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国内スマホシェア
PC、TVと同じ道を歩む「日の丸スマホ」、日本メーカー“完全撤退”の危機…
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150427-00000503-biz_san-nb&ref=rank
SankeiBiz 2015/4/28 10:05
“日の丸スマホ”が、おひざ元の国内市場で海外勢に押されて苦戦している。平成26年の国内のスマホ出荷台数シェアは、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」が6割近くまで上昇、韓国サムスン電子と合わせると、6割強を海外勢が占める。こうした海外勢の攻勢で、国内勢の存在感は年々薄れており、前年4位の富士通はベスト5から姿を消した。低価格で高機能な端末を販売する中国勢も日本市場への本格参入を虎視眈々と狙っており、日の丸スマホは、さらなる窮地に立たされそうだ。
■「日本人の6割がアイフォーンユーザー」
「ついに日本人の6割がアイフォーンを使う時代になるとは…」と肩を落とすのは、国内のスマホメーカーの幹部。調査会社IDCジャパンによると、26年の国内のスマホ出荷台数シェアは、アップルが前年比12.7%ポイント増の58.7%まで高めた。
一方、国内勢はソニーが前年と同じ2位を確保したものの、1.7ポイント減の14.2%。経営が悪化しているシャープも前年同様の3位だったが、0.7ポイント減の11.4%とシェアを落とした。前年4位で8.1%だった富士通は半分近くシェアを落とし、ベスト5の外に消えた。
海外でシェアトップの韓国のサムスン電子は順位が前年5位から4位に上昇したものの、シェアを1.9ポイント落とし、4.5%になった。国内のスマホ市場は、アイフォーンの「1強」といえ、アップルはわが世の春を謳歌(おうか)している格好だ。
スマホ登場前は、国内の携帯電話の9割以上が日本製で、当時は通信事業者専用仕様で設計された“ガラパゴスケータイ”が中心だった。ガラケーは、世界に先駆け、インターネット接続やワンセグ視聴、おサイフケータイなど内蔵、日本の技術力を内外に示した。
ただ、国内メーカーはガラケー人気に依存していたため、スマホの開発に乗り遅れ、結果として海外勢に一気にシェアを奪われるはめになった。中でもスマホの元祖といえるアイフォーンは、ブランド力も高く、日本で大きくシェアを伸ばしている。
■ドコモが国内勢シェア減の“元凶”!?
外資系証券アナリストはアイフォーンのシェアが上昇した理由について「NTTドコモの影響が大きい」と話す。ドコモはソフトバンクやKDDIより遅い13年9月からアイフォーンを発売した。アップルとの販売契約は年単位で目標が決められており、ドコモはスマホ全体の新規契約の約4割をアイフォーンにすることで合意したとされる。
ドコモがアイフォーンに参入し大量調達するようになったため、日の丸スマホの取り扱いが減少しているという。それに加え、昨年は携帯電話の2年単位の契約期間、いわゆる「2年縛り」を終える利用者が多かったため、新型のアイフォーンが例年になく売れにという事情もある。
そして、その余波を最も受けたのが富士通だ。かつての電電ファミリーだった富士通は、NTTとの関係が深く、これまでドコモからシニア向けの「らくらくスマホ」や、「ARROWS(アローズ)」などを大量に供給してきた。だが、ドコモのアイフォーン発売のあおりで、供給量が大幅に減った。
富士通以外にも、アイフォーン発売前にドコモの旗艦機種に選ばれたソニーやサムスンも購買台数を大幅に減らされた。サムスンの幹部は、「通信会社や販売店はアップルとの不平等条約に屈し、日本中がアイフォーンだらけになった」と憤りを隠さない。
■2位ソニー、3位シャープも苦戦
また、シェア2位のソニーや3位のシャープも決して安泰といえない。ソニーは携帯電話事業が大幅な赤字に陥っているため、事業規模を縮小する構造改革を進めている。シャープに至っては、会社の存続自体も問われるほど、経営体力が落ちており、携帯電話事業を継続するかという瀬戸際まできている。
日の丸スマホで唯一明るい材料は海外で頑丈なスマホが好調な京セラぐらいで、国内での昨年シェアで5位に顔を出した。
アップルに苦しめられている日の丸スマホだが、背後には新たな敵が迫りつつある。中国の新興スマホメーカーだ。中国のアップルと呼ばれる小米科技(シャオミ)は、製品投入から3年で世界シェア3位にのし上がった。今ではサムスンのシェアを奪い、勢いをつけている。
さらにシャオミに加え、ファーウェイ(華為技術)やレノボ・グループ(聯想集団)も急成長。中国メーカーの強さは低価格で高機能な点にある。国内メーカーの半値にかかわらず、アップルも採用している村田製作所やTDKなどの部品を内蔵している。ジャパンディスプレイやシャープの液晶パネルも採用し、機能面で、国内勢と遜色ないレベルにある。
■中国シャオミが参入視野
シャオミの雷軍・董事長兼最高経営責任者(CEO)は、年内に日本進出も検討しているとされる。デザイン性が高く、しかも半値で高機能なスマホが投入されれば、国内勢が影響を受けるのは必至だ。日の丸スマホは今後、アップルだけでなく、中国勢にも苦しめられる展開も予想される。
かつて国内のパソコン市場はソニーや東芝、パナソニック、NEC、富士通など日本の電機メーカーが強かった。だが、調達した部品を簡単に組み立て、割安に販売する中国や台湾の新興メーカーが台頭し、日の丸パソコンは失速した。
パソコン市場は、競合する商品同士の差別化がなくなり、価格勝負のコモディティ化が進んだ。液晶テレビも同じパターンに陥って国内勢が失速した。その意味で、スマホも機能やデザイン面で進化の限界が見えており、すでにコモディティ化が始まっているとの指摘もある。
日の丸スマホがパソコンやテレビと同じ道を辿(たど)るのか、それとも、再び息を吹き返すのか、岐路に立たされているのは間違いない。
国内のスマホメーカーの多くは海外市場から手を引いたり、事業を縮小したりしており、海外での存在感は低いと言わざるを得ない。おひざ元の国内市場でこれ以上の劣勢を迫られるようだと、“完全撤退”が現実味を帯びてくるかもしれない。
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