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職務発明 −「日本の研究者は会社の奴隷」は本当か?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150423-00014960-president-bus_all
プレジデント 4月23日(木)9時15分配信
■職務で行った発明はいったい誰のものか
いま職務発明制度が揺れている。職務発明とは、従業員が会社で仕事として行う発明のこと。先ごろ中村修二氏がノーベル物理学賞を受賞して話題になったが、その青色LEDの実用技術は中村氏がメーカーに勤務していた時代の職務発明だった。大発明にもかかわらず低い待遇に、海外の研究者から「スレイヴ(奴隷)ナカムラだ」と言われたとの逸話がある。
従業員が職務で発明した場合、現状では、特許を受ける権利は発明者個人にある。発明者は企業に利益をもたらした見返りとして、契約や勤務規則に基づき、企業から対価を得るケースが一般的だ。
対価に納得できず、訴訟に発展することもある。中村氏も、2001年に相当の対価を求めて元勤務先を提訴。一審は相当対価を約604億円と算定して、被告企業に約200億円の支払いを命じた(控訴後、約8億円で和解)。
■トラブルは減ったが、企業の不安は消えず
では、職務発明の対価はどのようにして決まるのか。職務発明訴訟に詳しい竹田稔弁護士は、次のように解説する。「特許によって企業が得た利益と、発明者の貢献度によって決まります。発明者の貢献度は、利益の5〜10%とする判決が多い」
この比率は、発明の内容が、企業が蓄積してきた技術の延長線上ではなく、開発者独自の知見で発明したと判断されればされるほど高くなる。中村氏が得た対価が高額になったのも、そうした理由からだ。
00年代前半には中村氏の訴訟をはじめ、高額の対価請求訴訟が相次いだ。この時点では、研究者が「会社の奴隷」という状態は、判決の面では救済されたと言える。逆に、訴訟を恐れた産業界の要望を受け、04年に特許法が改正された。
「対価の規定について企業と従業員の間で協議して合意できれば、規定通りの額を支払えばいいという条項ができました」(竹田弁護士)
それ以降、職務発明に関する訴訟の件数は減っている模様。本来なら、これで一件落着というところだ。
しかし、企業側の不安はいまも消えていない。企業側は特許を受ける権利を最初から会社のものにするように主張。それを受けて、現在、特許庁は職務発明を法人帰属にする方向で検討している。
職務発明が法人帰属になれば、優秀な研究者が海外に流出するのでは、と心配する声もある。もっとも、職務発明制度については「ドイツが個人帰属、イギリスとフランスは法人帰属、アメリカは原則的に契約で決定」(竹田弁護士)で、法的には、研究者にとって海外がかならずしも有利というわけではない。
優秀な研究者の流出を防ぎつつ、そのやる気を失わせないためには、報奨制度の中身に加えて、起業を容易にすることにより、研究者が研究成果による利益を自ら手にすることのできる環境を整える必要があるだろう。
文=ジャーナリスト 村上敬 答えていただいた人=弁護士 竹田稔 図版作成=ライヴアート
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