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年金のマクロ経済スライドで「負の遺産」処理 人口減少でやむを得ぬ措置だ
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150424/dms1504240830008-n1.htm
2015.04.24 「日本」の解き方 夕刊フジ
4月から年金の受取額のマクロ経済スライドが実施され、「受取額が目減りする」などと報じられた。その背景などを説明しよう。
公的年金は基本的に賦課方式といって、現役世代の保険料を引退世代に配分する方式で運営されている。これは、インフレ率・賃金変化分を給付額に反映できるが、現役世代の増減が給付額に影響される。前者は賦課方式のメリットであるが、後者は現役世代の減少がデメリットになる。
なお、私的年金の場合、積み立て方式なのでインフレ率・賃金変化分の反映はしにくいが、現役世代の増減にも左右されない。
公的年金では、現役世代が減少するので、一定の給付額を維持しようとすると、保険料は年々上昇せざるをえない。これでは困るので、2004年に一定の時期以降、年金保険料の上昇を押さえる代わりに、年金給付額について一定率減額される仕組みが導入された。これが、マクロ経済スライドである。
本来であれば、どのような経済状況であっても、将来にわたり継続的に年金給付額そのものを一定率削減することもできるが、それでは削減が誰の目にもわかりやすくなってしまう。
そのため、毎年の改定において、インフレ率・賃金変化分が0・9%より高いときには削減し、それより低いときには削減しないという方式にした。これが、マクロ経済とのかかわりであり、マクロ経済スライドと呼ばれるゆえんである。
ただし、この方式は、これまでデフレ経済であったので、適用されてこなかった。
以上が基本的な仕組みであるが、実際の毎年の年金改定では、政治的な要請で、本来の数字とは異なる決定が行われてきた。00〜02年度において、物価が下落していたので、本来はその分、給付額を減額すべきであったが、それをやらずに、給付額を据え置いた。これを物価スライド特例という。
15年度の年金改定では、ようやくデフレ脱却しかけてきたので、初めてマクロ経済スライドが適用される環境になった。そこで、マクロ経済スライドと過去の物価スライド特例の分を、改定の際に調整している。
具体的には、賃金上昇率2・3%をベースとして、マクロ経済スライドの0・9%、物価スライド特例分0・5%を引いて、改定率を0・9%としている。これで「受取額が目減りする」といわれる。
もっとも、これまでのデフレ下で、マクロ経済スライドの停止と物価スライド特例によって、年金給付額が高止まりし、必要以上の恩恵を受けてきたわけだ。そうしたデフレ下の負の遺産を、デフレ脱却とともに返済しているにすぎない。
物価特例スライド分は一時的な措置であるが、政府・日銀が目指すマイルドインフレであれば、マクロ経済スライドは継続的に適用される。これは、人口減少の下で将来の年金保険料をこれ以上引き上げないためにはやむを得ない措置である。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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