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アジア自動車産業 競争的分業体制への歴史的転換(前編) 産業体制の前提条件が大きく変化(Business Journal
http://www.asyura2.com/15/hasan95/msg/509.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 4 月 20 日 07:36:05: igsppGRN/E9PQ
 

                 資料:マークラインズ公開データをもとに筆者作成


アジア自動車産業 競争的分業体制への歴史的転換(前編) 産業体制の前提条件が大きく変化
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150420-00010003-bjournal-bus_all
Business Journal 4月20日(月)6時1分配信


●はじめに
 
 東南アジア諸国連合(ASEAN)は、2015年末にASEAN経済共同体(AEC)を創設する予定である。この目標は(1)単一の市場と生産基地、(2)競争力のある経済地域、(3)公平な経済発展、(4)グローバルな経済との統合であると、07年に発表されたAEC創設に向けた実施計画「AECブループリント」で述べられている(『ASEAN経済共同体と日本』<石川幸一・助川成也・清水一史/文眞堂>より)。

 これまでの経緯を見ると、期日までに計画通りの達成をみるとはいえないが、先行するタイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポールという先行5カ国の現実などを考慮すると、ベトナムや、カンボジア、ラオス、ミャンマーなどの後発諸国も巻き込む、かなり自由度の高い経済体が出現するとみてよいだろう。

 自動車産業の国際競争力は、規模の経済に大きく依存することはよく知られている。15年末におけるAECの実現はこの地域の自動車生産の規模の経済を大きく左右する可能性があり、規模の経済を享受できない国やメーカーの劣後が生じる可能性も指摘され、そのような国やメーカーは生産からの撤退を余儀なくされるものとみられている。逆にいえば、規模の経済のメリットを発揮すべく各国、各メーカーはその生産体制を再編成していくものと考えられるのである。

 2回にわたる本連載では、規模の経済の追求による競争力の向上を目指す各メーカーにより、ASEAN域内外の生産体制がどのような質的転換をもたらすかについて展望してみたいと思う。前編では、最初に過去20年近い経過を経てタイへの生産集中が続いたこと、次いでインドネシアなどの台頭を論じ、産業体制の構造的変化が生じたことを述べる。後編では、過去長年にわたり築かれてきた、各国が補完し合って量産規模を確保する体制から、主要国が競争関係を持った生産分業体制へと転換することを述べたい。併せて競争型分業体制に移行するためには、現地2次・3次サプライヤーの技術的能力のネックが課題である点について述べたい。

●タイ集中体制の形成

 タイにおける国内販売と生産台数は、13年にそれぞれ130万台強、約250万台、14年にはやや低下したものの、それぞれ約90万台、約190万台と、依然としてASEAN内で最大級の生産規模であることはもちろん、世界でみても上位にある自動車販売国、同生産国に成長した。販売では韓国、イタリアに次ぐ世界13位(13年)、生産は世界9位の水準で、ASEAN内では自動車販売、生産において最大規模である。その結果、同国からの最大の輸出品は自動車及び同部品で、約245億ドル(14年)を世界向けに輸出し、域内(9カ国)に向けても、約65億ドル(14年)の規模を誇っている。

 タイはASEAN域内で類を見ない自動車生産国であり、域内においてその規模の経済による競争力は極めて強いといえる。これに匹敵するのは、後述する人口が最大規模のインドネシアくらいであって、乗用車生産で先行していたマレーシアでさえも太刀打ちできない。ましてや、かろうじて自動車を生産しているフィリピンやベトナムは足元にも及ばない。

●前提条件の構造的変化

 しかし、15年末AEC成立後の状況を考えてみると、タイ一国に自動車生産が集中する体制は考えにくい。その理由として第1に、タイ国内労働力不足の表面化である。これは成功ゆえの問題の発生といえよう。第2に、域内の巨大生産国、インドネシアの台頭の可能性である。

 成功ゆえの問題として、タイ国内の労働力不足が深刻化している。成長著しいアジア新興国一般では、失業率は概して4-6%の水準であるが、タイは実に0.73%となっており、実質的な完全雇用状態といえる。そのため労賃が高騰しており、賃金の国際比較を見ると、バンコクの一般工レベルでジャカルタやバンガロールの2倍、ヤンゴン、ビエンチャンの3倍から5倍に跳ね上がっている。さらに仮に高い賃金を払っても、なお労働力が集まらない状況が現実のものとなっている。

 このような状況を受けて、タイを「陸のASEAN」の産業ハブとする戦略として、カンボジア、ラオス、ミャンマー(CLM)を含めた生産分業体制の構想が急がれている。CLMへの労働集約産業、労働集約工程の移管を進める動きも表面化している。ただし、これとても課題が大きいといわざるを得ない。国境地帯にはインフラはおろか、人口集積もなく、生産の諸条件が短期的には整わないことである。長い目で見れば、国境地帯にとどまらず、CLM各国への生産移管の流れは間違いなく進むと思われるが、調整、実現のためには時間を要するものと考えられる。

 さらに加えて、新たにタイ以外の生産国の台頭にも注目しなければならない。短中期的にフィリピンやマレーシア、さらにはベトナムが自動車生産規模を拡大する条件は整わないであろう。これらの国々は、むしろ再編の中で生産規模は縮小していく可能性すらある。

 これとは反対に、実はこれまでインドネシアの販売の伸びがきわめて大きく、自動車生産、販売のランキングにおいても、タイの後をじわじわと追っている。13年には生産も販売も120万台に達しており、14年時点ではこれを逆転するに及んでいる。2億人を超える人口規模、そしてこの間の経済発展を背景に、自動車市場の拡大が継続している。

 さらにインドネシア政府は、タイのエコカー政策に類似したLow Cost Green Cars(LCGC)政策による免税措置により、低価格車の普及を図っており、自動車メーカー各社は当該規格の乗用車開発を競うだけでなく、生産設備の投資を急いでいるため、早晩、自動車生産200万台の体制が出来上がることが予想される(ちなみに、14年に成立したジョコ・ウィ新大統領政権は必ずしもLCGC政策に積極的ではないともいわれている)。また、多くの自動車産業関係者は20年に自動車市場は200万台を超え、生産能力も250万台を超えることを予想している。つまり、ASEAN域内に、タイと並んで100万台以上の市場、200万台を超える生産体制の国が生まれることを多くの関係者が当然視しているのである。

(文=井上隆一郎/東京都市大学都市生活学部教授)

 

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