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実は「残業削減」を不満に思っている人もいる? Photo:yuuuu-Fotolia.com
残業削減を喜んでいる社員は実は少ない?
http://diamond.jp/articles/-/70355
2015年4月20日 高城幸司 [株式会社セレブレイン 代表取締役社長] ダイヤモンド・オンライン
残業することが美徳とされた時代は終わりました。ワークライフバランスの重要性が叫ばれる時代です。実際、残業撲滅を打ち出す企業が急激に増えつつあります。
ただ、状況に応じて残業せざるを得ない状況が避けられない職場も少なくありません。しかも、今でも残業することで自分の評価が上がる、だから残業を厭わないと考える人が意外と多いのです。でも、それは本当なのでしょうか?
今回は、ブラック企業問題も含め、話題に事欠かない残業問題について考えてみましょう。
■「残業はするな」という上司 「残業しないと無理」という部下
「早く帰れよ!残業は2時間以内にするように」
こう部下たちに声をかけたのは、システム開発系企業に勤務している管理職のHさん。取引先との打ち合わせで、残業する部下たちより早めに会社を出るので、一言声をかけたのでしょう。
ちなみにこの会社では、月30時間までの残業代は給与に定額で含まれる形で支給されています。つまり、給与の範囲では1日2時間も残業ができないはず。ということは定額を超える残業を上司が容認している状況と言えます。
上司の声がけに対して部下たちは、「わかりました」と返事はするものの、
「この状況で残業するなというのが無理。状況がわからない上司の下にいると頭が痛いなあ……」
と嘆く声が後から聞こえてきました。ちなみに、この会社では受注額が昨年の1.5倍以上に急増。経営陣は「アベノミクスに便乗して急成長のカーブを描こう!」と強気の事業計画を立てているので、それでも予算と比べるとトントンという状況です。ただ、そんな強気の予算が組まれているのに対して、社員数は横ばい。もちろん会社側がサボっているわけではありません。社員を採用したくても応募が少ない状態なのです。人事部曰く、
「システム開発会社は不人気で採用に苦戦中。当分は現有勢力で頑張ってほしい」
という状況で、現場は無理を強いられています。現場では外注率を増やして、業務負担を下げるべく努力はしているものの、経営陣は「利益率を下げないこと」と厳しい(ありえない)指示をしてくるので、現場の負担は相当重くなってきました。
「だったら、(遅くまで仕事)できる奴が時間を気にせずにやればいい」
当方が新入社員として入社した若かりし頃であれば、徹夜も当たり前でしたが、時代は変わりました。政府はワークライフバランスの向上のため、『仕事は「時間」から「質」の社会へ』というレポートを発表。残業を減らすことを努力目標に掲げる時代です。政府が閣議決定した『「日本再興戦略」改訂2014』にも、働き過ぎ防止に向けた取り組みが盛り込まれ、国として是正に取り組む姿勢が明らかになりました。こうなると会社が残業を推奨することはできません。では、今後どうなっていくのでしょうか?
■実は残業時間は増えていた!2014年は過去最長の年間173時間に
こうした残業撲滅の機運の背景にあるのは、労働力人口の減少と言われています。労働力人口は2030年からさらに急激に減少することが予測されており、女性や高齢者、外国人を労働力として取り込むことによって減少幅を抑えたいというのが政府の本音でしょう。ところが、総務省「労働力調査」(2013年版)によると、フルタイムで働く男性雇用者の平均労働時間は週44.4時間、うち週60時間以上の人が16%を占めています。多様な労働者が働きやすい職場環境を実現するためにも、「残業は悪」と考えて、対策を考えなくてはいけないとデータは語っています。
ただ、現場では混乱が起きているのも確かです。残業撲滅と言われても、「ならば仕事は途中ですが帰社します」では会社は立ち行かなくなります。ただ、会社ぐるみで残業を強制しているとなれば、ブラック企業の烙印を押される可能性もあります。そこで、
「理屈はわかるけど、状況に応じて残業は必要。だから管理職は玉虫色なマネジメントをするしかない」
というのが実情ではないでしょうか。残業は強要しない。でも会社の業績のため、個人の評価のために仕事は最後まで責任もって頑張ってくれ(残業もある程度は容認している状態)というのが現状なのです。
結果として、残業は減るどころか増える傾向にあります。内閣府の調査でも残業時間は前年から7時間アップして年間173時間に(2014年)。これは20年前より36時間増え、統計上で最長のようです。政府のかけ声は、成果につながる気配もありません。
■未だにいた!残業するほど上司に評価されると思い込む社員たち
では、冒頭に登場したHさんの部下たちは、残業をどう考えているのでしょうか?
「残業があまりに続くのは嫌ですけど、ある程度は必要ではないでしょうか?」
と答えてくれました。世間で騒がれているほど、彼らには残業に対する嫌悪感がありませんでした。また、現在の残業時間を減らすのは無理、難しいと回答する残業肯定派も相当数いました。こうした残業肯定派のなかには、会社が夜の残業を規制しているので、早朝出勤や一部の仕事を自宅でこなす「持ち帰り残業」している人も相当いました。
余談ですが、こうした残業を「風呂敷残業」とも呼びます。こうした表現は、かつて仕事に必要な書類を風呂敷に包んで自宅に持ち帰ったことに由来しますが、最近は自宅のネット環境から会社のサーバにアクセスして仕事をする「クラウド残業」といった表現もあるようです。いずれにしても業務量が増えているにもかかわらず、「残業を減らせ」という矛盾したマネジメントによって困っている部下たちは多いのではないでしょうか?
加えて、少し驚くのは、残業肯定派が、
「長く働くことで上司に評価される」
と考える傾向が未だにあることです。過去に指導を受けてきた上司の評価基準が刷り込まれているのでしょう。当方が過去に勤務していた会社でも、以前は「遅くまで頑張っている」イコール「仕事に対する意欲が高い」として加点評価のポイントになる傾向がありました。
また、取材した専門商社では残業時間の多さと管理職への登用率は相関があるとの社内伝説が今も流布していました。おそらく、事実とは異なるのでしょうが、感覚として残業の多い社員は出世するという認識が染みついたままになっているのでしょう。
ちなみに内閣府の調査(「ワーク・ライフ・バランスに関する意識調査」)でも、「夜遅くまで残業している社員は、頑張っている」と上司がイメージしていると考える部下が多いという結果が出ています。時代が変わりつつあるのに、誤解している部下がかなりいるようなのです。
ただ、最近は残業が多いことと成果は相関していないらしいと、「残業=成果」を否定する会社が増えているのも確かです。リクルートワークス研究所の調査によると「常に残業前提で仕事の指示をする部署」より「まったく残業前提ではない部署」の業績が高いとの調査結果も出ています。さらに、残業は成果につながる独創性や発想力に必要な活動を阻む弊害になっているとの指摘もあるほどです。今後はさらに、残業は悪として一掃が叫ばれるようになることでしょう。
とはいえ、多くの職場は忙しく「雰囲気的に」断れないままダラダラと残業を受け入れる社員、さらに残業肯定派の社員が少なからずいる状況です。もしあなたが残業の減らない職場に勤務していたとしたらどうしますか?
まずは、残業は「しない」「するべきではない」とのスタンスを持って、仕事の効率化を図るべきでしょう。周囲の雰囲気に流されずに、毅然と帰る勇気が必要な時代です。上司のマネジメントスタイルによって残業時間が大きく変わることないように、自分のワークスタイルを確立したいもの。ただし、成果(パフォーマンス)を上げる意識は忘れてはいけません。「来年は今年より2割少ない時間で同じ成果を上げる」など、効率化を図る目標を掲げて、日々の仕事に取り組みましょう。
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