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4月24日、国内主要生損保の2015年度資産運用計画が出そろった。国内低金利による運用難が続けば円債を減らし、代替としてヘッジ付き外債を増やすとする運用方針が多い。2013年2月撮影(2015年 ロイター/Shohei Miyano)
焦点:運用難に苦しむ国内生損保、円債から外債へシフト進む
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPKBN0NF0YN20150424
2015年 04月 24日 19:38 JST
[東京 24日 ロイター] - 国内主要生損保の2015年度資産運用計画が出そろった。国内低金利による運用難が続けば円債を減らし、代替としてヘッジ付き外債を増やすとする運用方針が多い。世界的にも低金利が広がっており、株式などのリスク資産や成長分野への投資などに少しでも高いリターンを求める動きも強まっている。
ただ、高いリターンには高いリスクが付き物。これまで以上にリスク管理の重要性が増しそうだ。
<ヘッジ付外債にシフト>
この国内低金利では、必要な利回り確保は難しい──。多くの生損保の運用担当者は口をそろえる。24日の市場で、日本の10年国債利回りJP10YTN=JBTCは0.3%を1カ月半ぶりに割り込み、2年債JP2YTN=JBTCは一時マイナス0.015%と再びマイナス圏に突入している。
ポートフォリオ全体として円債中心の運用は変わらないが、このまま国内の低金利環境が続けば、今年度の運用計画で円債は減らさざるを得ない。国内景気の見通しは総じて悪くないが、世界的な金融緩和の浸透が進み、主な運用対象である超・長期債の利回りは一段と低下するというのが、ほぼ各社共通のメーンシナリオだ。
そこで円債の代替となるのが、ヘッジ付き外債だ。為替をヘッジしたうえで米国債などに投資し、日本よりは高い利回りを得るというのが、バイサイドの今年度運用計画の基本戦略となる。
富国生命は、現在の国内低金利が続くとの前提で、円債の残高を1000億円程度減少させる一方、ヘッジ付き外債を前年度比2倍となる2000億円程度積み増す。「10年債で0.5%以下の利回りでは円債への投資は難しい。米10年金利で1%後半が確保でき、かつ円安が予想されるのであれば、円債の代替としてヘッジ付き外債を増やすことがメーンになる」と渡部毅彦・財務企画部長は話す。
<世界に広がる低金利>
だが、低金利は日本だけではない。G7(主要7カ国)の10年国債利回りの平均は23日で1.05%。ドイツでは7年債、スイスでは10年債さえもマイナス金利に突入している。世界的に金融緩和が強まるなか、あふれた緩和マネーによって、短期債だけでなく、長期債までも金利低下が一段と進んでいる。バイサイドとして、必要な運用益を確保するために、外債投資も多様化を模索する必要が出てきている。
日本生命は、前年度まで円金利資産とそれ以外の運用資産との投資割合をほぼ7対3としてきたが、今年度それを崩す。金利状況次第で柔軟に変更する予定だが、現在の低金利が続けば、今年度の運用予定額1兆─1兆5000億円は、円金利資産以外のオープン外債や内外株式などリスク性資産の投資割合を拡大させる予定だという。
住友生命の外債投資は、ヘッジ付き・オープンを合わせて5000億円超の外債投資を予定しているが、対象国を拡大する方針だ。これまでは米欧豪を主な対象国としてきたが、今後は米豪の周辺国や、ユーロ圏の中心国以外の国などを対象に含めていく。米ドル建て社債市場を中心に、海外社債にも段階的に投資するという。
損保は保有商品の期間が生保ほど長くないが、それでも昨今の低金利環境は苦しいという。東京海上日動火災保険は、米債を中心にヘッジ外債への積み増しが基本方針だが、アジアを中心とする新興国への株式投資も検討する。今まで投資実績はないが「欧米に比べて、アジアの方が株価の上昇が見込めるため、マクロ分析や産業調査を含め、いつでも投資できる体制を整える」としている。
<リスクとリターン>
だが、高いリターンを求めれば、リスクも高くなる。あくまでサブシナリオだが、金利上昇局面を想定する運用担当者も少なくない。
大同生命・運用企画部長の寅井徹氏は、今後2─3年のスパンでは、マネーが大量に供給されてきたなかで、金利が正常化に向かい、マネーが巻き戻される過程で、クラッシュ・リスクが高まり、金利が急上昇する可能性もある、とみている。その場合は、株式などリスク資産も大きな損失をこうむる恐れがある。
生保業界では、標準利率(契約者に約束する運用利回りの基準、現在は1%)の引き下げも検討課題だが、低金利環境が長期化する中では、利回りの確保は徐々に難しくなってくる。これまで保有していた高い利回りの運用資産は償還されていくためだ。標準利率を現状のままとするなら、より高いリターンの期待できるリスク資産へのシフトは避けられない。
国内だけでなくバイサイドが直面するのは、リスク資産へのシフトを進めながら、いかにリスクを抑えるかという難しい課題だ。
日本生命・財務企画部長の佐藤和夫氏は「リスクを取りながら、リスクをコントロールすることを低金利下では挑戦しないといけない、リスク管理体制の高度化が運用部門に課せられたテーマ」だと話している。
(伊賀大記 編集:田巻一彦)
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