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ライバルコンビニと比べて圧倒的な強さを誇るセブン-イレブン。その理由はどこにあるのか?
コーヒーに続きドーナツも話題沸騰 セブン−イレブンはなぜ“最強”なのか?
http://diamond.jp/articles/-/70510
2015年4月22日 ダイヤモンド・オンライン編集部
セブンカフェに続き、ドーナツでも話題を総ざらいし、ライバルコンビニのみならず、外食店も脅かす存在として改めて強さを見せつけたセブン-イレブン。なぜセブンはこんなにも強いのだろうか?
■ミスドにそっくりだが独自のこだわり 「実験を重ねて定番を磨き上げる」
昨年10月から関西でスタートし、今年8月までに全国の約1万7000店舗に拡大する予定のセブン-イレブン・ジャパンのドーナツ。「チョコオールドファッション」など5種類から始め、現在は10種類にまで増えている。
この当初展開の5種類、どう見ても業界規模1173億円(2013年、富士経済調べ)のうち、9割ものシェアを誇るドーナツ業界の雄・ミスタードーナツの商品にそっくりだ。
やはりセブンはミスドを真似たのか?商品本部でドーナツを担当している結城晃シニアマーチャンダイザーに素朴な疑問をぶつけると、「確かに似ています。しかし、マネはしていません」との返事が返ってきた。
実際、見た目はそっくりだが、食べ比べてみると確かに味は違う。セブンの方が甘さ控えめで、あっさり味なのだ。価格も違う。セブンは1個100〜110円。ミスドよりも数十円安い。
セブンが重視するのは、「定番商品」。セブンカフェと相性のいいおやつということでドーナツに白羽の矢が立ったのだが、毎日食べても飽きないという観点で選ばれたのが、現在のラインナップだという。「甘過ぎない味で、生地の口溶けやふんわり感を追求しました」(結城氏)。各地域に契約しているメーカーの専用工場があり、そこで製造している。「揚げ方も実は難しく、味にバラつきが出ないよう、機械のコントロールに加えて出荷前の確認などにも細心の注意を払っています」(同)。
味だけではない。ドーナツはレジカウンターに専用の什器を置いて販売している。パン売り場での袋売りも実験したが、レジ横に置いた方が売れ行きがいいという結果が得られたのだという。工場での製造過程、店頭での売り方、価格など、さまざまな実験を重ねた結果が、今のスタイルだというわけだ。
リニューアルにも余念がない。たとえば4月から、オールドファッションにかかっているチョコレートの量を増やし、生地も少ししっとりさせた。「『毎日食べても美味しい』を実現するため、まだまだ改良を加えていきます」(同)。
まだ始めて数ヵ月で、売上高などは公表していないが、「予想通りのラインの数字を確保している」というから、今のところ成功している。ミスドに似ているのは、日本のドーナツの定番がそもそもミスドの商品だから、ということなのだろう。しかし、売り方や味、価格に関してはマネをするのではなく、実験を繰り返して愚直に磨き上げるからこそ、セブンは“売れる”のだ。
■サプライチェーンに圧倒的な強み 「セブンとユニクロは似ている」
コーヒーやドーナツに限らず、セブンが手がけると成功するという商品は少なくない。それは日販(1日の1店当たり売上高)にも如実に現れている。セブンは平均66万円。それに対して、2番手のローソンは53万円と、10万円以上の開きがある。3番手のファミリーマートは51万円だ。一見、似たような商品を扱っているように思えるのに、一体何がこの差を産むのだろうか。
「調達や生産、物流、販売に至るまで、いわゆるサプライチェーン全体に強みがあるという点に尽きます」。野村証券の正田雅史アナリストは、こう分析する。サプライチェーンが強く、ヒット商品を生み出す力があるという点で、ユニクロに良く似ているという。
セブンは出店にあたり、ドミナント方式(高密度多店舗出店)を貫いてきた。全国津々浦々に出店するのではなく、地域ごとの集積を重視してきたのだ。ローソンは1997年には47都道府県すべてに店を持ったが、セブンは今でも青森県と鳥取県、沖縄県には店がない。
そうすることで、弁当や総菜、今回のドーナツといった、メーカーの専用工場でセブン向けに作る商品の完成度を上げることができる。たとえば弁当や総菜の場合、店舗が集積しているエリアに工場を持つことで、効率的な物流体制を組めるし、配送時間も短くて済むから保存料が必要ない。
また、メーカー側からしても、物量が多いから、セブンへのロイヤリティが必然的に高くなり、より積極的に商品開発に応じるという好循環となる。専用工場の数がライバルコンビニよりも群を抜いて多いという特徴にも、メーカーのロイヤリティの高さが表れている。
店舗も同様だ。「セブンは店舗オーナーたちも協力的。本部が売れる商品やサービスを提供しているからです」(正田アナリスト)。
たとえば、ローソンは今月、宅配事業で佐川急便と提携したが、セブンはすでに既存店のスタッフが運ぶかたちで始めている。当然、セブンの方がコストがかからない構造だ。店舗の集積度が密であるため、配達エリアをきっちり店舗がカバーできるというのも大きな理由だが、オーナーたちが協力的だからできているという側面も見逃せないのだ。
また、ドーナツをスタートから10ヵ月で全店舗に展開するというやり方も、セブン独特だ。ほかのコンビニは全国展開が遅かったり、そもそも全国展開にまでたどり着かなかったりすることがある。「セブンの戦略は平等主義と言えるものです。ATMもいち早く全国一律サービスにした。理由の一つは、一気に投資をする体力があるということ。もう一つは、売上が極端に低い店舗がないため、投資を伴う商品やサービスでも、きちんと利益を出せるのです」(正田アナリスト)。
■圧倒的な強さは今後も変わらず 異業種も恐れる「セブンの進出」
今回のドーナツの全国展開にかかる期間は10ヵ月。業界一般的に言えば短いが、「ウチとしては長い方。全店一斉が理想ですが、納得いく味のレベルを保てる生産体制を地域ごとに作って行かなければならないため、時間をかけざるを得ませんでした」(セブンの結城シニアマーチャンダイザー)。
「ローソンやファミリーマートの方が店舗はオシャレだったりするでしょう?ウチは地味。だけど、結局は売れ筋商品を淡々と追求することが、日販の差に出ている」。セブンアンドアイのある役員は、こう話す。確かに、セブンの日販が抜群なのは今に始まったことではなく、10年以上、ずっと変わらない。
そんなセブンがドミナントを形成し、あるエリアに集中的に出店すれば、地域のライバルたちは、たまったものではない。ライバルコンビニはもちろん、地域の食品スーパーや、皮肉なことにイトーヨーカ堂のようなGMSも例外ではない。
ある地域にセブンが50店オープンしたとしよう。平均日販66万円と店舗数、営業日を掛け合わせてみると、年間の売上高120億円の巨大店がやってきたのと同じインパクトがあるのだ。
ローソンは今期、グループで1200店の新規出店を計画している。ファミリーマートはユニーと経営統合を交渉中で、ユニー傘下のサークルKサンクスとファミマを1ブランドに統一することも検討している。いずれもドミナント強化には必要不可欠な施策。「それでもセブンに対抗することは難しい。しかし、やらなければもっと差が開いていく」(正田アナリスト)。
当然、地域のカフェやドーナツ屋、スイーツ店も、セブンカフェやドーナツの影響は必ず受けるだろう。ミスタードーナツとの価格差を見れば分かるように、セブンは圧倒的な物量を売る力があるから、価格も安く設定できる。
消費増税や人口減少といった逆風が吹き、GMSや百貨店、スーパー、コンビニに至るまで、苦戦する会社の方がはるかに多いが、セブンの勝利の方程式は相変わらず健在だ。
(ダイヤモンド・オンライン編集部 津本朋子)
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