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「ISPO」で「GOLD WINNER」を受賞した際の中村太一社長(中央右)と片野秀樹ドイツ支社長(中央左)
1着1万円の疲労回復ウェアが大ヒット 社員17人の会社が、なぜヒット商品を作れたのか
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150422-00010003-bjournal-bus_all
Business Journal 4月22日(水)6時2分配信
2014年12月3日付当サイト記事『疲労回復ウェア、世界的ヒット スポーツや仕事の疲れ解消で広い層に浸透、大手参入続々』で取り上げた、ベネクスのリカバリーウェア(疲労回復ウェア)が、5月からヨーロッパで販売されることになった。
05年9月に設立され、神奈川県厚木市に本社を置くベネクスは、14年3月期の売上高が5億円、同年9月時点の従業員は17人だ。ナノプラチナや数十種類の粒子状の鉱物を織り込んだ特殊新素材「PHT(プラチナハーモナイズドテクノロジー)」(特許取得済み)を使用したリカバリーウェアを09年から発売すると、1着1万円前後という高価格にもかかわらず、トップアスリートの口コミで人気を集め、15年2月までに25万着を売る大ヒット商品となった。
3月17日、ベネクスの世界進出発表会が都内で行われ、中村太一社長は5月からドイツ、スイス、オーストリアの3カ国で、現地仕様の新商品を発売することを明らかにした。ベネクスが海外に初進出することになる。
上下ウェア6〜10品目で、価格帯はTシャツ1枚125ユーロ(約1万6000円)、ジャージ(上着)1着320ユーロ(約4万1000円)だ。ドイツ人のデザイナーを起用し、現地で生産、年内に現地のスポーツ用品店150店での取り扱いを目指し、年間の売り上げ目標は7000万〜1億円としている。また、3年後には年商3億円に引き上げるもくろみのようだ。
「まずはドイツ語圏3カ国での販売です。現地で人気のあるサッカー、スキ―、自転車やランニング、フィットネス関連のショップを中心に展開します。バイヤーの皆さまからは、商品の機能性と独自性に高い評価をいただいており、スポーツショップを足がかりに、今後は薬局などの販路も拡大するつもりです」(広報担当者)
●世界最大のスポーツ用品展示会で日本初の受賞
ベネクスが海外に進出するきっかけとなったのは、ドイツで毎年行われる世界最大のスポーツ用品展示会「ISPO(イスポ)」で13年に高い評価を得たことだ。数日の開催期間中に約8万人の入場者を集めるといわれる同展示会の商品コンテストで、ベネクスのリカバリーウェアは「革命的なスポーツギア」と評価され、日本企業では初めて最高賞の「GOLD WINNER」(アジアプロダクツ部門)を獲得した。これで手ごたえをつかんだ中村社長は、販売代理店を探すために翌年、同展にブースを出した。
主催者側のパンフレットなどで事前に大きく取り上げられていたこともあり、前評判は上々で、実際にヨーロッパの卸業者、メーカーなど約20社から販売契約の打診があった。その中から、中村社長が“目利き力”の強さと無名ブランドのヨーロッパ展開のサポートで定評のあるAGMスポーツトレーディング社と販売契約を結ぶ。
そして、今年2月のISPOで、ベネクスはヨーロッパ仕様の新商品を出品した。その新商品にはドイツ語圏のほか、イタリア、ハンガリー、ポーランド、キプロス、ブラジル、チリのバイヤーから熱心なオファーを受けた。
「『あの商品は面白い』とバイヤー同士の口コミで広がり、弊社のブースに人が集まりました。スポーツウェアの目覚ましい進化で、どのメーカーも差別化に腐心している中、今までにない圧倒的な個性が受けたのだと思います。最初は訝しがる人もいましたが、現場で理論を説明し、着用前後の血流の変化を試してもらうと『これはすごい』という反応に変わりました。日本より販売価格は高いですが、ヨーロッパでは『いいものは高くても売れる』という意識があるようなので、障壁にはならないと見ています」(中村社長)
ヨーロッパでは、5月の店頭販売開始と同時に、インターネット上でも販売を開始する。ドイツ語と英語のサイトを皮切りに、フランス語、イタリア語、スペイン語にも対応を進め、ネット上ではEUを商圏として先行させていく方針だ。当面の市場はヨーロッパだが、北米を次のターゲットに見据えており、まさに世界への挑戦が始まろうとしている。
●国内外15大学で効果効能の科学的検証を実施中
中村社長は、ヨーロッパでの展開について、さらにこう語る。
「リカバリーウェアは、日本ではトップアスリートの口コミで大ヒット商品となりましたが、ドイツをはじめとするヨーロッパでは『REGENERATION』という言葉で伝えています。リカバリーが『病気からの回復』というイメージなのに対して、『REGENERATION』は大自然の中で疲れた体を充電するといった前向きのイメージです。休養に対する理解や意識が非常に高い『休養先進国』のヨーロッパ市場のニーズは、日本より高いと感じています。そのヨーロッパで、REGENERATION市場の開拓者でありたいと考えています」
ベネクスの進出が刺激となり、今後は世界的メーカーとの激しい競争も展開されることになりそうだ。その争いを制するためには、なんといってもブランドの信頼性が重要になる。今、ベネクスは国内外15大学と共同で、効能効果の新たな科学的検証を行っている。
「東海大学、埼玉大学、新潟大学、横浜国立大学、順天堂大学、神奈川県立保健福祉大学、東京医療保健大学など国内の10大学と、UCLA(米カリフォルニア大学ロサンゼルス校)、独ボーフム大学など海外5大学と共同研究を行っています。疲労回復はスポーツ医学などの分野で注目を集めており、アスリートらの推薦に加え、実際の研究成果が国際的な学会で発表されるようになれば、ブランド力は一気にアップするでしょう」(経済ジャーナリスト)
厚木のベンチャー企業は、カジュアルウェアでグローバル展開を果たしたユニクロに続くことができるのだろうか。
文=編集部
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