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米国が「二速」経済化―中小企業の回復に遅れが鮮明に
By KATE DAVIDSON
原文(英語)
2015 年 4 月 28 日 14:04 JST
ニューヨーク市の小型商店は、賃料の大幅な引き上げを受け、毎月数百店のペースで閉店に追い込まれているもよう SPENCER PLATT/GETTY IMAGES
米経済は直近のリセッション(景気後退)からの回復に、これまでの回復期よりも長い時間がかかっている。だが、ゴールドマン・サックスの新たな調査によると、中小企業の回復の遅れはそれ以上に鮮明だ。
こうした状況を「二速経済」と呼ぶとしよう。金融危機以降、大企業の業績は総じて堅調で順調に収益を増やし、従業員の賃金も上昇しているが、中小企業は起業自体が減っており、雇用も伸び悩む。
ゴールドマン・サックスのグローバル・インベストメント・リサーチ部門の調査チームは新たな論文で、「回復の実感は、大企業およびその従業員と中小企業およびその従業員とでは大きく異なる」と指摘した。
論文によると、その最大の理由は、金融危機後の数年間に新たな銀行規制が導入されたことにある。最低所要自己資本比率の引き上げなど一連の規則により、コストが増加したほか、資金調達を主に銀行に頼る中小企業は融資を受けにくくなった。新たな規制は企業の固定費も押し上げ、スケールメリット(規模の経済性)でコストを分散できる大企業よりも、中小企業の方が大きな打撃を受けているという。
例えば、従業員500人未満の企業は従来、雇用の伸びが従業員500人以上の企業を上回っていた。ところが近年、このトレンドが逆転している。大企業と中小企業の賃金上昇率の差も、金融危機以降の数年間に大幅に拡大している。
加えて、金融危機開始以降の5年間で中小企業の数が実際に減っており、米国勢調査局が統計を開始した1970年代末以来の落ち込みを記録した。
ブルッキングス研究所の2014年の論文でも同様の調査結果が示されたが、こうした変化をもたらした要因については特定していなかった。ブルッキングス研究所のフェロー、イアン・ハザウェイ、ロバート・ライタンの両氏は、いわゆる企業ダイナミズムについて、「本質的には破壊的だが、長期の経済成長にとって不可欠なものでもある」と述べた。
「理由が何であれ、創業が古く規模も大きい企業は、創設間もない中小企業よりも業績が優れている」と続けた。
ゴールドマンの調査員らは論文で、こうした格差に対する「最も妥当な」説明は新規制の影響だとし、新規制は事実上、中小企業への課税となっていると主張している。
法人向けローンは、100万ドル未満については2008年のピーク件数をいまだに大きく下回るが、100万ドル以上の件数はピークから25%余り増えている。最も少額な法人向けローンのコストも、危機前の平均から10%増加しており、これが銀行の競争力を圧迫している。その結果、大企業は従来の回復期よりも投資を減らし、期間も短いプロジェクトに投資するようになっている。
論文は「危機後の規制の累積的な影響は、個別の規制はともかく全体として見ると、中小企業の相対的な競争力に意図せぬ方法でマイナスの影響を与え、米経済を再構成しているようだ」と主張している。
【FRBウォッチ】世界的低金利の謎―見落とされている債務の影響
By JON HILSENRATH
原文(英語)
2015 年 4 月 28 日 12:02 JST
サマーズ元米財務長官(左)とバーナンキ前FRB議長 ALEX WONG/GETTY IMAGES
「国家は破綻する(This Time is Different)」の著者であるハーバード大学のケネス・ロゴフ教授は、ここしばらく実に多くの中銀関係者を当惑させている世界的な低成長と低金利について、新たな説明を提示している。
ロゴフ氏は全て債務に関連があるとみている。
世界経済は信用拡大から資産バブル、そして大きな反転へというお馴染みのサイクルをたどっている。「信用が拡大し、資産が値上がりすると、資産の担保価値が上がり、ひいては融資がさらに増加し、資産価格も一段高となる。バブルが最終的に破裂した時点で、往々にして実体経済は根本からショックに見舞われ、プロセス全体が容赦なく急激に反転する」。ロゴフ氏は論文でこう指摘し、同じくハーバード大学で教鞭をとるローレンス・サマーズ元米財務長官が唱える「長期停滞論」に反論している。
ここ最近は誰もがサマーズ氏に反対したい思いのようだ。連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ前議長は今月初めにブログで、世界は慢性的な貯蓄過剰と投資不足に悩まされているというサマーズ氏の考え方に狙いを定めた。バーナンキ氏は、サマーズ氏が言うような利益性の高い投資が不足している状況は想像しにくいと主張している。
(余談だが、サマーズ、バーナンキ、ロゴフの3氏はいずれも1970年末にマサチューセッツ工科大学=MITで学業を修めた。3氏が今回の議論の中心にいるのは、MITが1世代前に圧倒的な存在感を誇っていた証しだろう)。
サマーズ、バーナンキ両氏の論争は、異例の低金利の謎を重点的に取り上げており、低金利時代到来前の債務サイクルにはそれほど注目していない。ロゴフ氏はこのあまり触れられていない部分について説明を試みている。「長期停滞論」は、高齢化や生産性低下などの長期的傾向がどのように経済成長の減速や低金利につながり得るかを明らかにしているが、6年前に世界経済を不況に陥れた信用バブルについての議論は少ない。ロゴフ氏は「長期停滞という考え方は、世界経済が経験した心臓発作をきちんと捉えていない。変化の遅い人口動態では、急激な住宅バブルとその崩壊についての説明はつかない」と主張している。
ロゴフ氏は金利が低いことの理由として、投資家のリスク回避志向が強いこと、政府が低リスクの国債を強制的に銀行に保有させていること、中銀が金利を押し下げていることを挙げている。このように考えると、現在の世界経済を苦しめている問題に対する処方箋も違ってくる。サマーズ氏は投資資金に充てるための政府借り入れを支持している。一方、債務のスーバーサイクルに対する解決策は本当に債務を増やすことなのか、ロゴフ氏は疑問視しており、「債務は基本的にただ、と論じるのは極めて軽率で危険なことだ」と指摘する。
幸い、債務サイクルは永遠に続くものではない。「景気回復に伴い、(中略)経済はレバレッジサイクルの新たな上昇局面に入っていく。やがて、金融革新によって一部のより面倒な規制は擦り抜けることができるようになる。そうなれば、経済全体が抱える表面的な信用規模は頭打ちとなり縮小に向かうが、実質金利は上昇するだろう」とロゴフ氏は言う。
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