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'89年の史上最高値を塗り替える日は来るか?〔PHOTO〕gettyimages
「気が付いたら3万円、そんな日が……」 武者陵司×真壁昭夫対談 「株価2万円」ニッポン経済に何かが起きる
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43095
2015年04月30日(木) 週刊現代 :現代ビジネス
■上昇か、下落か、調整か
真壁 4月10日、日経平均が2万円を超えました。2万円の大台に乗せるのは'00年4月以来で、15年ぶりです。ちょっと上昇のペースが速いかなとは思いましたが、驚きはありませんでした。まだ上昇の余地があるでしょう。納税の資金が必要になってくる6月前後には多少値崩れするかもしれませんが、夏場から秋口にかけて2万2000円くらいまで上げてくるのではないか。
武者 私はより強気で、年内に2万5000円、そして来年から再来年にかけて3万円も視野に入ってくると思います。
資産には適正価格というものがあります。これは本質的には、その資産を持つことでどれだけのリターンが得られるかで決まる。現在は銀行預金の金利がほぼ0%、国債利回りが0・3%という状態です。一方で日本株の配当は平均1・6%ですので、とてもリターンの高い資産と言えます。まだまだ株式を割安な資産だと考える人が増えてもおかしくはない。
真壁 それはかなり強気なご意見ですね。確かに、現在の株高は高い企業収益という裏付けがあるので、まだバブルという水準ではない。ただし、株価がこのまま上昇を続けられるかは、今後も企業収益が上がり続けるかにかかっています。
武者 この20年で日本の企業体質は劇的に変わりました。安値で価格競争をするというビジネスモデルから、高い技術力で高額商品を売るという新しいモデルに転換したからです。スマホの中身を見れば一目瞭然で、コンデンサーもセンサーもそれらを作る精密機械も大半が日本製。しかも価格競争に巻き込まれない品質を伴っている。日本企業はまったく新しいポジションを得たのですから、収益は長期的に伸びていくに違いありません。
真壁 しかし、企業収益以外の面でも株価が調整する要因はあります。
一つは秋口に大型株のIPO(新規公開)が予定されていることです。ゆうちょ銀行やかんぽ生命、そしてLINEのような大手企業が上場するので、多くの機関投資家たちはそれらの株を買うために他の株を売って調整する必要が出てくるでしょう。
もう一点は今年の9月以降の実施が予想されているアメリカの利上げです。
武者 確かに数少ない懸念要因としてアメリカの利上げを挙げる人が多いですが、私は違う意見です。FRB(連邦準備制度理事会)が利上げを決定するということは、本当にアメリカ経済が回復したということの証拠です。逆に景気が腰折れしそうなら、利上げは延期される。
歴史的に見ても、最初の利上げのタイミングで株価が落ちた例はありません。むしろ好調な業績と低金利により、企業など債務者の負担はかなり低くなっており、これから信用増加に弾みがつくという段階です。懸念される新興国不安も、過去の危機のときと比べると対外債務のレベルも低く、心配するにはあたらない。唯一の不安は中国経済の減速ですが、ここしばらくは弥縫策で乗り切れるでしょう。
真壁 本当にそうでしょうか。私も歴史的視点で反論したいと思います。金融危機はほぼ10年サイクルで起きてきました。'87年のブラックマンデー、'97年のアジア通貨危機、'07年のサブプライムローン危機です。そしてそれらの危機の3年前に、アメリカが「利上げ=金融引き締め」を行っているのです。具体的には'84年、'94年、'04年です。
アメリカが利上げすると最初に新興国の市場に影響が出て、3年ほど経つと先進国の株式市場にまでダメージが広がるという構図です。
■海外勢に気をつけろ
武者 それでも基礎体力という意味で、今の日本の市場はしっかりしている。企業収益は好調で'14年度は15%の増益でしたし、'15年度も2桁の増益だと予想されているにもかかわらず、PER(株価収益率)は17倍、PBR(株価純資産倍率)は1・5倍ほどで世界的に見ても割安な水準にあります。
世界的な量的緩和政策もあいまって、いま日本の株式市場は壮大な歴史的相場に入ったといえます。戦後の高度成長期に、大相場は4度ありました。そのうち3度は株価が5倍になり、1度は10倍にまでなった。アベノミクスでの上昇はせいぜい2~3倍ですから、まだ5合目くらいです。
真壁 ただ早い段階で日本株を買っていた海外の投資家たちは、すでに利食いの時期に入っていますよ。
それから気になるのがヘッジファンドの動きです。ヘッジファンドは今年の2、3月くらいにアメリカ株を売って、日本とドイツの株を買っていました。日経平均が1万8500円くらいのときに買っていたので、ちょうど2万円を超えて1割ほどの利益が出たら利食いに走るでしょう。
武者 私は、今は「全員参加型」の相場だと見ています。海外も国内の機関投資家も、個人も皆、買いに回らざるをえない。
'12年秋から'13年の前半にかけての相場の主役は外国人投資家でした。'13年には外国人が15兆円も買い越したが、'14年以降、彼らはいったん日本市場から離れていました。
しかし今年に入っての相場で、円安が進まないにもかかわらず日本株は大幅に上昇し、ドルベースでも世界最高のパフォーマンスを見せた。そこで外国人があわてふためいて買いに回っている。
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)、ゆうちょ銀行なども、保有資産を国債から株へと大きくシフトさせていることはご承知の通り。そして、かつて国内株で大損をして「羹にこりて膾を吹く」状態になり、外貨建て資産を買うことが多かった個人投資家たちも日本株に回帰しています。
真壁 注目すべき銘柄はやはり日経平均などのインデックスへの寄与度が高い大型株です。日本株の個別事情をよく知らない海外勢やGPIFのような機関投資家は、インデックス・ファンドを通して株を買うことが多いですし、ヘッジファンドもこのような株に一気に資金を投入して、上がったらすぐ売り抜けるという戦略を取りますから要注目です。
武者 これから景気が本格的に回復していくことを考えれば、内需の柱である建設・不動産株も上昇余地が大きい。今、日本は'20年の東京オリンピックに向けて建設循環が上向いていますからね。
真壁 しかし、量的緩和という金融政策はあくまで非常時のものということを忘れてはいけません。景気が回復してくれば引き締めざるを得ないし、出口戦略が最も難しい。そのことは黒田東彦日銀総裁がいちばんよく分かっている。
現在の日銀の政策委員会審議委員には、量的緩和推進派のリフレ論者がずらりと並んでいますが、果たしてこのメンバーでうまく出口戦略が描けるのか……。これだけおカネをジャブジャブ流しているのだから、どこかで必ず歪みが出る。株や不動産市場でバブルが発生する懸念があります。
武者 私はそうは思いません。アメリカは計5年間も量的緩和を続けて、景気拡大軌道が復元されました。この政策を失敗だと考えるアメリカ人は一人もいないでしょう。日本は緩和を始めてまだ3年目ですから、あと2~3年はどんどん緩和すればいいのです。今はハイパーインフレのリスクも、通貨暴落のリスクもないのですから、大相場の環境が整っている。気が付けば3万円ということも充分ありえますよ。
むしゃ・りょうじ/投資ストラテジスト、武者リサーチ代表。大和証券のアナリストなどを経て、現在はドイツ証券株式会社アドバイザーを務める
まかべ・あきお/経営学者、信州大学経済学部教授。第一勧業銀行(現みずほ銀行)、みずほ総研調査本部主席研究員などを経て、現職
「週刊現代」2015年5月2日号より
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