は、2020年に14年比で約2倍に拡大すると予測されており、競合車がひしめいている。そんな市場で、「ディーゼル車一本で勝負する」という宣言が飛び出したのだから、関係者がどよめいたのも当然だ。
マツダは1970年代、業界の流れに逆らってロータリーエンジンの事業化にのめり込み、見事に失敗した前例がある。ある業界関係者は「ディーゼル車一本で勝負をするのは、マツダとしても初めてです。だから、ロータリーエンジン失敗の悪夢が頭をよぎり、思わず『それは無謀だ』と声を出しそうになりました」と語る。
「CX-3」は、排出ガス規制をクリアした、直列4気筒1.5リッターの最新型ディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 1.5」を搭載した新型車だ。独自の次世代自動車技術群「SKYACTIV TECHNOLOGY」と、新デザイン「魂動(こどう)」を本格的に採用した新世代モデルの第五弾となる。
「SKYACTIV-D 1.5」には、世界で初めてディーゼルエンジンのノック音を抑制する「ナチュラル・サウンド・スムーザー」が搭載されており、走行時の静粛性が高まるとともに、ディーゼルエンジン特有の「ガラガラ音」も解消される。価格は237万6000円から302万4000円までで、1.5リッターとしては強気の設定だ。
●地道な努力で取り戻したブランドイメージ
「『CX-3』投入で、ディーゼル車市場を拡大させる」と語るマツダの強気には理由がある。今、国内で販売されているディーゼル車は約8万台だが、そのうち60%以上がマツダの車だからだ。
直近の1〜2月を見ると、他社の多くが前年同月比で販売台数を落とす中、同社は上回っている。15年3月期の営業利益も2100億円(前期比15.3%増)が確定的で、2期連続の過去最高益更新を達成する見通しだ。そこには、12年3月期まで4期連続の最終赤字に苦しんでいた面影はない。
マツダが復活した背景には、ブランド力を回復させるための地道な活動と、それを支える全社的業務改革活動「モノ造り革新」があった。そもそも、「マツダがリーマン・ショック後の09年3月期から4期連続の赤字に苦しんだのは、ブランド力の毀損が主因でした」(業界関係者)というのが定説だ。
マツダに対するブランドイメージは、中高年層と30代以下の若年層の間にギャップがある。自動車雑誌の記者は「中高年層の多くは『中古車の買い取り価格は二束三文だし、販売店のサービスもよくない。マツダは安いだけが取りえだ』と悪印象を持っています。しかし、若年層は『走りに特徴があるし、デザインもカッコいい』と好感を持つユーザーが多く、ここまで世代によって印象が違うブランドは珍しいです」と苦笑する。
もともと、マツダは技術力やデザインには定評があったものの、販売力が弱かった。そのため安売りに走り、レンタカー用に卸したりすることで、販売量の確保を目指したが、中古車が値崩れを起こしてブランドイメージが低下してしまった。イメージが悪くて売れないので、また安売りに走る、の繰り返しで財務体質が悪化し、経営危機に陥った。
「中高年層は、安売りをしていた時代のユーザーが多いです。そのため、『マツダの車を買ったら、中古の引き取り時に買い叩かれて後悔した。二度とマツダには乗らない』という人が多いのです」(前出の雑誌記者)
同社が安売り戦略から脱出できたのは、02年に打ち出した「Zoom-Zoom」というキャッチコピーがきっかけだった。同コピーには、「マツダの車は、移動手段としてだけではなく、乗るとワクワクする」という思いが込められており、当時は地に堕ちていたブランド力の回復が託された。
これ以降、同社は原点である「マツダらしい走り」を追求し、デザインに磨きをかけていった。そして生まれたのが、10年9月に発表した「強い生命感と速さを感じる動きの表現」を目指した魂動だ。さらに、魂動を技術的に支えたのが、同年翌月発表のSKYACTIV TECHNOLOGYである。同社は、デザインと技術の両輪でブランド力回復に取り組んだのだ。
その成果は「日経ビジネス」(日経BP社)が2月に実施した、ブランドイメージのアンケート調査からもうかがえる。「革新的と感じる自動車メーカーは」との質問に、1位のトヨタ(59.1%)に続いて2位にマツダ(42.8%)がランクインしたのだ。革新性では定評のある富士重工業と本田技研工業を10ポイント以上引き離していた。
それ以上に興味深いのが、「イメージがどう変わったのか」に対する回答だ。63.8%が「革新的なイメージが強くなった」と答えており、ブランドイメージが突出して高いトヨタの44.2%を20ポイント近くも上回っている。同誌は、「マツダのブランドイメージは最近特に強まっており、今や上位メーカーを脅かす存在になりつつある」と評価している。
●周囲が危惧する「のるかそるか」のDNA
「二度と乗りたくない車」から「カッコいい車」にブランド力を好転させたマツダは、このまま快走できるのだろうか。同社の主戦場は、競争が最も激しい中小型の乗用車市場だ。業界内には、「ブランド力だけで今の好業績を持続するのは、容易ではない。上位メーカーが体力勝負に出れば、息切れする」との声も多い。
これについて、前出の雑誌記者は「SKYACTIV TECHNOLOGYをどのように進化させるかで、状況が変わってくる」と語る。
マツダがSKYACTIV TECHNOLOGYの進化形として目指しているのは、「予混合圧縮着火」という究極の低燃費技術だ。これは、あらかじめ空気とガソリンを混ぜたもの(予混合)をピストンの圧縮によって着火させる方式で、「開発に成功すればノーベル賞もの」といわれるほど、難度の高い技術である。当然、上位メーカーも研究を進めているが、「マツダほど真剣ではない」といわれている。
この技術が完成すれば、たとえ販売力で上位メーカーに劣ったとしても、十分にカバーすることができるだろう。「業界の一匹狼」と呼ばれ、リスクに敢然と立ち向かうDNAを持つ、マツダらしい戦略といえる。
しかし、成長戦略をエンジン開発だけに依存するのは明らかにリスクが高い。前出の雑誌記者は「ロータリーエンジンの二の舞にならないために、すべて自社開発にこだわらず、他社との提携を含めた、あらゆる可能性を追求すべきです」と語る。
新世代モデルの成功を踏まえた次の成長戦略に、過去の反省が生かされているかどうか。それが、同社の完全復活を左右するといえそうだ。
文=福井晋/フリーライター
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