01. 2015年4月22日 19:22:36
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焦点:貿易黒字定着は困難の声、原油価格反転や海外経済停滞で 2015年 04月 22日 17:03 JST [東京 22日 ロイター] - 3月貿易収支が2年9カ月ぶりに黒字転換したものの、黒字定着の見通しは立っていない。海外経済がさえないため輸出数量加速が見込みにくく、原油価格の反転傾向でエネルギー輸入の減少も見込めないためだ。今後、貿易収支は一進一退となり、ゼロ近辺での推移が続くとの観測が広がっている。 3月に黒字化した最大の要因は、輸入の落ち込みだ。「原油価格に数カ月遅れる傾向がある液化天然ガス(LNG)の輸入価格が急落した」(みずほ証券)だけでなく、国内の生産や消費の停滞感もあり、輸入数量が大幅に減少した。 だが、貿易収支黒字化の定着は容易ではなさそうだ。ここまでの過程で、貿易赤字を縮小させてきたいくつかの要因に変化が見られるためだ。 最大の要因と言える原油価格下落のメリットは、もう見込みにくい。ドバイ原油は4月に入り1バレル60ドル台まで上昇。日本の通関入着価格には、約1カ月程度遅れて反映される。 ニッセイ基礎研究所の試算値によると、3月の入着原油価格1バレル54.8ドルから、4月はほぼ横ばいで推移。5月以降は上昇に転じる可能性が高いという。 LNGは、原油価格連動型の長期契約となっているため、しばらく低下が見込まれるものの、夏場以降は上昇に向かうとの見通しだ。 エネルギー輸入価格は底を打ち、貿易修正を改善させてきた効果は、減殺されていく公算が大きい。 また、消費者心理の改善や賃上げなどを通じ、消費の回復が見込まれるとの見方から「内需の拡大に合わせて、輸入数量も増加基調になる見込み」(大和総研)との予測も浮上。この点も黒字定着を妨げる要因として意識されている。 他方、輸出は緩やかな増加基調が続く見通しだが、増加ペースが加速しそうだとの予想は、今のところ少数派だ。 数量ベースでみると、昨年秋以降に実質輸出が伸び、円安効果が表れ始めたとの見方が広がっていた矢先、3月の伸びはわずか前月比0.2%とほぼ横ばいにとどまった。このため、今年1─3月期は昨年10─12月期よりも実質輸出の勢いが減速している。 海外経済の停滞感が、その要因として一部のエコノミストから意識されている。中国経済の景気拡大テンポは一段と緩やかになっており、第一四半期の成長率は7.0%まで減速した。 中国以外のアジア向け輸出も懸念が強い。バークレイズ証券では「1─3月期のアジア向け輸出は、欧米向けに比べて伸び悩んだ。これを反映して、輸出数量の回復ペースに、ややブレーキがかかっている」と分析する。 アジア向け輸出の停滞について、米国経済の減速があるとの分析も出ている。SMBC日興証券では「米国経済が踊り場局面にあり、貿易を通じてアジアや日本に影響を与えるだろう。しばらく輸出は停滞しそうだ」とみている。 輸出が輸入の増加を上回る力強い伸びとならなければ、貿易黒字の拡大は望めそうにない。エコノミストの間では「貿易黒字が定着すると判断するのは時期尚早」(農林中金総合研究所)との慎重な見方で一致しており、「当面の貿易収支は一進一退の推移になるだろう」(第一生命経済研究所)との声もある。 貿易黒字が定着しなければ、成長率の足を引っ張ることにもなる。ニッセイ基礎研究所は、1─3月期の外需寄与度は前期比・年率マイナス0.5%程度と4四半期ぶりのマイナスとなると予想。国内需要の伸びが高まる一方、外需が成長率の押し下げ要因となるため、実質GDP成長率は前期比・年率1%台前半ばになると予想している。 (中川泉 編集:田巻一彦) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0ND0NV20150422?sp=true コラム:ドル円上昇を阻むハードルの正体=内田稔氏 2015年 04月 22日 18:23 JST 内田稔 三菱東京UFJ銀行 チーフアナリスト [東京 22日] - 日米金融政策の方向性の違いをテーマに、ドル円の上昇期待が根強い。また、日本の投資家による対外証券投資も、こうした期待を高める一因だ。 実際、財務省の「対外及び対内証券売買契約等の状況」によれば、日本の投資家は年初来、株式・投資ファンド持分と中長期債を合わせ、ネットで9.4兆円も買い越している。加えて、M&Aといった対外直接投資も1―2月にネットで2.6兆円(国際収支ベース)の実行超と過去最高を記録。合計で年初から10兆円を大幅に上回る対外投資が行われた計算だ。 しかし、為替市場で円安が進んだかと言えばそうではない。ドル円こそドル高に支えられ、年初来の横ばい圏を維持したが、他の主要通貨に対してはスイス円を除き円は全面高となっている。 広い通貨に対してドル高が進んだ上、これだけの対外投資があったにもかかわらず、ドル円の上昇が阻まれた背景としては、以下のような日本側からの要因が挙げられる。 <円売りを伴わない対外証券投資が増加> まず、経常収支が顕著に改善している。3月分の貿易統計が2012年6月以来の黒字を記録したように、貿易赤字の縮小により、今年の経常収支は大幅な黒字増となる可能性が高い。また、対外証券投資は、中長期債の多くが為替ヘッジ付きとなっており、実際には円売りを伴っていない可能性が高い。 さらに、多くの中央銀行が金融緩和度合いを強めた結果、相対的にみた円金利の魅力も高まった。この第1四半期、中長期債と短期債を合わせると、5兆円を超える非居住者の国内証券の取得がみられている。ドル金利の上昇が限定的となり、円安が進まない時間帯が長引くほど、今後とも円売りを伴う為替ヘッジなしの対外証券投資は盛り上がりを欠くだろう。 特に公的年金の外国債券のベンチマーク収益率は、今年に入ってマイナスに陥った公算が大きい。今後、外国証券投資を進めるにせよ、相応の為替ヘッジを行うとみられ、円安のけん引役とはならないだろう。 <125円に到達しても定着は困難> このように円安が行き詰まる中、浜田宏一内閣官房参与がテレビ番組やインタビューなどで、購買力平価からするとドル円は「105円くらいが妥当」であり、「120円はかなり円安」と発言。「125円、130円となると購買力平価からの差がはっきりしてくる」ため、「投機筋に仕掛けられる可能性がある」と一段の円安に対する警戒感をにじませた。 経済協力開発機構(OECD)算出の相対的購買力平価は、昨年12月時点で104.13円を指す。120円近辺の足元のドル円は、すでに約15%もドル高円安方向に乖(かい)離している計算だ。 もちろん、為替相場は購買力平価から常にかい離するものであり、1980年代半ばにかけて、2割程度もドル高円安方向にかい離が生じたこともある。足元の購買力平価104.13円で考えると、125円程度までドル円が上昇した計算だ。しかし、1980年台前半から半ばと言えば、当時のポール・ボルカー米連邦準備理事会(FRB)議長がインフレ対策として金融引き締めを行った影響から、米国では金利が急上昇し、それが大幅な資本流入とドル高を招いた時期だ。そのドル高が一因となり、米国の貿易収支は大幅に悪化。結果的に1985年のプラザ合意によるドル押し下げの協調介入へと至っている。 つまり、購買力平価からみた、かい離幅に照らせば、ドル円が125円程度へ到達することはあっても、定着はしなかったことになる。ましてや、それを超える一段のドル高円安ともなると、日米にとって未体験の領域を意味し、持続性は疑わしい。 こうした中、日本側からみた円安材料として、日銀追加緩和への関心は高い。黒田東彦総裁は、これまで物価上昇の基調は崩れていないと強気の姿勢をみせており、追加緩和はあっても10月以降となるだろう(サプライズを演出してきた日銀だけに、早ければ4月30日の決定を見込む向きもあり、予断は許さないが)。 追加緩和による円安への波及効果は徐々に弱まると考えられる。追加緩和を講じること自体、これまでの異次元緩和の限界を自ら示すことになる。また、4月の追加緩和となれば、政策の逐次投入と取られ、異次元ぶりは衰えかねない。さらに、今年に入って多くの通貨に対して円高が進んだことは、マネタリーベースの拡大が機械的に円安をもたらすわけではないことを物語っている。 加えて、忘れてはならないのが、昨年10月末の追加緩和だけで、ドル円が10円以上も上昇したわけではない点だ。当時、追加緩和後に決まった消費再増税の延期と衆院の解散・総選挙がまずは株式相場を押し上げ、それに連動する形で、ドル円が続伸したと言える。今後、追加緩和があったとしても、ドル円が改めて10円も跳ね上がるとは考えにくい。 <ドル高と円高が併走する可能性> 為替市場では、利上げ期待からドルが堅調に推移しており、ドル円はそう簡単には崩れそうにない。ただ、そのドル高を支える利上げ観測は、米国経済が必ずしも盤石とは言えない足元においては、米国株式相場の不安定化を招きかねない。 加えて、米国にとっては正常化であっても、ドル金利の上昇は、世界経済に対して引き締めの効果を招く恐れがあり、特に新興国では市場が不安定化する可能性も低くない。そうなれば、リスク回避の円買いと称し、ドル高と円高とが併走。ドル円という通貨ペアだけは、上昇を阻まれる年初来の相場の繰り返しとなるだろう。 ここまでのドル高は、外需の悪化や物価上昇圧力の鈍化、企業業績の下押しなど、複数の経路を通じて、米国経済への重石になりつつあると考えられる。つまり、利上げを意識したドル高により、かえって利上げをしにくくなるという循環が働いているということだ。米国の利上げ期待に市場のリスクオンがタイミングよくかみ合えば、ドル円は最高で125円程度まで上昇する場面もみられようが、続伸や定着は容易ではないだろう。 120円程度で始まった2015年のドル円相場が、今年も上昇して終われば、変動相場制突入以来初となる4年連続の上昇となる。しかし、今年の円は、それを容易に許すほど弱くはない。むしろ、ドル円の支えとなっている米国経済への期待や利上げシナリオに狂いが生じた場合の反落にも、相応の警戒が必要とみている。 *内田稔氏は、三菱東京UFJ銀行グローバルマーケットリサーチのチーフアナリスト。1993年、東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、国内外で一貫して外国為替業務に携わる。J-money誌の東京外国為替市場調査ファンダメンタルズ分析部門では2013年、14年と個人ランキング1位。 http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPKBN0ND0S720150422 元クレディSのチャン氏:ドルの対円ロングを縮小 2015/04/22 15:55 JST
(ブルームバーグ):元クレディ・スイス・グループの自己勘定トレーダーで自身のヘッジファンド会社、チャーリー・チャン・キャピタル・パートナーズを経営するチャーリー・チャン氏は、ドル上昇を見込む取引を減らし、下落で利益が出るポジションを加えた。 同氏は先週、対円でのドルのロングポジションを縮小した。ドルは過去3年にいずれも年10%以上上昇しているが、上昇は一服している。今後はシンガポール・ドルや韓国ウォン、インド・ルピーなどのアジア通貨に対して米ドルは下落するとチャン氏は予想している、 ドル指数は4月に入って0.7%下落。9カ月連続の上昇に歯止めがかかった。小売売上高や製造業、失業保険申請などの指標が予想以下となり、利上げ開始時期予想の先送りにつながっている。 チャン氏は22日のインタビューで、「ドルロングのシナリオはやや古臭くなりつつある」とし、「米国からのデータは当初考えられていたほど強くない」と指摘した。 チャン氏によれば、同氏のスプレンディド・アジア・マクロ・ファンドは今年これまでに8%強のリターンを上げている。昨年は18%。ドルと日本株 の上昇予想が的中したという。 ドルは3月10日に付けた7年半ぶり高値の122円03銭から約2%下落し、1ドル=119円70銭での取引。チャン氏は118円まで下がると予想。「円はかなり下がったし、日本銀行は相当大きな金融緩和を実施した。今はこの緩和が市場に浸透し尽くすのを待つ時期かもしれない。ドルが120円を大きく上回ることはないと私はかねて考えている」と語った。 原題:Hedge Fund That Made 18% Return on Dollar Gain, Now Bets on Drop(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:シンガポール Netty Ismail nismail3@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net Nicholas Reynolds, 山崎朝子 更新日時: 2015/04/22 15:55 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NN73J46JTSEE01.html 「ゴルディロックス相場」が加速、緩和期待で海外マネー流入 2015年 04月 22日 18:34 JST [東京 22日 ロイター] - 「ゴルディロックス相場」が加速している。日経平均.N225は終値で15年ぶりに2万円台を回復。弱過ぎもしないが強過ぎもしない鈍重な景気が、金融緩和環境の維持を可能にさせ、株式などリスク資産市場に緩和マネーを流れ込みやすくしている。 過熱感は強まっているが、上昇する相場に持たざるリスクを感じた海外勢が買いを入れているという。 <「日銀プレー」も健在> 国内でも3月期決算発表シーズンが始まった。だが、出だしは芳しいものではない。安川電機(6506.T)は2016年3月期の最終減益予想、東京製鉄(5423.T)は営業減益見通しが嫌気され株価は下落している。 安川電機は売上高や営業利益は増収増益見通しであるし、当初の業績見通しは「保守的」で市場の期待よりも低くなるとみられているため、失望されたというほどではない。しかし、少なくとも企業業績への期待感を高めるような内容ではなかったはずだ。 さらに前日の米株は下落。ドル/円JPY=EBSも120円に届いていない。にもかかわらず、日本株は絶好調。日経平均は大幅続伸となり、15年ぶりに終値で2万円大台を回復。TOPIX.TOPXも7年半ぶりの高値を連日で更新している。 株価のけん引役は銀行株や証券株などの金融株だ。日銀が30日に開く金融政策決定会合で、2015年度の物価見通しを従来の1%からゼロ%台後半に下方修正する見通しと複数メディアが報道。追加緩和の可能性をにらんで日銀会合のタイミングに合わせ金融株を売買する、いわゆる「日銀プレー」が強まっている。 今週、アジアで投資家を訪問している外資系証券エコノミストは「海外勢は日銀(追加緩和)のことしか興味がないようだ」と話す。実際、銀行株には50億円を超える大口クロス取引が観測されており、多くは海外勢の買いとみられている。「海外勢が上昇し続ける日本株に持たざるリスクを感じ、時価総額の大きい銀行株などに買いを入れているようだ」(大手証券トレーダー)という。 <弱い景気> 企業業績や景気はさえない。日本の3月貿易収支は2年9カ月ぶりに黒字化したが、輸出増よりも原油安による輸入減の影響が大きかった。日銀が発表した3月実質輸出は前月比0.2%上昇。2カ月ぶりの上昇となったが、伸びの勢いは鈍く、黒字が定着するとの見方は少ない。 「円安効果がいまだ発揮されないというよりも、主な輸出先である中国などの景気が弱いためだ」と、りそな銀行アセットマネジメント部チーフ・エコノミストの黒瀬浩一氏はみる。米国も寒波やドル高の影響もあって2015年序盤の景気は予想以上に減速気味。欧州圏はユーロ安のおかげで景気が持ち直しつつあるが、水準はまだ低い。 世界的な弱い景気。それこそがいまのグローバル金融相場の背景だ。景気や物価が過熱しないからこそ、各国の中央銀行はマイナス金利にもなるような未曽有の金融緩和を続けることができる。同時に株高による資産効果で弱い景気を押し上げようとする政策でもあり、株式市場には追い風が吹いている。 6年ぶりの低成長下にある中国では、中国人民銀行(中央銀行)が19日、全銀行を対象に預金準備率を1%ポイント引き下げた。株の空売り規制緩和のよる需給悪化が警戒されていたが、上海総合指数.SSECは22日、2%超の上昇となり、あらためて7年ぶりの高値を更新した。 <弱すぎない景気> 景気は弱いが、弱すぎるわけではない。国際通貨基金(IMF)が14日発表した世界経済見通し(WEO)では15年の成長率は3.5%、16年は3.8%となっている。投資家のリスク選好を損なうほどの悪さではないところが「ゴルディロックス相場」発生の条件だ。 「ゴルディロックス」とは童話に出てくる少女の名前に由来し、話の中に登場する適度な温度のスープにちなみ、世界経済が過熱せず冷めすぎてもいない状況を示す。 日本の10年国債利回りは株高にもかかわらず0.3%と低位を維持。ドル/円も119円前後で安定しており、ドル建て日経平均の上昇につながるため、海外投資家にとってはより日本株を買いやすくなる。 三菱UFJ投信・戦略運用部副部長の宮崎高志氏は「今後、日本の株式市場でも、バブル的な色彩が強まってくるだろうが、緩やかな景気回復と金融緩和の組み合わせはしばらく続き、株価もじりじりと上げていく展開になりそうだ」との見方を示している。 [北京 22日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)の陳雨露・金融政策委員は、金融政策を一段と緩和する余地があり、特に銀行の預金準備率はなお引き下げることが可能との認識を示した。新華社が22日伝えた。
陳氏は、新華社に対し、根強いデフレリスクは、将来、一段の政策緩和がある可能性が高いことを示唆すると語った。 [ダブリン 22日 ロイター] - アイルランドのヌーナン財務相は22日、ギリシャの改革案をめぐる同国とユーロ圏財務相の交渉について、ある程度の進展があったとした上で、具体的な決定は5月より前にはないとの見方を示した。 ヌーナン財務相はダブリンで記者団に対し、「ある程度の進展はあったものの、5月11日の(ユーロ圏財務相)会合までに具体的な決定はないとみられる」と述べた。 (伊賀大記 編集:田巻一彦) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0ND0WR20150422 ドルは119円半ば、株高でリスク選好も上値限定−ギリシャ警戒 2015/04/22 15:58 JST
(ブルームバーグ):東京外国為替市場では、ドル・円相場が伸び悩む展開となった。日本株の上昇を背景にリスク選好ムードがドル・円を支えた半面、ギリシャ情勢にらみの中、積極的に上値を試す動きは見られなかった。 22日午後3時50分現在のドル・円相場は1ドル=119円51銭前後。朝方は日本の3月の貿易収支が予想以上の黒字となったことを受け、119円59銭まで円高に振れる場面が見られた。その後、日本株上昇を背景に一時119円78銭まで円売りが進んだが、午後には119円台半ばへ値を戻した。前日の海外市場では、米長期金利の上昇を背景に119円83銭と14日以来の水準までドル高・円安が進んだ。 外為どっとコム総研の石川久美子研究員は、ドル・円は以前ほど株との連動があるわけでもなく、「株も伸び悩んでいるし、頭が重かったらもう一回緩んでおこうかという感じに見える」と指摘。「今、為替のマーケットの中で一番気にしながらも材料にし切れていないのは恐らくギリシャなので、ドルや円が相場を主導するような感じではない」と語った。 ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.0717ドルまで小緩んだ後、午後には1.0765ドルまで値を戻した。同時刻現在は1.0758ドル前後。ユーロ・円相場は1ユーロ=128円56銭前後となっている。 一方、オーストラリア・ドルが急反発。同国の1−3月の消費者物価指数(CPI)の発表を受けて、豪ドル買いが強まった。 豪統計局の発表によると、コアインフレを示すトリム平均は前期比0.6%上昇と、エコノミストの予想中央値と一致した。全体のCPIは前期比0.2%上昇。エコノミスト予想は0.1%上昇だった。 マスミューチュアル生命保険運用戦略部の吉田洋史シニアポートフォリオマネージャーは、豪雇用統計や商品価格の落ち着き、週初の豪中銀総裁の発言が緩和にそれほど前のめりでなかったことに今回のCPIが加わり、「今後の緩和の見通しに不透明感が高まっている」と指摘。「目先的には5月5日の理事会での利下げと、声明文での政策スタンスに注目」と話した。 2年9カ月ぶり黒字 22日の東京株式相場は続伸。日経平均株価 は終値で2000年4月以来となる2万円台を回復した。 みずほ証券投資情報部の由井謙二FXストラテジストは、ドル・円相場について「株価をにらみながら、底堅い動きになってくるとみているが、海外時間はどうしてもギリシャのところでユーロの動きに振らされやすい地合いが続く」と予想。目先120円トライにつながるような「材料は期待しづらい」と語った。 財務省が発表した3月の貿易収支は2293億円の黒字 だった。貿易黒字は2年9カ月ぶり。ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査の予想中央値は446億円の黒字だった。 三菱東京UFJ銀行の野本尚宏調査役(ニューヨーク在勤)は、貿易収支が黒字となれば「円が一回買われる可能性」もあるが、来週の日本銀行の金融政策決定会合に向けて、海外では追加緩和の期待が出てきているため、「ドル・円が下がったところは買いたいという気がする」と話していた。 22日付の日本経済新聞は、日銀が30日公表の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、2015年度の物価目標見通しを下方修正する検討に入ったと報じた。日銀は同日、金融政策決定会合を開く。 ギリシャ 欧州中央銀行(ECB)のクーレ理事は、ギリシャについて「現状は明らかに持続不可能で、事態好転にギリシャ当局の迅速で断固たる行動が必要だ」と、ギリシャ紙カティメリニとのインタビューで語った。 欧州連合(EU)当局者は21日、2月にユーロ圏財務相と合意した4月末の期限までにギリシャが経済改革措置の一覧を提出しないだろうと述べ、24日の会議では決定を下すというよりも交渉の進展状況を確認することになる見込みだと語った。 ギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念を背景に、ユーロは前日の欧州市場序盤に対ドルで1.0660ドルと3営業日ぶり安値まで下落。その後、1.07ドル台後半まで値を戻した。 三菱東京UFJ銀の野本氏は、「ギリシャについては、どうなるかよく分からない」とし、「あまりユーロを買う人はいないが、みんながショート(売り持ち)なのでいちいちショートカバーが起きるという感じ」と解説した。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 小宮弘子 hkomiya1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 青木 勝, 山中英典 更新日時: 2015/04/22 15:58 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NN6I916JTSEH01.html アルゴリズムで武装した地味で無口な男−英トレーダーの素顔 2015/04/22 15:43 JST
(ブルームバーグ):英ヒースロー空港への着陸態勢を整えるジェット旅客機の騒音が頭上でとどろくロンドン郊外の地味なしっくい塗りの住宅に住む1人の悪徳トレーダーが、ウォール街の歴史でもほとんど例のないすさまじい瞬間を引き起こそうとしていた。 ナビンダー・シン・サラオ容疑者(36)は名前をほとんど知られておらず、世間の基準からすれば「デートレーダー」と大差ない存在だった。同容疑者は21日にロンドン警視庁によって逮捕され、詐欺と市場操作を含む22の訴因について米国で訴追請求が行われた。 米当局によれば、5年前の春の日、サラオ容疑者はダウ工業株30種平均 の荒っぽい値動きを引き起こし、「フラッシュ・クラッシュ」と後に呼ばれる2010年の世界的な株式相場急落の発生に一役買った。監督当局の説明によると、株価の狂乱状態を招いた5件の売り注文のうち、1件の驚くべき手口に同容疑者は関与した。 多くの人々が今回のニュースをめぐる答えを得ようとしているが、サラオ容疑者が米国ないし英国の主要金融機関で勤務した記録は残されていない。 事情に詳しい関係者の1人が語ったところでは、フラッシュ・クラッシュが発生した当時、サラオ容疑者はシティー(ロンドンの金融街)の自己勘定取引を行う会社からスペースを間借りし、その後経営破綻に追い込まれるジョン・コーザイン氏率いるMFグローバル・ホールディングスを通じて取引の決済を行っていた。 サラオ容疑者はロンドン中心部から西方11マイル(約18キロ)に位置するハウンゾローに居住していた。近くの住人の1人によれば、同容疑者は人付き合いを避け、無口だったが、トラブルを起こしたことはないと近所の住民は話しているという。 当局によると、サラオ容疑者が単独でフラッシュ・クラッシュを引き起こしたわけではない。 知人が匿名で語ったところでは、サラオ容疑者のコンピュータースクリーンにはS&P500種株価指数 に関連する先物データがほぼ常に表示されており、意思の疎通を行う相手は、新しいトレーディングアルゴリズムをインストールする人物におおむね限られていた。 原題:Mystery Trader Armed With Algorithms Rewrites Flash Crash Story(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Silla Brush sbrush@bloomberg.net;ワシントン Tom Schoenberg tschoenberg@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Jesse Westbrook jwestbrook1@bloomberg.net David Gillen 更新日時: 2015/04/22 15:43 JST 中国株急伸をあおる信用取引融資の急増 By ALEX FRANGOS 原文(英語) 2015 年 4 月 22 日 18:43 JST 中国株式相場の急上昇は、それを上回るペースで拡大する信用取引の融資残高に後押しされてきた。時価総額に対する融資残高の割合を見ると、今回の融資急増は1990年代の米ナスダック市場で発生したITバブルなど、他市場で発生した株式ブームとの比較で大きく見えるにすぎない。 だが、こうした比較は状況を過小評価しているとマッコーリー証券は指摘する。市場に流通する中国株の割合は約4割と、米国市場の9割以上を大幅に下回る。中国では企業を支配する国やオーナー一族が大多数の株式を保有し、それを市場に流通させていないからだ。流通株が少ない分、融資が株式相場に与える影響は一段と大きくなる。流通株式数で調整すると融資残高が時価総額に占める割合は8.2%となり、マッコーリー証券は「放射線状」に広がっていると指摘した。 1990年代後半に台湾株式相場が急伸した際、流通株の時価総額に占める融資残高の割合は6%だった。中国には別の不確定要素がある。信用取引の融資が正式に解禁されたのは2010年のことで、今回の状況は投資家全員にとって初めての経験となる。 債券は上昇、需給良好で長期金利0.30%に低下−2年債はマイナス金利 2015/04/22 15:38 JST (ブルームバーグ):債券相場は上昇。長期金利は0.30%ちょうどに低下し、新発2年債利回りは約3カ月ぶりにマイナス金利を付けた。日本銀行の国債買い入れオペによる需給逼迫(ひっぱく)観測を背景に買いが次第に優勢となった。 22日の現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物国債の338回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値と横ばいの0.305%で開始。いったんは1ベーシスポイント(bp)高い0.315%に上昇したが、午後に入ると0.30%まで下げた。 2年物の351回債利回りは0.5bp低い−0.005%と、新発債としては1月27日以来のマイナス金利となった。5年物の123回債利回りは0.065%と、新発債として2月3日以来の水準に下げた。 岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、日経平均株価の2万円台回復やドル高・円安が朝方の債券相場の上値を圧迫していたと指摘した。「金利上昇時の買い意向は変わらず。10年債利回りの0.2%台は見送りだが、逆に0.3%台半ばに上昇なら押し目買い方針」だと言う。「ギリシャの債務問題が深刻化するようだと0.3%割れの可能性もある」との見方も示した。 長期国債先物市場で、中心限月6月物 は前日比横ばいの147円93銭で開始し、4銭高まで上昇後に下げに転じ、一時は7銭安の147円86銭まで下げた。午後に入ると水準を切り上げ、148円04銭まで上昇。結局は10銭高の148円03銭で引けた。 BNPパリバ証券の藤木智久チーフ債券ストラテジストは、「午前中は日経平均株価の上昇を受けて小緩む場面があったものの、米景気鈍化やギリシャ懸念、日銀買い入れオペといった環境下で、債券相場の下値は限定的となっている」と説明た。「明日は40年債入札を控えているが、どちらかというと入札を前にして20年債や30年債が緩んだところを拾う動きが強いかもしれない」と話した。 日銀が実施した長期国債買い入れオペ3本(総額1.15兆円)の結果によると、残存期間1年超3年以下の応札倍率は前回からやや低下した一方、3年超5年以下、5年超10年以下は上昇した。 野村証券の金子泰啓リサーチアナリストは、オペで5年超10年以下の応札倍率が高くなったが、落札利回りはおおむね市場実勢範囲内に収まり、影響は限定的と指摘。40年債入札については、「入札前に強くなるケースが目立ち、今回もあまり調整しないで迎えるのではないか」と話した。発行額に占める日銀買い入れ額の割合を見ると7回債は51%と超長期債の中で最も高いとし、「新発40年物も残り半分を民間が消化する形になるのではないか」とみている。 財務省は23日、40年利付国債の利回り競争入札を実施する。入札結果を受けて決まる表面利率(クーポン)は前回債の1.7%から、1.4%程度に引き下げられる見通し。発行額は前回債と同額の4000億円程度となる。既発物の7回債利回りは0.5bp低い1.38%に下げている。 21日の米国債相場は続落。10年債利回りは前日比2bp上昇の1.91%程度となった。ただ、ギリシャの債務問題に対する不透明感などを手掛かりに1.86%まで買われる場面もあった。一方、22日の東京株式相場は上昇。日経平均株価 は前日比1.1%高の2万133円90銭と、15年ぶりに終値で2万円台を回復した。 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 山中英典 h.y@bloomberg.net;東京 赤間信行 akam@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 崎浜秀磨, 山中英典 更新日時: 2015/04/22 15:38 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NN5BIJ6TTDS101.html 転換社債、超低金利下でヘッジ機能に支障 By RICHARD BARLEY 原文(英語) 2015 年 4 月 22 日 14:55 JST
ワシントンのFRB本部 Bloomberg News 転換社債の魅力はこれまでずっと、債券と株式の特性を兼ね備えていることにあった。株高を享受できる可能性があると同時に、いざという時に頼りになる債券のヘッジ機能もあるというものだ。だが、債券利回りが非常に低く、マイナスのケースすらある状況で、こうした二面性に変化が見られつつある。 本来、転換社債はシンプルな仕組みだ。通常の社債に、その発行体の株価が一定水準を超えた場合に株式へ転換する権利が付いている。株価がその水準まで上昇しなければ、転換社債は現金で償還される。これまでは、転換社債を保有すれば債券と株式の両方の長所を享受することができた。株式市場が上昇すれば、転換権を行使することで高いリターンを得ることができ、株価が軟調な場合は、価格変動が小さいという債券の機能が働き、相場急落時のヘッジとして機能するという具合だ。 だが、現在の債券はかつての姿から様変わりしている。特に欧州の債券市場は未踏の領域にあり、表面利率がゼロで利回りがマイナスの新発債が日常の光景となっている。定期的に金利収入を得られなくなった債券は、投資商品としての基本特性の一つを失いつつある。より深刻なのは、何年も低水準にとどまっていた金利がいよいよ上昇すれば、債券相場は変動が大きくなり、以前よりもヘッジ機能が働かなくなる恐れがあるということだ。 画像を拡大する 【ドル建てのトータルリターン】青:米国転換社債、赤:米国債、黄:S&P500種指数 転換社債にも、こうした変化の影響が出始めている。通常の社債市場では、新発債の利回りはまだプラスを維持しているが、転換社債市場では利回りが既にマイナス圏に沈んでいる。不動産投資のユニボール・ロダムコが今月発行した2022年償還の転換社債5億ユーロ(表面利率ゼロ)は、発行利回りがマイナス0.07%となった。 結果として、転換社債は以前よりも株式の要素が強くなっているようだ。もっとも、転換社債ならではの利点もある。転換社債は株式転換権が付与されているため、通常の債券よりもデュレーション(平均残存年限)が短く、金利に対する感応度が低い傾向がある。さらに、会社清算時の弁済順位がシニア無担保債と同じで、通常の株式よりも上位に位置する。 従来、転換社債は国債との相関も強くない。債券市場が「テーパリングかんしゃく」で動揺する一方、米国株が絶好調だった2013年には、米国の転換社債も株高の流れに乗った。バークレイズの指数によると、国債と投資適格社債の騰落率がマイナスだったのに対し、米転換社債は24.6%上昇した。 今のところ、投資家に臆する様子はない。資産運用会社は転換社債への資金流入が続いていると報告している。トムソン・ロイターによると、転換社債の発行は着実に続き、1-3月期の世界発行額は264億ドルに達した。 転換社債の投資家は、金利が上昇する際には、経済成長が加速し、それが継続するという正当な理由でそうなることに期待している。こうした状況は株式市場にとっては朗報となるはずだ。その場合は株式転換権を行使すれば、高いリターンを得られる。 だが、債券市場に混乱が生じ、株式市場にも懸念が広がれば、転換社債のヘッジ機能は試練にさらされるかもしれない。債券の緩衝材としての機能は低下しつつある。 世界の政府債務、少な過ぎるのか By GREG IP 原文(英語) 2015 年 4 月 22 日 16:18 JST ワシントンの米財務省 Agence France-Presse/Getty Images 世界金融危機の後、世界各国で政府債務は急増し、現在では富裕国の政府債務残高も平均して国内総生産(GDP)比100%を上回っている。この額は多過ぎるように思えるだろう。だが、奇妙なことに、そうではない可能性がある。 これは、カリフォルニア大学バークレイ校のブラッド・デロング教授が先週、国際通貨基金(IMF)主催の「マクロ経済再考」に関する会議で示唆したものだ。非営利のシンクタンク、「公平な成長のためのワシントン・センター」でブログページを持つ同氏の主張は、単純な観察結果に基づいている。 極めて安全な政府債を発行する富裕国(ユーロ圏ならスペインではなくドイツだ)が支払う金利は、驚くほど低い。名目GDP成長率(インフレ率を差し引く前の成長率)を下回っている。米国の場合、2005年には米国債利回りが名目GDP成長率とほぼ同水準だったが、今日ではこれを3%下回っている。 デロング氏によると、これは国の借り入れが少な過ぎることを意味する。債券の利回りと価格は逆方向に動く。つまり国債利回りが低いということは、国債価格が極めて高いということだ。デロング氏は「市場経済の意義は、価値あるものを作り出すことではないだろうか」、と問いかける。富裕国の債務は「極めて低金利で発行されているのだから(中略)、より多くの債券を発行すべきではないか」というわけだ。 世界の国債利回り(米国、ユーロ圏、日本、英国、カナダ、オーストラリアの平均)の推移 これは、どういうことなのだろうか。政府がどれだけ国債を発行して借り入れるべきかは、将来その債務を返済するため必要な税金が、現在もしくは将来においてその借り入れで得られる恩恵よりも大きいのか、それとも小さいのかによって決まる。同氏の理解では、利回りと名目成長率の大きなギャップは、政府がもっと借り入れを増やし、社会を裕福にできる可能性を示すシグナルということになる。
では、政府は借り入れた資金で何をすべきなのか。同氏としばしば論文などを共同執筆している前財務長官のラリー・サマーズ氏は、社会インフラに投資するよう政府に再三促している。結局、高速道路にせよ、空港にせよ、飲料水処理施設にせよ、教育にせよ、そこからのリターンは、今日ほぼ最低水準にある国債利回りよりは高いはずだ。 ただ、その資金は減税に使うことも可能だ。政府は今日100ドルを借り入れ、それを納税者に分配することができる。金利が2%のままで、政府が債務GDP比を一定に保つことを受け入れ、名目経済成長率が例えば4%で成長し続けるのであれば、政府はその次に104ドルを借り入れ、最初の借入金元本と金利2%の合計102ドルを返済し、残った2ドルを納税者に減税として与えられる可能性がある。 このデロング氏の方法であれば、借り入れは追加的な4ドルにとどまらず、実際には国債利回りが上昇して名目成長率と並ぶまで借り入れを増やし続けることになるはずだ(これは政府債務がGDP比246%にまで膨らんだ日本がすでに到達した状態だ。日本の場合、国債利回りも名目成長率も約0.5%となっている)。 デロング氏の提案には疑問の声が多い。国際決済銀行(BIS)のジェイミー・カルアナ氏は「政府債務が足らないの主張は受け入れられない」とし、「むしろ、多過ぎるだろう」と話す。 疑問としては、第一に、金利が急騰したらどうなるかという疑問がある。債券市場は変動幅の大きさで悪名高い。デロング氏は、彼の歴史解釈(経済史家として彼の読みは実際かなり優れている)によると、西欧や北米諸国の政府が発行する国債の購入意欲が突然失せることは、とてつもなくひどい事態が起きない限りまずないという。 第二に、将来成長率が下がったらどうなるかという問題がある。IMFを経て現在はピーターソン国際経済研究所に所属するパウロ・マウロ氏がこの問題を提起している。同氏はブログで、総需要が恒常的に不足している「長期停滞」への対策として、政府支出の増加を要求するサマーズ氏の提案を批判している。 マウロ氏は、実際問題としては低成長の原因が需要不足なのか、それとも、技術や人口動態、過剰規制などの問題による供給不足かを見分けるのは難しいと指摘する。「時が経過するにつれこの境界線ははっきりしなくなる。問題なのは今後10年か20年にわたり、成長率が政策担当者の推定値より低くなるかどうかだ」という。 例えば、政府事業のための債務が今後10年か20年、現在のGDP比100%の水準のまま推移すると仮定してみよう。経済成長率が予想より毎年1ポイント下回り続ければ、20年後の債務GDP比は200%まで上昇することになる。マウロ氏がIMF時代に行った、過去100年間にわたる多数の国を対象にした共同研究によると、長期の経済成長率が落ちている国では、政府が財政のを十分な改善には一様に失敗していることが明らかとなっている。 三番目としては、政府は次にいつ借り入れを増やす余力が必要となるか予測できないので、現在の債務GDP比を抑制すべきだとの見方だ。ハーバード大学のケネス・ロゴフ教授は、国債利回りが低い理由は、民間投資家は金融危機や戦争、世界的な感染症の流行などの破滅的事態を恐れており、債券はそうした際に株式より格段に良い投資対象となるからだという。 もし、そうした恐れが根拠のないものなら、政府がこの低利回りを利用して借り入れを増やすことには意味があると、ロゴフ氏も賛同する。しかし、この恐れが合理的ならば、政府はこの破滅的事態が起こる日に備えなければならない。その際には政府は大量の借り入れが必要となるからだ。それは今日の債務を小さくしておく必要があることを意味する。 これに対するデロング氏の答えはこうだ。「現在の悲惨な世界経済の状況こそ、まさにそうした破滅的状況なのだ」。
中国の預金準備率、まだ引き下げ余地あり=中銀顧問 2015 年 4 月 22 日 18:17 JST 【北京】中国人民銀行(中央銀行)の顧問を務める陳雨露氏は22日、今週1%引き下げられた預金準備率について、まだ引き下げ余地があるとの見方を示した。 陳氏は政府ウェブサイトに掲載されたインタビューで、直近の預金準備率引き下げは20日から適用されたが、それでも大手銀行の準備率は18.5%で、まだ高いと指摘。「現在の消費者物価指数(CPI)の水準と経済全体の状況を考えると、預金準備率にはまだ引き下げ余地がある」と述べた。 中国では1-3月期にCPIが前年同期比で1.2%上昇する一方、生産者物価指数(PPI)は同5.6%低下した。国内総生産(GDP)は同7%増と、6年ぶりの低い伸びとなった。 1%という直近の預金準備率の引き下げ幅は、2008年末以来の大きさだった。だが陳氏によると、これは金融政策の「適切な調整」で、「積極的な緩和」を意味しない。 さらに、欧州中央銀行(ECB)と日本銀行が量的緩和を採用しているため、中国は預金準備率と政策金利を引き下げる必要があるとし、こうした海外の緩和策の影響を相殺する上で預金準備率と政策金利の引き下げが役立つだろうと述べた。 英中銀、金利据え置きは全会一致―ユーロ圏の回復に期待=議事録 原文(英語) 2015 年 4 月 22 日 18:38 JST 【ロンドン】英中銀イングランド銀行が22日公表した4月8・9日開催分の金融政策委員会(MPC)議事録によると、政策金利の据え置き判断は全会一致だった。ユーロ圏の成長加速が今年の英国経済を支えるとの見方も示された。 MPCを構成する9人全員が主要政策金利を0.5%、債券買い入れ枠を3750億英ポンド(約67兆円)にいずれも据え置くことを支持した。このうち2人は、金利据え置き判断が微妙なバランスの上に成り立っていると述べた。 国内経済に関しては、ユーロ圏の景気回復が追い風になるとみている。だが一部のMPCメンバーは、米国と中国の成長鈍化がこの好影響を打ち消す可能性もあると指摘した。ギリシャの財政危機も引き続き世界経済の成長に対する脅威だという。 原油安を受け、英国ではこのところの消費者物価指数(CPI)が前年同月比で横ばいにとどまっている。MPC内では近く物価が下落に転じる可能性が指摘されたものの、こうした現象は一時的にすぎないと予想されている。ただ目標とする2%のインフレ率達成にどれだけの期間が必要かは、賃金上昇率とポンド相場の動向に左右される見通しだ。 市場では現在、イングランド銀行が2016年半ばに利上げを開始すると見込まれている。 米国から逃避するマネー、2万円突破の推進力に 2015/4/22 9:26 「Get out of the US!(米国から逃げ出せ!)」「米国はもはやベストな選択ではない」。最近、ヘッジファンド関係者からしきりに聞かれるコメントだ。 具体例としては、カリスマ的存在のデイビッド・アインホーン氏率いる大手ヘッジファンドのグリーンライト・キャピタルが米国株ショート(空売り)を増やしている。投資家向けレターの中で「今年は米国企業の業績が縮む可能性が強い。米国株銘柄で売り対象は見つけやすいが、買い対象となると限定的。あっても、買いのタイミングが遅きに失する場合が多い」と述べている。 欧州中央銀行(ECB)の量的緩和をテコに買われてきた欧州株に高値警戒感が強まり売られると米国株も引きずられるという、共倒れリスクさえ意識される。 そこでマネーはどこに流れるのか。 足元で最も派手に上げているのが中国株だが、初心者の個人投資家主導なので、ひとたび売りに走るときの集団行動パターンを考えるとやはり引いてしまう。 その点、日本株は、自己資本利益率(ROE)重視・株主還元などの質的向上が安心感を生んでいる。日本国内では日経平均株価2万円の大台が強く意識されるが、今回のミニ調整局面でも、海外マネーは東証株価指数(TOPIX)を中心にしっかり安値を拾っている。長期マネーの代表格米年金基金はTOPIXの選好度が強い。例えば、運用規模3位のカリフォルニア州教職員退職年金基金(カルスターズ)は昨年から、最高投資責任者(CIO)自身がTOPIX買いを明言するほどだ。 新興国株も「米国株こう着状態が続く限り」という条件付きながら、買い直される傾向が見られる。米国の出口戦略によるマネー引き揚げの悪影響を最も受けやすいセクターだが、既に売り切られ、買いの値ごろ感が生じている。 「EME」という新語も最近はやり始めた。「エマージング・マーケット・エコノミー」の略語である。たまたま、ニューヨーク連邦準備銀行のダドリー総裁の20日の講演(「希望的ながら年内利上げあり」との見出しが市場で材料視された講演)の原文を読み込んでいたら、EMEという単語が20回も使われていた。ちなみに「米連邦公開市場委員会(FOMC)」は12回である。 論旨としては、米利上げが新興国不安を強めるとの懸念に対する反論である。ポイントを6つにまとめている。 1.自国通貨を一定レートで米ドルに固定するドルペッグ制を採用する国がなくなった。過去は、ドルペッグが維持できず市場波乱を招くケースが多かった。 2.国家の対外債務支払い能力(債務返済比率=DSR)が改善している。 3.外貨準備の緩衝材も大きく増加した。 4.インフレ率も低下し、金融政策の透明性・整合性が高まった。 5.財政規律も一般的に改善した。 6.銀行制度も監視が強化され、資本構造も良くなった。 もちろん、国別のばらつきがあるので、EMEを一括して論じることはできないが、米国に代わって日欧が緩和実行中だ、などの議論を展開している。ヘッジファンドのレベルでは、トルコ、ブラジル、韓国などの国名が見直し対象として挙がる。 かくして、短期のホットマネーは、米国、欧州、日本、そして新興国と循環的に回遊するが、長期の米国年金マネーは、米国株の運用配分を減らし国際分散運用傾向を強めている。 株価収益率「割高でない」 日銀、海外動向には注意促す 2015/4/22 18:36 「PER(株価収益率)は、過去の水準や海外と比べても特に割高になっているわけではない」――。日銀は22日公表の金融システムリポート(2015年4月)で、日本の株価についてこんな見方を示した。あくまで14年度下期を対象にした評価であり、同日に終値ベースで2万円台に回復した日経平均株価の動きは厳密には対象外であるものの、「バブルは起きていないという判断を基本的に今も維持している」という声が日銀内で聞かれる。ただ、株価について、グローバル経済や金融政策に対する見方の変化によって不安定になるリスクに注意を促した。また、不動産市場でも一部に過熱方向に変化した指標があるとした。
今回の判断も踏まえ、日銀は、株高などによる心理改善効果も活用して世の中のインフレ期待強化を促す政策姿勢を当分維持しそうだ。 金融システムリポートは半年ごとに公表し、金融システムの安定性に関する分析・評価を示す文書。各種資産価格に関する評価も盛り込む。2年前の量的・質的緩和(通称、異次元緩和)開始以降、日経平均株価が約6割上昇。都心部を中心に地価も上がっている。日銀がバブル懸念の有無についてどんな判断を示すかは重要なポイントだが、従来黒田東彦総裁は「金融資本市場に過度に強気化が起こっているというようなことはない」(8日の定例記者会見)といった発言をしてきていた。今回のリポートも「金融仲介活動の過熱は生じていない」としており、2週間前の総裁発言をほぼ踏襲した格好だ。 ■株高に業績の裏付け そうした判断の根拠のひとつとなるのが、株価、地価の対国内総生産(GDP)比など14項目にわたって過熱感の有無をとらえる「金融活動指標」の動きだ。指標を1980年代後半のバブル初期にさかのぼってみると実際に過熱感を示しており、一種の警戒警報としての機能を果たしうる。 今回のリポートで最新の指標をみると、株価については過熱方向への変化は確認されていない。その理由については、黒田総裁も8日の会見で「日本の企業部門の収益は史上最高の水準にきていて、2015年度はさらに収益が増えていく見通しになっている」と指摘していた。今の株高には企業業績の裏付けがあるというのが日銀の見方ということになる。 一方、不動産関連では、不動産業の実物投資(設備投資や土地投資など)の対GDP比率が過熱方向に変化した。注意が必要といえるが、「不動産の取引量や価格動向など、その他の幅広い情報も含めて総合的にみれば、不動産市場に過熱感はみられていない」と結論づけている。 以上のように、今回の金融システムリポートは市場の過熱感を基本的に否定する内容になった。 ■バブルへの過度の警戒は妥当でない その背景には、バブルへの過度の警戒は株安を招き、異次元緩和が目指す2%物価目標の「安定的な持続」実現にマイナスになりかねないという日銀の思いもありそうだ。早すぎる「バブル退治」で株安になれば、富裕層を中心とする消費を冷やす。株価下落による人々の心理悪化は、予想物価上昇率も下げかねないか。いずれも物価下落要因になるわけだ。 現時点で株価下落は望ましくないと考えているからこそ、日銀は株式市場への「直接介入」という異例の手段も手掛けている。異次元緩和の一環として実施している株価指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れだ。ETF購入は株価下落局面で発動されるのが普通で、株価の下値不安を和らげてきた。今回の金融システムリポートでの判断を受け、今後も「株価に優しい姿勢」が続きそうだ。 とはいえ、バブルが形成されているかどうかは、後になってからでなければわからないという面もある。日本経済は1980年代後半に膨らんだバブルが90年代に崩壊。不良債権問題発生などにより大きな混乱に見舞われた過去がある。日銀は今後も、資産価格に行き過ぎがないかを注意深く点検していくべきだろう。 ■国債相場にも注意が必要 資産価格というと株価や地価に目が向きがちだが、国債相場にも注意が必要だ。日銀は現在、市中発行額(グロスベース)の9割程度に相当する額の長期国債を毎月買っており、国債相場の上昇(長期金利の低下)が進んできた。だが、何らかの理由で債券相場が急落すれば、巨額の国債を持つ銀行の経営が打撃を被り、金融システムが揺らぐ懸念もある。金融システムリポートも、金利1%の上昇で民間金融機関が持つ国債に生じる評価損が7.5兆円になるとの推計(14年12月末時点)を示した。6カ月前に比べて2000億円の増加だ。民間投資家の存在感(プレゼンス)低下により、債券市場の機能低下が深刻化しているとの批判も根強い。金利乱高下のリスクが高まっていないかにも注意が必要だ。 日銀としては、債券市場の動向を引き続き注視し、市場参加者との円滑な意思疎通に努める必要がある。日銀の国債購入が財政ファイナンス(中央銀行による財政赤字穴埋め)であると解釈され、長期金利上昇に結びつく事態を避けるためには、政府や国会による財政健全化に向けた努力も欠かせない。長期金利の混乱回避は、株価の安定のためにも欠かせない要素である点を忘れるべきではないだろう。 豪消費者物価、1〜3月1.3%上昇 約3年ぶり低水準 2015/4/22 19:00 【シドニー=高橋香織】オーストラリア統計局が22日発表した1〜3月期の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同期比1.3%と約3年ぶりの低水準となった。ガソリン価格の低下を受け、10〜12月期の同1.7%から上昇率が低下した。
豪準備銀行(中央銀行)が金融政策で重視する基調インフレ率は同2.3%と、中銀目標(2〜3%)の中間値以下に収まった。市場予想(2.2%)より強い内容で、豪中銀が5月5日の理事会で利下げに踏み切るとの観測はやや後退した。 CPI発表を受け、同日の外国為替市場では豪ドルが対米ドルで一時買われた。 http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM22H4Y_S5A420C1FF2000/ ブラックロック:豪国債に大量資金流入へ、豪中銀追加利下げへ 2015/04/22 15:49 JST (ブルームバーグ):米資産運用会社ブラックロックはオーストラリア国債市場について、日本と欧州の中央銀行による量的緩和を背景に、海外から大量の資金が流入し需要が高まると予想している。 ブラックロックのスティーブン・ミラー豪州債責任者(シドニー在勤)は22日、豪準備銀行(中銀)が年内にあと2回利下げするとの見通しを示した。豪ドルが年末までに1豪ドル=0.70米ドルに下落するとの見方も示した。これはスティーブンス豪中銀総裁が同国経済に望ましいとする水準である0.75米ドルを下回る。 スティーブンス総裁は2月に政策金利を過去最低の2.25%に引き下げたが、100年に1度の鉱業ブームの終わりや中国の景気減速で同国経済は苦戦している。ミラー氏はオーストラリアの成長に対する逆風は大方の人が考えているよりも「かなり強い」と指摘した。 ブルームバーグが集計したシドニー時間22日午後1時37分時点の価格データによると、スワップ・トレーダーらは5月5日の豪中銀政策決定会合での利上げ確率を約60%とみている。 原題:BlackRock Sees Massive Flows Into Aussie Bonds; RBA Set to Ease(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:シドニー Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 山崎朝子 更新日時: 2015/04/22 15:49 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NN73236TTDSC01.html
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