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大塚家具の有価証券報告書を元に筆者が作成
大塚家具は復活できる 騒動は千載一遇のチャンス 批判の的だったナイキ成功戦略より検証
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150423-00010000-bjournal-bus_all
Business Journal 4月23日(木)6時2分配信
お家騒動で揺れた大塚家具の3月の店舗売上高は、前年同月比37.8%減と大幅にダウンした。消費増税による駆け込み需要のなかった2013年3月と比べても17.1%の減少となったため、今回の騒動によるブランドイメージ悪化が少なからず影響しているといえそうだ。今後は、顧客の信頼をどう回復し取り戻すかが重要な課題であることは間違いない。
しかし、視点を変えれば、今回の騒動は大塚家具にとって千載一遇のチャンスでもある。そもそも、騒動前から同社の売り上げは伸び悩みが続いていた。07年までは比較的好調だったものの、08年のリーマンショックで高額消費が冷え込み、業績は急激に悪化。その後、景気は回復したものの家具業界の潮目はすっかり変わってしまい、高価格帯ではカッシーナなどの高級家具ブランドとの競争が激化し、中価格帯ではリーズナブルなIKEAやニトリに顧客を奪われ、低迷した状態が5年以上も続いている(図1)。大塚家具は今回の騒動がなかったら、世間の注目を集めることなく静かに衰退を続けていたかもしれない。
それが、今回の騒動を機に一気に世間の注目を浴びた。家庭を幸せにする道具を販売する家具メーカーにとっては良くないイメージだが、メディアが日々こぞってニュースに取り上げることによって、これまではIKEAやニトリ、カッシーナで買い物をしても大塚家具のショールームには行ったことのない人たちや、もしくは名前すらほとんど聞いたことがなかったような人たちの頭の中に、「大塚家具」という言葉が刻まれた意義は大きい。
●アメリカでかつては「ブラック企業」だったナイキ
「新しい店舗をオープンすれば抗議運動や不買運動がたちどころに起きる。自社は労働者をこき使い、強制的に残業させ、奴隷並みの賃金しか払わない会社として見られるようになっている。労働者を酷使する環境でつくられた商品を国民が買いたいとは思えない」
Fuel Bandなどの革新的な製品を出し、世界的なスポーツ・ブランドとして君臨する今のナイキからは想像しにくいが、今でも会長をつとめるフィル・ナイト氏が自らこう発言するほど、1990年代のナイキはブラック企業として知られ、業績も低迷していた。
それが、良くも悪くも同社の一挙手一投足が注目されている時期に、同社を強く批判していた「敵」だったグローバル・エクスチェンジという市民団体との対話を始め、敵を味方に変える努力を開始。工場の労働環境をモニタリングして公表する、環境や社会配慮など独自指標で工場を評価するなどの施策を積極的に進め、そのメッセージを発信することでネガティブなイメージを払拭し、イメージの刷新に成功した。アメリカでナイキが短期間でブランドイメージの刷新に成功できたのは、世間の注目度が高い時期に、このように矢継ぎ早に手を打っていったことが大きい。
●熱が冷めないうちに、大胆な逆張りを
大塚家具も過去に比べれば話題性は高いものの、それでも株主総会前の一時期に比べると世間の注目度はだいぶ落ち着きを取り戻している。今回の騒動を逆手にとって顧客を取り戻すには、早いうちに大胆な手を打つことが必要だ。
新しい経営体制の下、先週末4月18日から「新生・大塚家具大感謝フェア」を開催しているが、久美子社長自ら店頭でガーベラの生花を手渡して出迎えをしたこともあり話題にはなっている。ただ、本来であれば、もっと思い切った取り組みが必要だ。例えば、「仲直りフェア」と称して、父親で創業者の大塚勝久元会長と娘の久美子社長の親子が仲良く肩を組んで、笑顔でフェア情報を発信したり、親子で来店して買い物をすると「仲良し割引」が適用されてお買い得になるなど、今回の騒動を逆手に取ったパロディに近いような逆張りの手も有効だろう。「逆張り」にすることでソーシャル上でのバズを発生しやすくすると同時に、「親子」を絡ませることで「親子消費・三世代消費」の新規顧客層を獲得できる可能性がある。
●「大塚家具」から、「KEN OKUYAMA」へ
ただし、こうした注目度の高さを利用した手法は、当然ながら根本的な解決にはならない。最終的には「大塚家具」というブランドに頼らない売り方をすることが有効だろう。一般的に、ブランドを活用する戦略には、企業ブランドを訴求するやり方と、商品ブランドを訴求するやり方の2パターンがある。業界や企業の戦略によって違いはあるものの、資生堂、花王のように日本企業は企業ブランドを重視する傾向にあり、P&Gやユニリーバのように欧米企業は商品ブランドを重視することが多い。
では、家具業界はどうだろうか。大塚家具、IKEA、ニトリ、カッシーナなど、ほとんどが企業ブランドを重視している。商品ブランドをすらすらと言える人は少ないのではないだろうか。
大塚家具にとって今後の成長の鍵はここにある。同社はヨーロッパの高級家具ブランドであるRolf BenzやPoltrona Frau、Durestaなどと独占契約を結んでいたり、フェラーリや東北新幹線の「はやぶさ」「こまち」などをデザインした世界的な工業デザイナー奥山清行氏が代表を務める「KEN OKUYAMA」 と事業提携して共同で商品開発やプロモーションをするなど、魅力的な商品ブランドを数多く持っているのだ。こういったひとつひとつの商品ブランドを立たせる戦略へと移行することができれば、大塚家具は長い低迷状態を抜け、「V字回復」ならぬ「U字回復」ができる可能性が大いにある。
(文=村澤典知/インテグレート執行役員、itgコンサルティング 執行役員)
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