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日銀追加緩和見送り、15年度物価見通し下方修正でも−サーベイ
2015/04/28 09:14 JST
(ブルームバーグ):日本銀行が30日に示す物価見通しが仮に下方修正されても、下げ幅は小幅にとどまるとの見方が強く、金融 政策運営は現状維持を決定するとみられている。ブルームバーグが実施した調査で明らかになった。
ブルームバーグが4月20日から25日にかけてエコノミスト34人を対象に行った調査で、32人が現状維持を予想した。大和証券の野口麻 衣子シニアエコノミストは「見通し数値の下方修正やシナリオ表現の修正があったとしても、『物価の基調』が弱含んでいるとの判断 に至らなければ、追加の対応は必要ないとの結論になりそうだ」という。
2月の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は増税の影響を除くベースで前年比ゼロ%に落ち込んだ。日銀は昨年10月に2015 年度のコアCPI見通し(中央値)を1.9%から1.7%上昇に下方修正、さらに今年1月に1%に下方修正しており、30日公表の経済・ 物価情勢の展望(展望リポート)で下方修正すれば3回連続となる。
複数の関係者によると、たとえ15年度の見通しが下方修正されても、日銀は物価の基調は着実に改善するとみており、16年度、17年度 と2年連続で2%程度上昇するとの見通しが示される見込みだ。
自民党の山本幸三衆院議員は24日、ブルームバーグのインタビューで、物価が目先マイナスになる可能性があり、日銀も物価見通しを 下げるという状況の中、「何もしないという話はちょっとあり得ない」と述べ、30日の金融政策決定会合で追加金融緩和に踏み切るよ う促した。
日銀はコアCPI前年比について、15年度を中心とする期間に2%に達する可能性が高いという見通しを示してきた。BNPパリバ証 券の河野龍太郎チーフエコノミストは「日銀はこれまでも目標達成時期に関する表現を微妙に調整しており、今回、表現を多少後退さ せたからと言って、追加緩和の可能性が高まるわけではないと見られる」という。
物価の基調を強調シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストも「展望リポートで景気・物価の基本シナリオは維持される可能性が高く、政策委 員のGDP成長率とコアCPI見通しの修正も小幅にとどまる」と予想。
「実際には日銀の強気な物価見通しと現実との乖離(かいり)は一段と拡大しているように思われるが、日銀は緩やかな景気回復とそ れに伴う需給ギャップ改善、予想インフレ率の高まりといった『基調』を前面に出すことで、物価シナリオの書き換えを回避する可能 性が高い」とみる。
もっとも、日銀はいずれ物価見通しの大幅な下方修正を迫られ、早晩、追加緩和に追い込まれるとの見方が根強い。ブルームバーグの 調査では、23人(68%)が年内の追加緩和を予想している。
JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストは「『15年度を中心とする期間に2%程度に達する可能性が高い』という表現を修正 するのは時間の問題だろう。2%の物価目標は変えないだろうが、期限は先送りせざるを得ないだろう。その際、円高、株安、期待イ ンフレ率の低下を避けるために追加緩和に踏み切るだろう」とみる。
黒田総裁は限界論にはくみしないみずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「日銀の強気の物価見通しが実現する可能性はほとんどない。見通しの抜本的 な修正とセットで追加緩和を行わない場合、2%目標達成に向けた日銀の『やる気』が疑われ、海外投資家が日本株売りや円買いに動 く可能性が高い。そうした事態を回避するためにも追加緩和は行われる」とみる。
さらに、巨額の国債買い入れが限界に近づいているという「物理的制約などを根拠にして追加緩和の可能性を否定する論者もいるよう だが、黒田総裁の発言内容などから考えて、そうした見方は妥当とは言い難い」という。
ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストも「期限内の物価目標達成は見込みが低い。目標を延期する手もあるが、日銀への 信任低下を招き、その後の政策効果を阻害してしまうリスクがある」と指摘。「最終的には延期をせざる得なくなるにせよ、何もせず に延期するとは考えづらい」とみる。
森本委員の後任にトヨタ出身政府は21日、6月30日に任期が満了する森本宜久審議委員の後任にトヨタ自動車相談役の布野幸利氏を起用する人事案を提示した。森 本委員は昨年10月31日の追加緩和で、石田浩二委員、佐藤健裕委員、木内登英委員とともに反対に回った。
ブルームバーグの調査で、黒田総裁が年内に追加緩和を提案した場合、森本氏の後任審議委員が賛成すると思うか聞いたところ、回答 した28人中27人が「はい」と回答した。
伊藤忠経済研究所の武田淳主任研究員は布野氏について、「輸出企業の出身であり円安進行に対する抵抗感は小さいとみられ、前任者 との比較において追加緩和のハードルは下がった」と指摘。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎シニアエコノミスト も「黒田総裁の意見が通りやすくなりそうだ」とみる。
一方、バークレイズ証券の森田京平チーフエコノミストは「ドル円が120円となった今、布野氏がさらなる円安を求めるとは考えにくく 、金融政策には中立の人事だ」と指摘。メリルリンチ証券の大久保琢史エコノミストは「布野氏は2%の物価目標の達成よりも、むし ろ為替相場の安定に重きを置き、追加緩和は支持しないだろう」とみている。
日銀ウオッチャーを対象にしたアンケート調査の項目は、1)今会合の金融政策予想、2)追加緩和時期と手段や量的・質的金融緩和 の縮小時期および「2年で2%物価目標」実現の可能性、3)日銀当座預金の超過準備に対する付利金利(現在0.1%)予想、4)コメ ント−。
1)日銀はいつ追加緩和に踏み切るか? ================================================================= = 調査機関数 34 100% ---------------------------------------------------------------- -- 4月30日 2 5.9% 5月 0 0.0% 6月 1 2.9% 7月 9 26.5% 8月 0 0.0% 9月 1 2.9% 10月7日 0 0.0% 10月30日 10 29.4% 11月 0 0.0% 12月 0 0.0% 2016年1月 2 5.9% 2016年2月 0 0.0% 2016年3月 0 0.0% 2016年4月以降 0 0.0% 追加緩和なし 9 26.5% ================================================================= = 2)追加緩和の具体的な手段 ---------------------------------------------------------------- -- マネタリーベースの増加ペースの引き上げ 19 長期国債の買い入れペースの引き上げ 14 ETFの買い入れペースの引き上げ 18 J-REITの買い入れペースの引き上げ 8 付利の引き下げ 6 の他 7 ================================================================= = 3)日銀は生鮮食品を除く消費者物価(コアCPI、消費増税の影響を 除く)前年比が2016年度の「見通し期間の中盤頃に2%程度に達する 可能性が高い」としてますが、この見通しは実現しますか。 ================================================================= = 調査機関数 31 ---------------------------------------------------------------- -- はい 3 いいえ 28 ================================================================= = 4)日銀が2%の「物価安定の目標」が安定的に持続すると判断し、 量的・質的金融緩和の縮小を開始する時期はいつ? ---------------------------------------------------------------- -- 調査機関数 32 100.0% ---------------------------------------------------------------- -- 2015年上期 0 0.0% 2015年下期 0 0.0% 2016年上期 0 0.0% 2016年下期 2 6.3% 2017年上期 0 0.0% 2017年下期 5 15.6% 2018年以降 9 28.1% 見通せず 16 50.0% ================================================================= = 5) 日銀は30日、経済・物価情勢の展望(展望リポート)で2015年 度、16年度、17年度の 生鮮食品を除くコア消費者物価(CPI)前年比(増税の影響を除く) と実質GDP成長率の見通しを公表します。 【エコノミストご自身の見通し】と【日銀の見通し(中央値)の予想】 をそれぞれお示しください。 ---------------------------------------------------------------- -- エコノミストの見通し/日銀 の見通しの予想 15年度 - コアCPI 0.3% 0.7% 16年度 - コアCPI 1.1% 2.2% 17年度 - コアCPI 1.25% 2.1% 15年度 - 実質GDP 0.7% 2.0% 16年度 - 実質GDP 2.2% 1.6% 17年度 - 実質GDP 2.1% 1.0% ================================================================= = 6) 森本宜久審議委員の後任人事が21日に提示される見通しです。 その人物は黒田総裁が年内に追加緩和を提案した場合、賛成すると思わ れますか。 ---------------------------------------------------------------- -- 調査機関数 28 ---------------------------------------------------------------- -- はい 27 いいえ 1 ================================================================= = 問1に対しての回答の詳細 ---------------------------------------------------------------- (表中の5番目の質問項目の日銀の見通し予想の数字は訂正済みです) 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net; 東京 James Mayger jmayger@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Miller bmiller30@bloomberg.net; James Mayger jmayger@bloomberg.net 淡路毅更新日時: 2015/04/28 09:14 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NNGEAM6TZ02T01.html
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