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[大機小機]前門の虎、後門の狼を退治せよ
日本経済に昨年後半以降、新たに生じた大きな問題は、世界的な潜在成長率の低下という「前門の虎」と為替・国債市場のボラティリティー(変動率)上昇という「後門の狼(オオカミ)」だ。
国際通貨基金(IMF)は先週、世界経済の見通しを公表した。来年の実質成長率でみると、世界は3.8%、先進国は2.4%、新興国で4.7%とまずまずの回復だ。しかし、2015〜20年まで6年間の潜在成長率(年平均)は、先進国で1.6%、新興国で5.2%と予想外に低い。
この原因は(1)新興国も含め世界的に少子・高齢化が急速に進み、労働人口増加率や労働化率が低下した(2)日米欧の長期景気停滞により設備投資が低迷し、資本の生産性が低下した(3)研究開発や技術進歩、人的能力の伸び率低下により、全要素生産性の伸びが下がった――点にある。
日本にとってショッキングなのは、20年までの潜在成長率が年平均1%以下で、引き上げが容易でないとの指摘だ。少子・高齢化に伴う労働力の減少は女性の参入や定年延長では補完できない、長期デフレで資本の生産性が低いなどを主因としている。
「前門の虎」を退治し、日本が2〜3%の成長を達成する最大のカギは資本の生産性上昇にある。官民とも巨額の研究開発投資を実行し、世界市場を席巻する新技術を開発、設備投資に体化し、資本ストックを高度化することだ。
特に企業は、抱え込んでいるネットで200兆円もの余資を投資に振り向けることが急務になる。成長がなければ企業は衰退し、財政再建もできず、国家存亡の危機に陥りかねない。
世界の為替・国債市場のボラティリティー上昇という「後門の狼」も迫ってきている。為替や米国債市場は、米国金利予想の頻繁な変化や、米ドルとその他通貨との予想実質金利差の変動により説明できる。一方、日本国債の変動要因は市場流動性の不足のようだ。
国債市場の「後門の狼」の退治に必要なのは、まず日銀と市場との日々の対話を一層密接にすることだ。更に、新しい財政再建工程表を前倒しで公表すべきだ。国債格付けの低下や国債にリスクウエートを付与する自己資本比率規制改定は全力で阻止しなければならない。
(恵海)
[日経新聞4月22日朝刊P.17]
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