http://www.asyura2.com/15/hasan95/msg/526.html
Tweet |
BGの買収で、シェルは世界ナンバーワンのLNG生産会社となる。シェルは事業ポートフォリオの見直しを進めており、日本国内では昭和シェルの持ち株売却の観測が絶えない
Photo by Yasuo Katatae
シェルの英ガス会社買収で、 日本のLNG価格が上昇か
http://diamond.jp/articles/-/70431
2015年4月21日 週刊ダイヤモンド編集部
英蘭石油メジャーのロイヤル・ダッチ・シェルが、英液化天然ガス(LNG)大手のBGグループを総額約8兆4000億円で買収する──。その一報が、日本のエネルギー業界の空気を一変させた。「LNGの最大の買い手である日本にとってマイナス」と関係者たちは警戒感をあらわにする。
原子力発電所が全基停止した日本にとってLNGは頼みの綱。電源構成に占めるLNG火力発電の構成比は、震災前の29%から2013年には43%へ激増し、LNG依存度がにわかに高まっている。
そのLNGは米国のシェールガスをはじめ世界中で開発が進み、供給量が潤沢。その上、LNGの輸入価格は原油価格に連動しているため、昨年秋以降の原油価格の急落で、LNG輸入価格も急落。「市場環境は日本にとって良い方向へ流れていた」(橘川武郎・東京理科大学教授)。
ところがBGがシェルに買収されることで、もともと寡占状態だった売り手の競争力がさらに増す。その結果「日本は今以上に良い市場環境は望めなくなる」(野神隆之・石油天然ガス・金属鉱物資源機構主席エコノミスト)。
余波は日本の元売り再編へ
マイナス余波はそれだけにとどまらない。鍵を握るのは、急拡大する米国産シェールガスにおける「オイルリンク志向」の強まりだ。
オイルリンクとは、原油価格と連動した価格形態で、日本のLNG輸入価格の多くはオイルリンクだ。足元では、急落していた原油価格が再び上昇に転じており、今後は連動してLNG輸入価格も上昇するとみられている。
これに対して、米国のシェールガスの大半はオイルリンクではない。だが、米国のシェールガス輸出の第1号案件の主要取引企業であるBGが、オイルリンク志向の強いシェルの傘下に入ることで、米国のLNG取引において、オイルリンクを強める可能性があると懸念されているのだ。
今後、日本が買い手となる米国のシェールガス輸出プロジェクトが動きだす。シェルによるオイルリンクの流れが米国市場で広がれば、日本の輸入価格上昇圧力になるかもしれないのだ。
「米国でのオイルリンク志向が強まれば、オイルリンク以外の契約を増やす戦略を取り輸入プロジェクトの多様化を狙っていた日本にとって逆風」(石井彰・エネルギー・環境問題研究所長)だ。
一方で、シェルはBG買収と同時に18年までに300億ドルの資産売却を検討すると発表している。
すでに、業界内では昭和シェル石油の約33%の持ち分の売却先に注目が集まっている。加えて、総合商社からは「良い売り物が出れば資源ビジネス拡大のチャンス」との声も漏れる。シェルのBG買収は決して海の向こうの話で片付けられるものではなさそうだ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 片田江康男、重石岳史)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。