http://www.asyura2.com/15/hasan95/msg/564.html
Tweet |
資金需要とスーパー売上高
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52700814.html
2015年04月21日 在野のアナリスト
「粛々と」を使いつづける安倍政権に、『上から目線』との声もあり、右ななめ上からの高圧的な態度として指摘されますが、経済の分野からすると『安倍から目線』という、奇妙な状況がおきています。これは2014年度の毎月勤労統計で、1月以外はずっと所定内給与が前年割れだったことで、官製賃上げと持て囃された昨年、そして今年と、4月になると賃上げを誇る安倍首相の態度から、何か違う数字をみているのではないか? 別次元の話をしているのではないか? との憶測から、『安倍から目線』とは、経済指標とは真逆のことを言う、もしくはそれに基づいて政策を決めようとする態度、として用いられます。
確かに調査対象の入れ替えがあり、厚労省も認めているように、倒産した企業が退出している過去データと、これから倒産しそうな企業を含む、新たなデータでは数字が低めにでる、といったこともあるでしょう。しかし安倍政権はずっと倒産は減った、と言いつづけてきたのであり、倒産を下方改定の原因とするのも、実は発言の整合性を失うことにもなっています。
3月全国スーパー売上高が、前年同月比8.6%減と、衝撃的な数字がでてきました。住宅関連が19.2%減、家電が24.8%減。駆け込み需要の反動という面があるにしても、大きすぎる落ち込みであり、通年でも前年度比2.5%減と、激しい消費減退がおこっています。一方で食品スーパー売上高は、3月は前年同月比4.4%減と、11ヶ月ぶりのマイナスでしたが、通年でも前年度比0.1%減となっています。今も天候不順で生鮮野菜が高騰していますが、1%以下とはいえ、すすんだインフレにより食料品の購入に回す額が多くなり、前年より下がった給与に必死でやりくりした結果、食料品以外の落ち込みが大きくなった、という原因がここからも読み解けます。
日銀が銀行に実施した主要銀行貸出動向アンケート調査で、個人向け住宅ローンDIは+3(前回+4)と、小幅に悪化したものの、一方で消費者ローンDIが+7(前回+1)と、大きく資金需要が増えた。これが前向きな消費でないのは、スーパー売上高をみても明らかです。生活苦により消費者ローンが増えている現状、それが各種指標を通してみると非常によく分かる結果となっています。
企業の資金需要は、製造業の大企業向けDIが±0(前回+3)、中小企業向けDIが-3(前回+3)、非製造業の大企業向けDIが-1(前回+4)、中小企業向けDIが+1(前回+4)と、総じて資金需要が停滞している。大企業は内部留保もあり、また市場から資金調達し易くなっている、という面があるにしても、中小企業まで借りない現状は、経済活動の停滞、もしくは下降を示すものです。低金利でも、借りて設備投資をしても売れないから、借りない。15年度は辛うじて資金需要は増加傾向でしたが、今年度は減少に転じるかもしれない、そんな下落トレンドを描いています。
今日の日経平均は大幅高でした。中国版バズーカとも言われますが、0.5%刻みだった預金準備率の引き下げを、1.0%に拡大した。逆にいえば、それだけ景気に不安がある証拠ですが、金融相場には恵みの雨です。ただ、それだけではなく、日銀の金融政策決定会合前に買いを溜める、いわば日銀相場が今回、早めに入った印象です。TPPで合意できなかった日米、安倍氏の手土産にも困るところですから、何かサプライズを準備しないといけない。米国の経済指標も悪化し、早期利上げ観測が後退しており、日銀が緩和し易い環境が整いつつある、ともいえます。技術的には難しくとも、さらなる緩和マネーへの期待が、海外の好材料と合わせて市場を押し上げた形です。しかし資金需要が停滞する中、いくら資金を流してもダブつくだけ。そしてそれが株式なり、資産価値を高める方に向かう、という異常な循環だけが、ここには生まれているのです。『安倍から目線』には、これが株価上昇、景気好調と映っていることでしょう。『安倍から目線』はド近眼に、かなり乱視がまじっている、ということだけは国民の目からはっきり見えるのかもしれませんね。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。