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USJ、沖縄進出の裏の狙いはカジノ!早くも暗雲 カギ握る米軍基地移設と共倒れか
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150422-00010005-bjournal-bus_all
Business Journal 4月22日(水)6時2分配信
テーマパーク、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ/大阪市)が沖縄に進出する。USJの運営会社ユー・エス・ジェイのグレン・カンペル社長が3月中旬、沖縄県に新たなテーマパークをつくる方針を伝えた。USJのような映画やテレビ番組をテーマとするのではなく、「沖縄に合ったものを展開し、インバウンド(訪日外国人)も含めて考える」。2020年より早い開業を目指すものとみられている。新しいテーマパークの場所は明らかにしなかったが、米軍普天間基地の移設先、辺野古がある名護市の名護自然動植物公園(ネオパークオキナワ)が有力だ。
USJは大阪市などが出資する第3セクターとして設立され、01年にテーマパークを開業した。ハリウッド映画を題材としたアトラクションで人気を集め、07年に東証マザーズに上場した。だが、リーマン・ショックで来場者が減少し、立て直しのためゴールドマン・サックス・グループによるTOB(株式公開買い付け)の後、09年に上場廃止となった。
再スタートしてからは、若者をターゲットにした戦略から家族や女性向けに転換。「スペース・ファンタジー・ザ・ライド」などの新アトラクション投入が功を奏し、13年度(13年4月〜14年3月)の来場者は1050万人と、開業時の01年度に次ぐ水準に回復した。
14年7月15日には450億円を投じ、人気映画シリーズ『ハリー・ポッター』の世界を再現した新アトラクション「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」がオープン。それら新エリアが人気を呼び、14年度入場者は1270万人を記録。開業初年度(01年度)の1103万人を大きく上回った。
ハリポタ効果で人気が回復したUSJが次に計画したのが、沖縄での第2テーマパークの建設だ。建設費を調達するために、東京証券取引所への再上場を考えているという。
●沖縄進出の狙いはカジノか
USJの沖縄進出の狙いは、カジノ進出だとみられている。米ブルームバーグは昨年8月12日、USJがカジノ事業への進出を目指し、複数の海外事業者と共同事業に向けて交渉していると報じた。カンペル社長がインタビューの中で明らかにした。
USJが本拠地を置く大阪では、府と市が大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)地区をカジノ誘致の候補地として検討している。USJの参入計画が報じられると、橋下徹市長が「USJ経営者と信頼関係がない。他の業者にやってもらいたい」と宣言した。大阪市はUSJに貸している土地の賃料値上げをめぐって係争中だ。
そこでUSJが狙いを定めたのが沖縄だ。カンペル社長は、ブルームバーグのインタビューで、「沖縄県では名護市が市内に所有する自然動植物公園『ネオパークオキナワ』が具体的な開設候補地のひとつで、新しいテーマパークとIR(統合型リゾート)建設の両方の可能性を検討する」と語った。
●米軍基地の辺野古移設とワンセット
カンペル社長が今回、新テーマパークの候補地も開業時期も明らかにしなかったのは、昨年11月の沖縄県知事選挙で仲井真弘多・前知事が落選したからだ。前知事時代には進出計画は順調に進み、14年7月6日付琉球新報は、USJが名護市進出に向けて県と協議していると報じた。米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古沖への移設を容認していた仲井真氏は、USJの誘致に積極的だった。USJが新たな雇用を生み出すとして、辺野古移設反対の地元の声を抑える狙いがあった。
だが、3選を目指した仲井真氏は落選。辺野古移設反対派の翁長雄志(おながたけし)氏が知事に当選した。これによって、今年2月に公表されるはずだった候補地の発表は凍結された。
代わって政府が全面的に乗り出してきた。菅義偉官房長官は3月18日、USJが沖縄に新たなテーマパークの創設を検討していることについて「沖縄の振興を考えたときに、極めてインパクトがある」と歓迎。その上で「政府としてはできる限りの支援をしたいとしっかり伝えてある」と踏み込んだ発言をした。
政府が沖縄振興策の柱に据えているのが、外国からの観光客を呼び込むためのカジノ設置と那覇空港の第2滑走路の整備だ。ただし、これは沖縄県が米軍基地の名護市辺野古沖への移設を受け入れることが絶対条件だ。辺野古移設が頓挫すれば、カジノ誘致と第2滑走路計画は白紙還元される。建前上では基地移設と経済振興は別物だが、実態はワンセットなのである。USJの新テーマパークは政治的マターの様相を呈しつつある。
カジノ法案(統合型リゾート整備推進法案)は昨年の臨時国会で廃案になった。超党派の国会議員でつくる「国際観光産業振興議員連盟」(会長・細田博之自民党幹事長代行)は統一地方選挙後に再提出し、今国会中の成立を目指している。しかし、公明党が慎重な姿勢を崩しておらず、カジノ法案が成立するかどうかは微妙だ。
3月19日付米ロサンゼルス・タイムズは、「ユニバーサル・スタジオは実現することのないテーマパーク(構想)を世界各地で発表するという長い歴史を持っている」と皮肉った。07年の韓国とドバイ、08年のフィリピン、10年のインドでの計画は、いずれも立ち消えになっている。12年に発表され、18年開業予定のロシアの屋内テーマパークも、進展がほとんどないと伝えられている。
USJの沖縄進出は陽の目を見るのか。米軍基地の辺野古沖への移設と、カジノ法案の成立の行方にかかっている。
(文=編集部)
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