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7000万円貯めた人の「ざっくり」貯金術
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150424-00067455-toyo-soci
東洋経済オンライン 4月24日(金)6時0分配信
お金を貯めている人は、節約第一のつらい生活を送っているのか? 『外資系コンサルタントのお金の貯め方』(KADOKAWA)で7000万円の貯金を成功させたスキルを紹介した筆者は、それに異を唱えます。この連載の最終回である今回は、貯金生活を楽に続けるポイントについてご紹介します。※第1回目記事:家計を全公開! 外資系コンサルの「貯金術」※第2回目記事:貯金体質に変わる、「最短ルート」はこれだ! ※第3回目記事:7000万円貯めた人の、挫折しない貯金生活 貯金に向く人というと、とにかくお金を貯めるのが好きで、粘り強く地道に100点を目指して頑張れる人をイメージしてしまいます。私も学生時代や新社会人の頃はそう思っていました。
当時、私は480万円を超える奨学金を借り入れていました。早く借金を返済するため、窮屈な生活でも我慢してお金を貯めなければならないと考えていたのです。
しかし、その後、7年間貯金生活を続け、7000万円を貯めた現在は、まったく違う考えを持っています。むしろ、お金を貯めることだけに一生懸命になりすぎる人は、貯金に向かない人だと思います。そして、自分は貯金に向かないと思い込んでいる面倒くさがりや大雑把な性格の人、思い切ってお金を使う人こそ、貯金の素質に恵まれた人だと思います。
私はこれまでの経験から、こういった人たちは、ちょっと視点を変えるだけでストレスをためずにうまく貯金できると断言できます。
どんなに必死にお金を貯めても、“生き金”にできなければ豊かな生活は送れません。そして、ひたすら倹約を続ける窮屈な貯金生活なんて、長くは続かないのです。
本日は、根を詰めたまじめすぎる貯金が失敗する理由を解説するとともに、貯金生活を楽に続けるポイントについてお伝えします。
通帳の残高が増えていくのが楽しみで、お金を貯めること自体が目的になっている人がいます。万が一の備えとしての安心感は生むものの、お金をほかの価値に変換できないので、お金本来の力を発揮させることができません。
そもそもお金は何のために貯めるのでしょうか。貯金は将来の自分に対する贈り物という側面を持ちます。貯めたお金で、自分の夢を実現して、豊かな生活を送る。そのためにお金を貯めるのだと思います。つまりは「使うために」貯めるのです。
■ 「死に金」貯金になっていませんか?
このような観点から考えると、ただ貯金残高の増加を眺めているというのは、持っていても持っていなくても同じお金、いわゆる「死に金」を貯めている状態です。自己満足の範囲内であればよしとしても、それに付き合わされるパートナーがいたとしたら可哀想です。いずれ、亀裂が生じて貯金生活は破綻してしまうかもしれません。
では、このような状況に陥らないためにはどうすればよいのか。そのいいヒントが「企業ピラミッド」にあります。
企業ピラミッドとは、経営に必要な要素をピラミッド上に並べたものです。下の階層に降りるに従って、より細かく、より具体化されるのが特徴です。
○年後はこうなっていたいというビジョンを頂点として、2段目にはビジョンを実現するために達成すべき数値目標。3段目は数値目標を現実のものとするための戦略、4段目が戦略に従った具体的な計画と行動になります。
このピラミッドの考え方を導入することで、「死に金貯金」を回避できます。ピラミッドは頂点から1段1段ブレークダウンしていくのですが、ここが重要なポイントになります。つまり、初めに目的・夢を決め、最後に「貯金する」という具体的なアクションが出てきます。
貯金は目的ではなくて、あくまで手段にすぎないのです。
貯金というと多くの人が、「どうやって貯めるか」「どうやって稼ぐか」から考えがちです。しかし、その貯金ありきの発想では死に金を生んでしまいます。そうではなく、初めにどう使うのか(目的・夢)を考えるのです。出発点が自分にとっての有意義なお金の使い方であれば、貯めたお金は確実に生き金になります。
貯めたお金の先にある幸せをつかむには、お金の使い方を明確にしておく必要があります。苦労して死に金を貯めるくらいなら、今の自分にお金を使って、毎日を楽しく過ごしたほうが何倍も有意義なのですから。
■ 貯金の目的「私の場合」
私の場合はというと、そう遠くない将来に沖縄に移住して暮らすという夢があり、それには1億円の原資が必要と判断しました。これが大きな意味でのお金の使い道です。
その目的を達成するために、貯めたお金の使い道として、資産運用をしています。貯めたお金を沖縄の生活費としてただ消費するのではなく、運用して定期的な収入を得る仕組みを作り、沖縄での収入基盤を整えようと考えています。
実際に、これまで貯めたお金は投資に使っています。これは7年前に本格的に貯金を開始した時点で決めていたことです。そして、今ではその資産運用により、沖縄での日々の生活に必要な金額の半分ほどの利益を出せています。もちろん、現在の利益は貯金を加速させる役割も担ってくれています。
“お金を貯める=我慢”と思い込み、窮屈な生活を懸命に続け、心と身体をすり減らしながら貯金している人がいます。しかし、それでは日々の生活の中の楽しみや健康など、大切なものを失っている可能性が高いのです。
もっと気楽に貯金生活を送っても大丈夫です。
何でもかんでも100%を目指すと、逆に時間がかかってしまい非効率です。食費を節約しようとして、10円安い卵を買うためだけに、30分も離れた先にある遠くのスーパーで買い物するのは正解でしょうか。往復1時間で10円の節約です。
時給10円の行動に時間を使うなら、コーヒーでも飲みながら好きな音楽を聴いて、貯金生活の活力を養ったほうが正しい生活の送り方だと思います。もしくは、新しい貯金の知識をネットや本で勉強する時間に当てたほうが、よっぽど有意義な時間の使い方ではないでしょうか。
何でも100%、100点を目指すと途端に息苦しくなります。なぜなら、ひとつのミスも許されないからです。そんな貯金生活は続きませんし、たとえ夢の実現のためでも、私はそんな生活を送りたいとは思いません。
■ 80:20の法則で合理的な貯金に
ではどうするのがよいのかですが、「80対20の法則」を活用すると、貯金と時間の効率化を図ることができます。
80対20の法則とは全体の大部分を少数が生み出しているという経験則で、限られた時間でアウトプットを求められるコンサルタントが仕事をするうえで、つねに意識している法則です。
実はこの法則は、普段の生活で多くの人がすでに経験しています。
たとえばテスト勉強で考えてみましょう。テストで30点から50点を目指すのと、80点から100点を目指すのはどちらが大変でしょうか。同じ20点の獲得ですが両者には大きな差があり、80点からの20点アップのほうが圧倒的に必要な勉強時間が多くなります。
別の例として、掃除の場合で考えてみましょう。髪の毛1本、チリひとつないように掃除をするには、めちゃくちゃ時間と神経を使います。しかし実際には多少のホコリが残っていても、十分、衛生的に暮らせます。時間を費やして完璧を目指すより、ささっと、要領よく掃除をしたほうが合理的です。
次のイメージ図のように、100の効果を得るには100の時間が必要になりますが、80の効果を得るのには20の時間で済みます。
ここからもわかるように、完璧な貯金など目指してはいけません。根を詰めてまじめに取り組みすぎるのは、労力を無駄に消費しているだけです。
実際に貯金生活に「80対20の法則」をはめ込むとどういうことになるのか。
私の経験から述べると、まず効果が確認できる大きなものに注目して、そこからアプローチします。食費節約の例でいえば、「勤務先での外食ランチを週1回お弁当に切り替える」、あるいは「家族全員のコンビニでの買い物を週1回まで削減する」といった、投入する労力に対して大きな効果が期待できる作戦にフォーカスします。
何キロも離れたスーパーを駆け回るような細かい節約はストップします。そうしてできた空き時間を、資格勉強、ほかの節約行動、休憩時間として使います。
■ 完璧を目指さない貯金こそがうまくいく
貯金と聞くと条件反射的に「窮屈な生活になる」「つまらない人生になる」と考えてしまいがちです。けれども、生き金の貯金は、将来の自分の夢や生きていくうえでの選択肢を増やす強力な武器になります。
初めからうまく貯められなくてもいいし、貯金生活中であってもお金を使っていいと思います。我慢だらけの貯金生活は不幸です。お金は使ってこそ真の価値を発揮できるのです。
冒頭で述べたように、面倒なことが嫌いな人、お金を使いたいと思っている人こそ貯金の素質を持つ人だと私は考えています。貯金を始める前に企業ピラミッドに従い、お金をどう使うかを考えましょう。80対20の法則を意識して、100点を目指さずに細かいことは思い切って捨てて、窮屈な貯金生活を回避しましょう。そうすればきっと貯金はうまくいきます。
今回で東洋経済オンラインでの連載は終わりとなります。私は過去の記事で実際の収入や貯金額を公開しています。これらの記事を読んで、気分を害された方が少なからずおられるようです。デリケートなお金の話であるがゆえに、数字を創作せず真実の値を公開したほうがよいと判断してのことではありましたが、配慮が欠けていた点、たいへん申し訳なく思っています。
みなさんがうまく貯金でき、ひとつでも多くの夢をかなえられる人生を送れることを願っています。最後まで、お付き合いいただきありがとうございました。
浜口 和也
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