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大企業は人件費抑制から賃上げへ舵を切る
賃上げ率、額とも17年ぶりの高水準に
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150422-00067296-shikiho-bus_all
会社四季報オンライン 4月22日(水)22時11分配信
今年の賃上げは17年ぶりの高水準となることが確実になりました。経団連が16日に発表した第1回集計によりますと、ベースアップ(ベア)と定期昇給を合わせた賃上げ率は2.59%となりました。これは前年の同時期実績(2.34%)を上回り、1998年以来17年ぶりの高い伸びです。
この集計は、東証1部上場、従業員500人以上の249社を対象に行ったもので、回答または妥結済みで比較可能な62社の結果をまとめています。それによると、賃上げ金額は8502円で、金額でも17年ぶりの8000円超えとなりました。
業種別では、機械金属の伸び率が2.95%(金額では8641円)と最も高く、次いで自動車2.91%(同9835円)、繊維2.59%(同7905円)の順。製造業平均では2.64%(8630円)でした。非製造業は2.35%(7937円)とやや低くなっています。製造業の賃上げのほうが高くなったのは、円安による業績回復が貢献したとみられます。
一方、労働組合側も集計結果を発表しています。連合が14日現在でまとめた結果(第4回集計)によると、ベアと定昇を合わせた平均賃上げ率は2.24%(金額では6670円)で、前年同時期を0.07ポイント上回っています。こちらは連合傘下の2587組合、組合員数215万7000人余りが対象です。経団連の調査に比べると調査対象が多く一部中小企業も含まれるため、賃上げ率や金額が経団連調査よりやや低めに出る傾向があります。
賃上げ状況については、日本経済新聞も独自に調査・集計しています。19日付けの記事によると、6日時点でまとめた第1次集計結果は平均賃上げ率(ベア・定昇合計)が2.43%、金額は7473円で、こちらも98年以来17年ぶりの高い水準となっています。
こちらの調査の集計企業数は220社で、ちょうど経団連調査と連合調査の中間的な範囲をカバーしていることになります。それが賃上げ率の数字にも表れていると言えます。
余談になりますが、私も日本経済新聞時代は毎年、春闘の取材に駆け回った経験があるので、懐かしい思いでこの記事を読みました。
■ ベア実施企業が過半に
今年の賃上げでは、もう一つの焦点が「ベア」でした。ここ数年はベア実施を見送る企業が多かっただけに、今年は労働側もベア実施要求に力を入れていましたが、日経調査によるとベアを実施する企業の割合は53.2%と過半数に達しました。これは過去10年で最高の数字です。実際、大手ではトヨタ自動車が現行方式で過去最高の4000円のベアを回答したのをはじめ、電機大手が過去最高のベア3000円など、ベアにも前向きな回答が出ました。
大手の賃上げ交渉はほぼ順調に妥結し、現在は中小企業の交渉が進んでいます。経団連の調査は6月末に最終集計が発表される予定で、連合も7月初めごろまであと数回の回答集計を発表する見込みです。時期が遅くなるほど中小企業が多くなるため、賃上げ率は下方修正されていく公算が大きいとみられますが、17年ぶりの賃上げの流れは変わらないでしょう。
賃上げには、消費刺激効果が期待されます。足元の物価上昇率はほぼ横ばいとなっており、賃上げ率から物価上昇率を差し引いた実質賃金ベースでも、今年4月以降はプラスになる可能性があります。昨年もそれなりの賃上げがあったわけですが、同時に4月から消費税引き上げが実施されたため実質賃金はマイナスのままでした。そこが昨年と今年の決定的な違いになりそうです。そうなれば多くの人が景気回復を実感できるようになるでしょう。それが一段と景気を押し上げる好循環に期待したいところです。
もう一つ、今年の賃上げで重要なのは企業の変化です。これまでは人件費抑制を優先していましたが、今年は業績回復で余裕が出てきたうえ、人手不足に対応するため前向きな姿勢に変化しています。
これは2008年以前と比べことで違いがはっきりします。同年に起きたリーマンショック前の数年間は景気が回復し、企業も当時としては過去最高の利益を上げるまでになっていました。東京証券取引所の集計によると、3月期決算上場企業の純利益合計額は08年3月期に過去最高を記録しています。
しかし、当時の賃上げ率は1%台にとどまっていました。つまり数字的には現在とそれほど変わらない利益をあげていたにもかかわらず、賃上げに関しては抑制姿勢を貫いていたのです。
ところが、今年は2%台半ば近い賃上げに踏み切りました。政府の要請に応えざるを得なかったという側面も否定できませんが、それ以上に多くの企業が「成長のためには賃上げが必要」と考えるようになったからと言えるでしょう。こうした企業の姿勢変化は設備投資の増加などにもつながるもので、賃上げが経済の好循環の起点になることが期待されます。
ただ、そうはいっても今年の賃上げ率だけでは十分でないことも事実です。賃上げの効果が経済全体にどのように広がっていくのか、他の指標も含めてチェックしましょう。
※岡田 晃
おかだ・あきら●経済評論家。日本経済新聞に入社。産業部記者、編集委員などを経てテレビ東京経済部長、テレビ東京アメリカ社長など歴任。人気番組「ワールドビジネスサテライト」のプロデューサー、コメンテーターも担当。現在は大阪経済大学客員教授。ストックボイスのメインキャスターも務める。わかりやすい解説に定評。著書に「やさしい『経済ニュース』の読み方」(三笠書房刊)。
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
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