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不本意な異動や出向こそチャンス!会社が押し付けるキャリアを歩むのは危険である
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150423-00010006-bjournal-soci
Business Journal 4月23日(木)6時2分配信
学生から社会に出て、新たに社会人としてのキャリアを始める人。転職して、これまでとは違った環境で新しい経験を積む人。組織を飛び出して、独立して仕事を始める人……。人生におけるキャリアの積み重ね方は人によってさまざま、まさに千差万別です。上の図は、すごく大胆ではありますが、人生のキャリアを一枚のチャートにまとめたものです。
多くの人は生まれてから家庭や学校で20数年間教育を受け、それから社会人としてのキャリアを開始します。企業に入ってからは、まず社員として研鑽を積み、課長から部長、部長から本部長へと管理者としてのキャリアを上っていきます。しかし残念ながら多くの場合、取締役になることなく60代で定年を迎え、第二の人生をスタートさせる。これが通常思いつく標準的なキャリアでしょうか。
運と実力が伴えば、管理者から取締役に抜擢され、場合によっては代表取締役として社長に上り詰めることができるかもしれません。多くの日本企業では、内部昇進してきた管理者の中から経営者たる社長が選ばれてきました。これもごく一部の人のキャリアです。
しかし最近では、日本企業でも外部から社長やCEO(最高経営責任者)を招聘することが見受けられるようになってきました。日産自動車のカルロス・ゴーン社長兼CEOやサントリーホールディングスの新浪剛史社長がわかりやすい例です。したがって、内部昇進で管理者から経営者になる道は、これまでより狭き門になっているといえます。
同じ企業の中でのキャリアパスも多様化してきています。突然企業の中枢部門を外れて、子会社への転出を命じられたり、海外の合弁企業へ出向させられたり、新たな事業を立ち上げるために事業準備室への転出を求められたりと、サラリーマン人生も何が起こるか、ますます見えにくくなってきました。そのため、どんなキャリアが望ましいのか、ステレオタイプには語れません。
●エリートコースはすでに消滅?
多くの大企業では、入社時に説明を受ける人事規定に明示されているか、暗黙の了解であるかを問わず、標準的なキャリアパスが定められていることが多いです。
例えばある企業では、入社してから12年目で、最初の管理職への登用試験があります。その後も10年ごとに、さらに上級の管理職への関門があり、早い人は50代半ばで役員への道が開けてきます。昇進の仕方は部門でも濃淡があり、例えば、人事・総務部門や企画部門がエリートコースで、そこを軸にしながら主力の事業部門での経験を積み重ねながら役員への道を歩んでいく、といった暗黙の了解です。
しかし、組織が提示するキャリアパスを鵜呑みにしてはいけません。それは企業にとって都合のよい管理者を育てるための指針だからです。組織に対して従順であることを押し付けながら、高い役職への登用という幻想を抱かせるものです。
さらに21世紀に入ってからは、事業環境の変化が早くなり、他社との競争も熾烈になってきました。つまり、事業の儲けの仕組み(=ビジネスモデル)の賞味期限が短くなり、頻度高くビジネスモデルを組み立て直すことが求められるようになってきました。
言い方を変えれば、米経営学者のマイケル・ポーター(ハーバード大学経営大学院教授)が主張する「持続的な競争優位」が永続しにくくなってきました。現代はハイパーコンペティション(持続的な競争優位性が確立できない環境)の時代になり、競争優位は一時的になってきたと、米経済学者のリチャード・ダヴェニ(ダートマス大学教授)は語っています。
長く存続している企業ほど、その企業独自のビジネスモデルを持っています。それは初代の創業者が生み出したものであったり、第二の創業者が組み立て直したりしたものです。
従来のビジネスモデルが通用する環境下では、決められたことを組織の機能の中で標準手続き通りにこなしていく管理者は重要ですが、ビジネスモデルの変革期に入ると、かえってその管理者が変革に抵抗することが多いものです。
ですから、企業が変革を求められる時や、必然的にビジネスモデルの転換が差し迫っている時には、社員から管理者へというこれまでの標準的なキャリアパスは有効でなくなるのです。
●経営者と管理者は根本的に異なる
経営者とは「将来の企業の存立基盤を考え、変化をつくり出し、10年単位の時間軸で戦略を形成できる人物」です。一方、管理者とは、「決められたビジネスモデルの中で、できるだけ変化を排除し、年度単位の時間軸で組織の一部機能を担う人物」です。
経営者に求められる資質と管理者の資質とはまったく異なるのです。ですから、管理者の延長線上に経営者のキャリアはないのです。有能な管理者であっても、経営者としての資質は持ち合わせていないことが多いのです。
ましてや現在はハイパーコンペティションの時代ですから、経営者となった人物は、その在任期間中に、ビジネスモデルの改革を進めることが期待され、それが企業存続の条件となってきました。
●経営者へのキャリアに“典型的”や“標準的”はない
3月に放送が終了した連続テレビ小説『マッサン』(NHK)の中でも、2人の経営者が登場しました。彼らのキャリアを見てみましょう。
・サントリーの創業者、鳥井信治郎氏がモデルである、「鴨居の大将」こと鴨居欣次郎は、丁稚奉公から始めて20歳で鴨居商店を起こした
・ニッカウイスキー【編註:正式名称は「イ」が歴史的かなづかい】の創業者、竹鶴政孝氏がモデルである、「マッサン」こと亀山政春は、酒造りの家業を離れ、鴨居商店で企業勤めをしてから北海道果汁を立ち上げた
根っからの創業者と、企業勤めからの起業とキャリアが異なります。その他の経営者のキャリアはどうでしょうか。
・永守重信氏は、ティアック勤務とその子会社の役員を経てから、日本電産を創業した
・鈴木敏文氏は、書籍取次会社勤務を経てイトーヨーカ堂に入社し、当時傍流だったコンビニエンスストア事業を立ち上げた
・宮内義彦氏は、日綿實業(現双日)でリース事業の立ち上げを行ったのち、新会社のオリエント・リース(現オリックス)へ移籍した
この5人の経営者のキャリアと冒頭のキャリアの図を見比べてみましょう。
鴨居欣次郎は学業を修めながら仕事の修業も行い、創業経営者となりました。亀山政春は雇われ工場長を務めてから、自分の会社を立ち上げました。永守氏は会社員時代に子会社に移り、それから創業しました。鈴木氏は会社員時代に新組織の立ち上げに携わり、その後、その組織の頂点に立ちました。宮内氏は、社内起業して別会社へ移籍しました。簡単に説明すると、こんなキャリアでしょうか。
彼らは決して、企業が提示する標準的なキャリアを歩んできたのではありません。むしろキャリアの岐路では、多くの人が選択しないであろうキャリア、身内や周りの人たちが反対するであろうキャリアを選択し、それに邁進してきたといえるのではないでしょうか。
したがって、突然の社命によって不本意な異動を告げられても、なんら悲観することはありません。たとえ従来のエリートコースとはいえないキャリアを歩んでいても、決して無駄になることはありません。むしろ典型的でないキャリアや標準的でないキャリアのほうが、人としての幅が広がり、のちのキャリア形成に役立つこともあるのです。
どんな仕事であっても目の前のことに全力で取り組み、管理者ではなく経営者を目指し、経営者のように考え、行動することがキャリア形成にはなにより大事なことなのです。
森秀明/itte design group Inc.社長兼CEO、経営コンサルタント
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