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“脱銀行”の新資金調達法が急拡大 ソニー、メーカー主導のモノづくりに革新
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150427-00010002-bjournal-bus_all
Business Journal 4月27日(月)6時1分配信
ソニーがスマートフォン(スマホ)でドアの鍵を開閉できるスマートロック事業などで利用し、一躍注目を集めているクラウドファンディング(CF)。インターネットを通じて広く小口資金を募りプロジェクトを実現する新しい資金調達手法だが、その実態は意外と知られていない。今回は最近のCF事情について探ってみたい。
CFとは、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、ソーシャルファンディングとも呼ばれている。銀行など金融機関や投資家などではなく、不特定多数の一般の人から、例えば500円という少額からの支援が可能になる点が大きな特徴だ。
一口にCFといっても、一つのタイプに限定されるのではなく、支援者に提供されるリターンの形態により、寄付型、購入型、投資型に大別される。リターンとは、支援者が受け取る対価としての見返りだ。つまり、リワード(報酬、特典)であり、購入型の場合は金銭以外のモノやサービスとなる。金融商品取引法の対象外であり、一般の商取引のもとで行われる(特定商取引法内の売買行為)。
寄付型はリターンがなく、投資型は株式や金銭などが該当する。投資型は金融商品取引法の規制を受けるため、運営事業者は第2種金融商品取引業の登録が必要となる。この投資型では、金融庁が金融商品取引法の施行令を改正し、5月から未上場株への投資勧誘を解禁。1人当たり50万円までベンチャー企業の株式に投資できるようになる。
ソニーが利用したのは購入型のCFで、運営会社が専用サイト(プラットフォーム)を持ち、プロジェクトの起案者と支援者(資金提供者)を仲介する。購入型の代表的なプラットフォームとしては、「READYFOR?」「MotionGallery」「Makuake」「WESYM」「FAAVO」「GREENFUNDING」など。各CFサイトとも、プロジェクトが目標金額を達成した場合の手数料を運営原資としている。その手数料は10〜20%ほどだ。
欧米から始まったCFは、日本でも急速に普及しつつあり、CFサイトに約200社が参入。市場規模(支援額)も20〜30億円程度に広がっているとも推計されている。ただ、運営会社の淘汰は、すでに始まっているともいわれている。
●事前のマーケットニーズの把握や顧客獲得を重視
ソニーは、スマートロック事業でサイバーエージェント系のCFサイト「Makuake」を利用した。支援者には、一般消費者に先行して新商品のスマートロックが提供される。また、スマホで簡単に家庭内ネットワークを介して家電などを遠隔操作することができる電子ブロックのMESH事業では、米国のCFサイト「Indiegogo」を利用した。
同サイトは、「Kickstarter」と並ぶ米国の2大購入型プラットフォームの一つ。米国の場合、資金調達額では日本円で1億円を超すプロジェクトも少なくない。一方の日本では、まだ1億円を超すプロジェクトは現れていない模様だが、年内には登場するのではと見る向きも少なくない。
購入型のCFには、単に資金調達というだけではなく、事前のマーケットニーズの把握(テストマーケティング)や顧客獲得、プロモーションなどといった機能も持つ。ソニーがCFを利用したのも、そうした側面を重視しているからだ。
事実、ソニー広報部は「消費者の声を商品企画に反映させ、開発の迅速化を図ることを狙っています。それに、ソーシャルメディアを介して認知度向上やファンを増やすといったマーケティング効果も期待しています」と明言している。まさに消費者主体のモノづくりへの挑戦で、これまではメーカー主導だったモノづくりの現場に変革の息吹を吹き込もうとしていることがうかがえる。
スマートロックでは、目標金額150万円に対して、支援者1651人から2545万円強を集めた。運営会社に支払う手数料は20%の約509万円になる。今後、ソニーがどこまでCFを利用するのかは不透明だが、「モノづくりに欠かせない手段として位置づけ積極化するようなら、ソニー自体がCFサイトを持つ可能性もあるのではないか」(関係者)という声も聞こえるが、自社で運営すれば手数料を支払う必要もなく、当然の流れといえよう。
(文=牧瀬良/フリージャーナリスト)
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