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被災地企業の再起を邪魔する国策!全国から集結した「バイト」が起こした奇跡(Business Journal)
http://www.asyura2.com/15/hasan95/msg/703.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 4 月 26 日 07:58:15: igsppGRN/E9PQ
 

被災地企業の再起を邪魔する国策!全国から集結した「バイト」が起こした奇跡
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150426-00010003-bjournal-bus_all
Business Journal 4月26日(日)6時1分配信


「東日本大震災の被災地にある企業は、人手不足で困っている」

 地域によって濃淡はあるが、これはおおむね事実だ。3月27日に発表された厚生労働省の「労働力調査」によると、2月の有効求人倍率は全国平均で1.15倍だったが、岩手、宮城、福島の3県で大津波に直撃されて被災した沿岸部の職業安定所別の有効求人倍率を順に見ていくと、岩手県は久慈0.80倍、釜石1.03倍、宮古1.22倍、大船渡1.58倍、宮城県は気仙沼1.68倍、石巻1.87倍、塩釜0.91倍、仙台1.56倍、福島県は相双2.27倍、平1.72倍だった。全国平均よりも低いのは久慈、釜石、塩釜の3カ所だけで、福島第一原発事故関連の除染作業の求人が多い相双は2倍を超えている。大船渡、気仙沼、石巻は地場産業の水産加工場の求人が多く、昨年は2倍を超えた月もあった。

 有効求人倍率については、働く側にしてみれば「求人には非正規雇用も含まれる」「年齢によっては応募しても採用されない」「雇用のミスマッチを考慮していない」など問題点も多々あるが、地域の雇用情勢の目安にはなる。

 企業側にしてみれば、「求人を出しても応募がない」というのは文字通り死活問題。被災地では、企業が設備の増強や事業所の増設を計画すれば、国や自治体の手厚い補助金や制度融資のメニューは用意されている。しかし、「人がいないために、やりたくてもできない」と嘆く経営者が少なくない。

 復興庁や自治体は「産業を振興すれば雇用が創出され、地域に活気が戻り、人口が回復する」という、従来の地域振興の定石のシナリオを念頭に政策を推進しているが、東北の被災地では雇用の創出どころか、「雇用状況のひっ迫のために、産業の振興がままならない」という皮肉な現象が起きている。

 なぜ、求職者が少ないのか。その最大の要因は震災直後から国が率先して打ち出した「臨時雇用対策」にある。

●「公」による臨時雇用対策に、人が吸収されてしまう

 誤解されがちだが、失業率0%の「完全雇用」は決してバラ色の理想社会ではない。

 まず、起業の芽が摘み取られる。ベンチャーを立ち上げても、その事業がよほど有望でなければ、新卒以外ではせいぜい縁故ぐらいでしか人を採用できない。起業家個人の人脈を頼りに「将校」の幹部は集められても、労働市場に失業者が適度に存在していないと、ベンチャーに身を寄せて現場の第一線で働く「歩兵」が集まらない。「歩のない将棋は負け将棋」で、金将や銀将の参謀や飛車角の機動部隊だけでは、ビジネスの戦場で勝利を収めることはできない。ベンチャーが育たず新陳代謝が行き詰まれば、経済社会のバイタリティをそぐ。

 既存の企業も「絶えず人手不足」で年がら年中、中途採用を募集しているような状態に陥ると、たとえカネがあっても生産ライン増設、生産や販売の拠点拡大、新事業進出など新しいことが始められない。それどころか社員が辞めるとなかなか補充できず、残った社員の業務負担が増す。「残業はイヤだ。転職先はいくらでもある」と、また辞める社員が出ると、一人ひとりの業務の負担がさらに増して労働環境が悪化し「ブラック企業化」の道をたどる。それは企業にとっても、そこで働く社員にとっても不幸なことだ。

「肥満は健康の敵」と言いながら、皮下脂肪がなければ人間は死んでしまうように、経済をスムーズに回すには最低でもある程度の失業率は必要になる。そんなことは、別に「労働経済学」を勉強しなくても、社会人なら常識の範囲内で十分、想像がつくだろう。

 ただし、被災地での雇用は「公」が入ったことで、少し事情が異なっている。そこでは「臨時雇用対策」の名のもとに、ワークシェアリングが機能しているからである。例えば2014年度の各県被災地の「緊急雇用創出事業」による雇用創出目標は、岩手県が6150人、宮城県が7091人、福島県が5820人(市町村分含む)で、復興特別法人税・所得税が主な財源の、国の東日本大震災復興特別会計から緊急雇用創出事業臨時特例交付金という名の補助金が出て、被災地で人を雇う自治体や企業、団体に支給されている。

 ワークシェアリングとは、ごく単純化していえば、1人分の仕事を2人で分け合えば雇用を2倍に増やせるという考え方で、その1人当たりの報酬は、公的な補助が加われば0.5人分ではなく0.7〜0.8人分受けられるので、雇われる側にしても収入が安定する。終戦直後の1946年から当初、復員兵の雇用対策として国や自治体が始めた「失業対策事業」は、典型的なワークシェアリング政策だった。ちなみに、96年に緊急失業対策法が廃止されたことに伴い、失業対策事業は終焉を迎えた。

 ワークシェアリングは、戦災や震災の直後で民間企業がまだ事業を再開できない状況では、作業と引き換えに「キャッシュ・フォー・ワーク」で現金を供給し、被災者の生活基盤の維持に大きく貢献する。東日本大震災では、この臨時雇用対策があったおかげで他の土地に移ることなく被災地にとどまった人は決して少なくない。一部のNPO法人や企業による悪用が報道されたが、ワークシェアリングの仕組み自体は決して悪くはない。

 だが、臨時雇用対策は結果的に被災地で多くの雇用を吸収・固定してしまい、そのためハローワークの窓口では求職者が極端に減って「有効求人倍率2倍」という、復興を果たした現地の企業にとっては由々しい事態を生み出してしまった。水産加工場の作業員も、コンビニエンスストアの店員も、宅配便のドライバーも人手不足で、企業は人のやりくりに困っている。

 実際の復興の状況は地域によっても企業によっても大きく異なっており、半年から1年程度で事業を再開し、現在は震災前より売り上げを伸ばしている企業もあれば、事業再開まで2〜3年かかり、再開後も業績が低迷している企業すらある。事業を再開できず、廃業した企業も数知れない。そんな中、いち早く復興を遂げ、被災地が以前のにぎわいを取り戻すために公的な補助金も受けながら積極的に設備投資を行って業容を拡大し、雇用を生み出している地元企業に、現在の雇用状況は余計な苦労を背負わせてしまっている。

●人手不足打開策の成功例、南三陸町「復興応援バイト」

 東日本大震災とその津波で死者620人、行方不明者214人、総世帯の約62%の3321戸が全半壊という甚大な被害を受けた宮城県南三陸町。鉄骨だけになった防災対策庁舎跡は陸前高田市の「奇跡の一本松」と並ぶ震災メモリアルとして訪れる人も供花も絶えない。更地と化した市街地には防潮堤の工事、地盤のかさ上げ工事でダンプカーが走り回る。地場産業の志津川湾のギンザケやカキ、ワカメの養殖漁業も水産加工業も大津波で壊滅的な被害を受けたが、4年が経過して産業の復興が進んでいる。しかし、震災前は1万7000人を超えていた町の人口は15年2月末現在で1万4081人と、いまだに回復せず、むしろ徐々に減り続けている。

 商店街が復活して被災者も高台の仮設住宅に入居し、その生活が落ち着きを取り戻しつつあった頃の13年4月、「南三陸町復興応援プロジェクト」の一環として、人手不足の問題をアルバイトの募集・派遣で補い、町の産業の復興を手助けする目的で「復興応援バイト」が始まった。

 復興応援プロジェクトは95年1月の阪神・淡路大震災でも活動した社会貢献共同体ユナイテッド・アースが企画・運営しているもので、復興応援バイトは人材派遣会社のガイアサインが実務を担い、事務局を近隣の宮城県登米市登米町に置いている。

 南三陸町でのアルバイトを全国から募集し、派遣社員として水産加工業、観光業などの町内の企業に派遣する。資格は18歳以上(高校生不可)で、期間は水産加工業で3カ月以上、観光業では6カ月以上。ホームページの応募フォームに記入して申し込み、履歴書を郵送するとネットを活用した面談を行った後、希望に応じて派遣先を紹介する。期間中はボランティア活動拠点の寮に寝泊まりして共同生活するが、立場はボランティアではなくアルバイトという労働力である。

 南三陸町では大学生の「復興支援インターン」も受け入れているが、これは1週間程度の短期の仕事体験なので、企業にとって労働力という面のメリットはほとんどない。それに対して復興応援バイトは軽作業に限定されず、生産ラインの作業や接客・案内のような重要な部分の仕事も任され、業務に対する責任感を持つことが求められる。

 被災企業支援の意味合いもあるため、時給は町内の賃金水準に合わせており、決して良くはないが、これまでの実績では応募者は200名に上り、80名が実際に就業している。その内訳は男性35名、女性45名。年齢層は10代が10名、20代が50名、30代以上が20名で、若者層の流出に悩んでいる町に働き手が全国から集まった。地域別では関東・甲信越が30名、中部・東海が15名、関西が11名、九州が6名、その他が18名で、東北以外の地域から来た人が多数を占めている。

●希望して正社員になった男性、派遣先の社員と結婚した女性

 復興応援バイトに求人を出した企業は10社で、5職種にわたっている。そのうち1社は復興応援バイトに8名の募集を出した。業種は特産のギンザケなど水産物の加工で、海辺にあり津波の直撃を受けた生産拠点が次々と復旧し、加工したサケがコンビニのおにぎりの具に採用されるなど販売が順調でネコの手も借りたいほどの忙しさになっていた。しかし、高校卒の新人は集まったが、中途採用はできなかった。経営者たちは、町内には廃業した会社もあるため、人はすぐに集まるだろうと楽観視していたが、見込み外れとなった。

 最初にやってきたアルバイト8名は、性別も年齢もそれまでの経歴もバラバラ。応募動機も「被災地復興のお手伝いをしたい」というのもあれば、「手に職をつけて人生をやり直したい」というのもあった。生産ラインで魚をさばく加工の補助や箱詰め、出荷の作業についたが、未経験者ばかりで指導役の社員も当初、戸惑うことばかり。それでも現場の戦力になるまで、それほど多くの時間はかからなかった。もし復興応援バイトがいなかったらフル操業はできなかったといい、経営者は「非常に助けられた」と感謝している。

 8名のうちの1名の男性は新潟県からやってきたが、3カ月の派遣期間を延長して、1年以上、働き続けた。社員も一目置く働きぶりで、経営者も「このまま残ってほしい」と思っていたが、本人もそれを希望しており、正社員として入社した。ある女性アルバイトは派遣先の男性正社員と恋に落ち、めでたく結婚した。まるでテレビドラマのようだが、両ケースとも、南三陸町の人口が震災前の水準に戻ってにぎわいを取り戻してほしいと願う関係者にとっては、町民が増えて定住人口が増加するという喜ばしい結果になった。派遣期間を終えて元の地へ帰った人も、復興途上の被災地やそこに住む人々の良さを感じてそれを全国に伝え、風評被害のような誤解を防ぐ「交流人口の増加」に一役買っている。

●臨時雇用対策が縮小しても、復興応援バイトは縮小しない方針

 東日本大震災の臨時雇用対策の“先輩”である失業対策事業は、戦災の復興が進んでも終了せず、問題を抱えながら50年も存続した。政府は「緊急雇用創出事業」など、被災地の臨時雇用対策は15年度から段階的に縮小していく方針を示している。民間事業への圧迫を避け、自律的な復興を促すというのが主な理由である。離職しても3カ月から1年程度は失業保険の失業給付金が出るので、被災地を管轄する職業安定所の有効求人倍率の高止まりは時間差を伴って低下し、正常化するとみられている。臨時雇いを民間企業の正社員に置き換えると、落ちこぼれる人が出て被災地を去ってしまいかねないという批判もあるが、事業を拡大したくても人がいないと悩んでいる地元企業にとっては、歓迎すべきことだろう。

 南三陸町で今後、離職者が労働市場に出てきて、正社員を募集した企業に応募が集まるような状況になれば、復興応援バイトはその役割を終えるのだろうか。関係者によると必ずしもそうはならない見通しで、規模を縮小せず、なお継続していく方針だという。

 理由の一つは、町の人口が減り続けていること。震災前に比べて減った人口約3000人は20〜40代の現役の働き盛り世代が多く、近隣市町村に移り、そこで仕事を得て家も建ててしまうと、南三陸町には戻ってこないだろう。町でも高台の住宅地を造成中だが、住宅が建つまであと2年ほどかかる見込みで、それまでの間は人口の減少に歯止めがかかるとは考えにくく、それが町内での求職者増を抑制するとみられている。

 もう一つの理由は、全国どこでも見られる雇用のミスマッチだ。復興応援バイトの主要な派遣先は水産加工業と観光業だが、水産加工業はとかく3K(きつい、汚い、危険)と敬遠され、震災以前からハローワークに求人を出しても応募が少ない傾向があった。そのため海外からの実習生の受け入れで人手不足を補っていた事業所もあった。今後、求職と求人のアンバランスが解消しても、雇用のミスマッチの問題が残る限り、人手不足の根本的な解消にまでは至らないというのが実情だ。特に長期雇用の正社員を募集する際の苦戦は続きそうだ。

 こうした事情を考えれば、復興応援バイトのニーズは将来も長期にわたって存在し続けるというのが関係者の見方である。自ら希望して被災地で働きたいとやってくるので派遣先でのトラブルはほとんどなく、町内でのアルバイトの評判は概して良いため、南三陸町でも継続を要望している。窓口のガイアサイン(0220-23-9015)では募集を続けている。

寺尾淳/ジャーナリスト


 

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コメント
 
01. 2015年4月26日 19:37:42 : VpCrTaMqO2
>誤解されがちだが、失業率0%の「完全雇用」は決してバラ色の理想社会ではない。

そういうのであれば失業者にもう少し暖かい社会になれよ。


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