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会社を動かすのは「権力」である。社内の「パワーバランス」を把握する7つの方法。
http://diamond.jp/articles/-/70400
2015年4月22日 高城幸司 [株式会社セレブレイン 代表取締役社長] ダイヤモンド・オンライン
社内政治――。ネガティブな印象をもつ言葉ですが、実は「政治力」がなければ管理職は務まりません。どんなに優れたアイデアがあっても、どんなに理想が高くても、組織を動かせなければ何ひとつ実現できないからです。部署間対立、横暴な上司、反抗的な部下……。こうした「現実」のなかで、いかに社内政治を生き抜くか?『社内政治の教科書』の中から、その鉄則を紹介します。
■組織を動かしているのは「パワー」である
組織を動かしているのは「権力(パワー)」です。
権力を背景にすべての物事は決し、権力を背景に構成員にその実行を強いるわけです。よくも悪くも、それが組織統治の原則です。
そして、「課長」は、その権力構造の末端に位置する役職です。
組織の規模にもよりますが、そのパワーはごく小さなもの。いわば、大海に浮かぶ一艘(いっそう)の小舟のようなものです。潮の流れには逆らえませんし、突風が吹けば転覆します。また、順風のときと逆風のときでは、帆の張り方も違うでしょう。きちんとした航海術を身につけなければ、目的地にたどり着くことはできません。
そのためには、まず「海図」や「気象図」を手に入れることです。
すなわち、社内全体の組織構成を把握したうえで、そのパワー・バランスを把握しなければならないのです。
【パワー・バランスをつかむ方法(1)】
まず、組織図を広げてください。いわば、これが「海図」です。これを頭に叩き込まないことには、何も始まりません。そのうえで、パワーの在り処を洞察していきます。「海図」のうえに「気象図」を上書きしていくイメージです。
パワーの指標は、次の3つ。
1 人事権
2 予算(事業規模)
3 人員数
このうち、パワーの根幹を成すのは「人事権」(=人事への影響力)です。
構成員の人員配置を司り、左遷や解任・解雇などの強権も有する人事権こそが、権力者の最大の武器だからです。ただ、上層部において誰が人事についてもっとも影響力をもつのかは、課長からは見えにくいことも多いでしょう。
そこで、重要になるのが予算と人員数です。
予算と人員数は、人事権と密接に結びついています。人事に影響力をもつ部門は人員数を増やことができ、人員数は人件費(予算)にかかわってきます。だから、人事権と予算はセットで配分されるのが通例なのです。つまり、予算と人員数という顕在化している数字を把握することで、パワーの根源である人事権(=人事への影響力)の在り処を探ることができるということです。
組織図の上に、部門ごとの予算や人員数と、その部門を牛耳る人物の名前を書き込み、それを眺めながらパワー・バランスを推測すると見えてくるものがあるでしょう。
■「人事」と「予算」で組織図を読み解く
まず、課単位で見てみましょう。たとえば、営業部に第1営業課から第3営業課まであるとします。そして、部長が人事権を掌握しており、3つの課への予算配分・人員配分を司っています。その3つの課のパワー・バランスを推測するためには、まず、それぞれの人員数と予算を見ることです。部長への影響力をもつ課長ほど、人と予算を引っ張ることができるはずだからです。
このような要領で、さらに上層部のパワー・バランスを探っていきます。
開発部門、営業部門、製造部門、総務部門……。数ある部門のなかで、どこの予算や人員数が多いでしょうか? そして、その部門を牛耳っているのは誰でしょうか? もしかすると、複数の部門を牛耳る人物がいるかもしれませんから、その場合はすべての部門のパワーを合算します。このように組織図をたどっていけば、役員レベルでのパワー・バランスがうっすらと見えてくるはずです。
もちろん、これはあくまで「仮説」です。
たとえば、往々にして総務部門は人員数は比較的少ないものですが、人事部や財務部が「ヒト」と「カネ」を掌握していて、社内に隠然たる影響力を有しているケースもあります。
また、いまだ予算も人員も少ないけれど、有望な新規事業をテコ入れするために、有力者にその部門の長を任せているケースもありえます。逆に、有力部門の長を任されているけれども、真の有力者の傀儡(かいらい)で実権はもたないケースもあるでしょう(社長ですら、そういうケースがあります)。
ですから、日頃から社内動向を観察することによって「実態」を探り、パワー・バランスの「仮説」を修正していくことが重要です。
■「パワー」の在り処を探り当てる方法
【パワー・バランスをつかむ方法(2)】
もっとも観察しやすいのが「人事異動」です。
新任役員の出身部門のトップは誰か(誰がボスか)? 社長肝いりの有望な新規事業のポストを誰がとったか? 出向させられたのはどこの部門の人間か? 部長に昇進した数がもっとも多いのはどの部門か? こうした人事動向から、役員レベルの力関係を推察することができるはずです。
【パワー・バランスをつかむ方法(3)】
また、チャンスをつくって、役員会議の場に参加するのもおすすめです。
私は、マネジャー時代に、部長の代理として役員会で報告をしたり、議事録担当として役員会に列席するチャンスは逃しませんでした。自分にしかわからない案件があるときには、「私が役員会で説明しましょうか?」と部長に提案したものです。
上層部に「顔」を売るチャンスですし、それ以上に、上層部のパワー・バランスに生で触れるまたとない機会でした。影響力・発言力のある人物が口を開くと、その場に緊張が走り、全員が耳をそばだてます。一方、パワーのない人物が話しはじめると、場の空気が弛緩(しかん)して、なかには携帯電話を見始めるような人もいます。あるいは、部下に厳しい役員が、役員会議では社員の立場に立った発言をしているなど、普段はうかがい知れない重要情報を得ることもできます。
【パワー・バランスをつかむ方法(4)】
社内行事などもよく観察したほうがいいでしょう。
誰がスピーチをするのか? 誰が上座に座るのか? 役員がひとつのテーブルを囲んだときに、誰が会話をリードしているのか? こうした視点で観察することで、上層部のパワー・バランスを実感することも大事です。
【パワー・バランスをつかむ方法(5)】
事情通の話に耳を傾けるのも有効です。
「あの常務は、いまは実権をもっていないように見えるけど、かつて社長を助けた功労者だ。だから、社長は彼の意見を無視できない。社長が実権を握っているうちは、それなりの発言力をもつだろうな……」
「あの役員は、順調に勢力を拡大しているが、どうも、社長が警戒し始めたらしいよ。これから、どうなるかわからない……」
こうした話を真に受けてはいけませんが、頭に入れて観察を続けると、パワー・バランスの実態をつかむきっかけになることもあるでしょう。
■「会社の歴史」を知れば、パワー・バランスの秘密がわかる
【パワー・バランスをつかむ方法(6)】
会社の歴史をひもとくことも大切です。
社史にはざっと目を通しておいたほうがいいでしょう。なぜなら、現時点でのパワー・バランスは、必ず過去の歴史を背負っているからです。
たとえば、鉄道事業で創業した会社を想定しましょう。すでに鉄道網がかなり整備されている現代において、鉄道部門の事業拡大は容易ではありません。そのため、会社の成長のために不動産事業をはじめ多種多様な事業を展開しているはずです。そして、実績好調な部門が人員も予算も拡大させている一方、鉄道部門は赤字に陥っているかもしれません。しかし、こうした歴史的背景をもつ会社では、鉄道事業の役員のパワーが簡単に削がれることはないでしょう。
あるいは、合併の歴史のある会社もあります。
もしも、あなたが合併後に入社して課長になったとしても、上層部には合併企業と被合併企業の力関係が残っているケースは多いはずです。その場合には、その歴史的経緯も踏まえながらパワー・バランスの「実態」を探らなければなりません。
【パワー・バランスをつかむ方法(7)】
可能な限り過去に遡って、組織図を入手するのも一手です。
時代順に組織図を追いかければ、どの部門がどのように勢力を広げてきたか、あるいは衰えていったのかが手に取るようにわかります。派閥対立のある会社であれば、両者の勢力がどのように推移していたかも知ることができるでしょう。時代ごとの部門ごとのボスも把握できれば、より生々しく上層部のパワー・バランスのありようと推移を把握できます。そして、「今」がどういう時期なのか、という洞察を深めることができるはずです。
■「べき論」は一切捨てて、どこまでもリアリストに徹する
このように、あらゆる機会をとらえて、パワー・バランスの「解像度」を高める努力をすることが、社内政治を生きていくためには重要です。
その際に忘れてはならないのは、「べき論」は一切捨てるということです。
激しい派閥対立が繰り返されることで、組織の健全性が損なわれている会社もあるかもしれません。社長が絶対権力をもつオーナー会社には、役員がすべて社長の「イエスマン」であるようなケースもあるかもしれません。そんな状況に対して、いくらでも「べき論」は可能でしょう。
しかし、社内政治において「べき論」は無力です。
くり返しますが、組織を動かすのは「パワー」です。無策のまま「パワー」に逆らっても叩き潰されるだけ。考えるべきは、どうすれば「パワー」を動かすことができるのかということです。
そのためには、まずパワーの在り処を正確に把握しなければなりません。
誰がパワーをもっているのか?
パワーの序列はどうなっているか?
それを、どこまでもリアリスティックに追求することです。
高城幸司(たかぎ・こうじ)
株式会社セレブレイン代表。1964年生まれ。同志社大学卒業後、リクルート入社。リクルートで6年間連続トップセールスに輝き、「伝説のトップセールスマン」として社内外から注目される。そのセールス手法をまとめた『営業マンは心理学者』(PHP研究所)は、10万部を超えるベストセラーとなった。その後、情報誌『アントレ』の立ち上げに関わり、事業部長、編集長、転職事業の事業部長などを歴任。2005年、リクルート退社。人事戦略コンサルティング会社「セレブレイン」を創業。企業の人事評価制度の構築・人材育成・人材紹介などの事業を展開している。そのなかで、数多くの会社の社内政治の動向や、そのなかで働く管理職の本音を取材してきた。『上司につける薬』(講談社)、『新しい管理職のルール』(ダイヤモンド社)、『仕事の9割は世間話』(日経プレミアシリーズ)など著書多数。職場での“リアルな悩み”に答える、ダイヤモンド・オンラインの連載「イマドキ職場のギャップ解消法」は、常に高PVをはじき出している。
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