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「カラ出張」を日本から無くす
経費精算クラウド大手、コンカーの三村社長に聞く
2015年4月23日(木) 小笠原 啓
もうすぐ月末、経費精算の時期がやってくる。洋の東西を問わず、サラリーマンにとっては気の重い作業だ。ここに焦点を当てることで急成長しているのが、米コンカーテクノロジーである。世界で3万社以上が同社のクラウドサービスを導入し、約2700万人が利用している。国内ではファーストリテイリングや三菱重工業などが導入している。
コンカーはNTTデータ子会社と組み、7月から交通費精算業務などの代行サービスを売り出すと発表した。日本法人の三村真宗社長に狙いを聞いた。
(聞き手は小笠原 啓)
月末ごとに、うんざりしながら領収書の山と格闘するサラリーマンは私だけではないはずです。これだけIT化が進んでいるのに、なぜ交通費精算は効率化できないのでしょうか。
コンカーの三村真宗社長
三村:日本企業が経営課題と捉えて、投資してこなかったからだと思います。出張旅費や交通費は1件あたりの金額が小さいため、IT投資の優先度が低くなりがちです。日本の大手IT企業も「ビジネスにならない」と考えて、この分野に力を入れてこなかった。
その結果、多くの企業の現場では、紙の伝票やExcelを使った非効率な業務スタイルが続いているのです。
従業員が交通費などの経費を「手入力」すると、どうしてもミスが発生します。金額の間違いだけでなく、経費規定違反も起きかねない。本来ならば、管理職がそれを厳しくチェックすべきですが、忙しいとスルーしがちになります。
経費チェックは「労働集約型」
すると、問題含みの経費伝票が大量に経理部門に届くことになります。これをそのまま会計システムに入力すると、従業員に間違った金額が支払われる恐れがあるし、税務上の問題も発生しかねない。そのため、経理部門は多くの人手を掛けて「労働集約型」のチェック体制を取っているのが実情です。
確かに「費目」や「金額」の間違いで、何度も伝票を差し戻された経験があります。そのたびに入力し直すのは本当に面倒です。
三村:こんな状況を続けていては日本企業の生産性が大きく下がってしまう。ここを変えていくのが、コンカーの使命です。
具体的にはどうするか。(会社が契約する)クレジットカードで支払った飲食費や旅費、交通系ICカードの利用履歴といったデータを自動的に取り込むのです。コンカーのクラウド上で出張申請したりホテルを予約したりした場合、従業員が後で行き先や金額を手入力する必要はありません。
従業員数が1万人程度の企業では、「経費のチェック」だけをしている社員が10人位います。当社のクラウドサービスを導入すれば入力ミスなどを省けるため、この人員を4割程度に減らせます。そして、NTTデータ子会社のNTTデータスマートソーシングと組んで7月から売り出す代行サービスを使えば、この4割すら不要になります。
領収書の金額チェックのような作業は、多くの量ををまとめて一括処理するのが効率的です。こうした業務をNTTデータスマートソーシングが複数の企業から請け負い、人件費の安い中国拠点でこなします。従業員が入力した交通費と領収書の金額が間違えていないか、記入漏れがないかといったことを、人間の目で見てチェックします。従業員が領収書をスマートフォンのカメラで撮影して送信すれば、代わりに入力してくれるサービスも提供します。
ガバナンスの強化も期待できそうです。
三村:外部の目で確認することで、不正を防止する効果も期待できます。従業員が巧妙に不正を行った場合、その上司や経理担当者にはなかなか見抜けません。新サービスを活用すれば、そうした問題を抑制できます。
海外拠点の経費も可視化
例えば出張先で取引先を接待したとしましょう。その際、どんな取引先とどんな目的で会ったのか、金額は適正かどうかといったことを、まずはシステム上で確認します。休日にタクシーを使ったといったケースも、自動的にシステムが抽出します。そのうえで不正が起きている可能性がある場合は、専門のノウハウを持った人材がチェックします。
カラ出張も防止できるでしょう。当社のクラウドサービスを使えば、出張の申請手続きをした後に実際にチケットを発券したかどうか、ホテルに宿泊したかどうかも把握できます。
新聞などでは時折、カラ出張問題が報じられますが、あくまでも議員など公職にある人が対象です。企業内で発生しているはずの、多くのカラ出張は表面化しないまま続いています。
なぜか。カラ出張を本気で取り締まると、企業内が大混乱に陥りかねないからです。常習犯は論外ですが、“魔が差して”カラ出張に手を染めた優秀な人材も処罰しなければならなくなる。人材が流出しかねないため、企業は目をつぶっているのが実情でしょう。
こうした状況は健全とは言えません。不正を検出するプロセスがあれば従業員も襟を正すようになり、おのずとカラ出張は無くなっていく。出張予定を会社が確実に把握することは、テロや災害などが起きた際に従業員を守ることにもつながります。
コンカーのサービスの特徴は、多言語多通貨に対応していること。グローバル企業が導入すれば、これまで不透明になりがちだった海外拠点の経費の使い方を可視化できるようになります。NTTデータスマートソーシングと共同で大企業に売り込み、3年間で100社への代行サービス導入を目指します。
このコラムについて
ニュースを斬る
日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20150422/280285
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