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黒田日銀総裁は説明責任を果たすべきではないのか
達成できなかった公約「2年で2%の消費者物価上昇率」
2015.4.23(木) 鷲尾 香一
日銀、2%インフレ目標導入 無期限の金融緩和策も
都内の銀行で一万円札を数える従業員(資料写真)。(c)AFP/Yoshikazu TSUNO〔AFPBB News〕
「2年程度の期間を念頭において、できるだけ早期」に消費者物価(CPI)の上昇率2%を達成するとして黒田東彦氏が日銀総裁に就任したのは、2013年3月20日。2年程度で2%の消費者物価上昇率という総裁就任時の公約は期限を過ぎたが、達成されていない。「異次元緩和」という黒田政策の“賞味期限”は切れたのだろうか。
言い回しが変わった目標達成時期
日銀が政策目標としている消費者物価は、コアCPI(生鮮食品を除く全国総合、消費者物価の影響を除く)で、2015年1月分が+0.2%、2月分は0.0%となった(以下、消費者物価はコアCPIを指す)。
こうした結果を受け、4月8日の日銀金融政策決定会合では、現状の物価に対する評価は、「0%程度となっている」に修正された。3月までは「0%台前半となっている」と記述されている。2年で2%の消費者物価上昇率の達成ができなかったことは明らかだ。
それでも、黒田総裁は「2年程度を念頭にきるだけ早期」に物価安定目標を実現する方針に変化はない、と強弁する。円安による企業業績の回復と個人消費の持ち直しにより、「物価の基調は着実に改善している」とする。「原油価格の下落による影響がはく落し、今年の秋以降、物価上昇率はかなり加速していく」と強気の見通しを崩さない。
しかし、実際には2年程度で2%の消費者物価上昇率達成という目標達成時期は微妙に修正されている。「2年程度」は今や「2015年度を中心する期間」という言い回しに変わった。
これに対して、消費者物価の状況からエコノミストや市場関係者の多くは、2015年度を中心とする期間とは達成時期を2016年度に先送りしたものと受け止めている。それ以上に、今後は2年程度を、より中長期的な目標に変更する、あるいは達成時期を明示しない──といった修正を行うのではないか、との見方まで出ている。
揺らいでいる異次元緩和の政策目標
消費者物価目標が達成できない状況に直面して、政府内にも動揺が広がっている。その典型的な例が、安倍晋三首相の経済政策ブレーンの浜田宏一内閣官房参与の発言だ。
4月13日、「日本経済新聞」とのインタビューで、物価上昇率を2年で2%にするとしている日銀の目標をどうみますか、との質問に対して、「インフレ目標はそんなに重要ではない。インフレを起こすのは国民に対する課税だからできるだけ避けたい。日銀も我々も2〜3年前に石油価格が半分以下になるとは思っていない。その責任を日銀がとる必要はないから、消費者物価指数を目標とするのは合理的ではない」と答えている。
黒田日銀総裁を擁護する回答だが、この発言は問題が多い。
そもそも、日銀がすでに300兆円を超える資金供給を行っている異次元緩和の政策目標はデフレ脱却にあり、インフレにすること。少なくとも、1ドル=120円となった為替円安や、2万円台をつけた日経平均株価の上昇にあるのではない。
また、石油価格の下落によって目標が達成できないからといって、消費者物価を目標としないのは矛盾している。それでは、金融政策は石油価格の動向で行われることになる。
さらに、消費者物価目標を達成できない責任を日銀がとらないのであれば、誰が責任をとるのか。300兆円を超える資金供給を生み出した異次元緩和は、消費者物価目標達成のために行われているはずだ。
問題は、「2年程度で2%」の目標が達成できなかったこと以上に、黒田総裁の政策に対する姿勢が曖昧な点にある。「2年程度」を「2015年度を中心とする期間」とする曖昧さや、消費物価上昇率の先行き見通しに対する根拠の曖昧さに対する不信感にある。
5年という日銀総裁の任期の中で、2年程度で消費者物価目標を達成すれば、残る3年で黒田総裁は異次元緩和の処理(いわゆる出口戦略)を行い、職務を全うすると見られていた。しかし、達成できなかったことで、その信頼は揺らいでいる。
国会の参考人ではなく証人として証言を
米国のFRB(連邦準備制度理事会)は量的金融緩和を実施すると同時に出口戦略の議論を行い、市場に公表した。日銀のバランスシートの状況や金利水準の低さから考えれば、日銀の出口戦略は米国よりも困難なものになるだろう。それでも、黒田総裁は出口戦略について「時期尚早」と一刀両断にしている。
次回(4月30日)の金融政策決定会合では、日銀の金融政策のベースとなる経済・物価情勢の展望(展望レポート)が発表される。もし、この展望レポートで2015年度の消費者物価上昇率の中央値が1%を割り込むとの予想結果が出れば、消費者物価のマイナスが一時的なものではなく、長期間にわたる可能性が高まったことを意味している。3月の消費者物価の発表は5月1日。金融政策決定会合よりも後になる。果たして、黒田総裁はどのような判断を下すのか。
インフレ目標を政策目標としている主要国の中央銀行の多くは、政策の状況に対して説明義務を負っている。FRB議長は議会で証言を行う。英国でもイングランド銀行総裁は財務大臣に対して説明義務を負う。
黒田日銀総裁も国会の参考人ではなく、きちんと証人として出席して証言という形で説明責任を果たすべきだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43575
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