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開かれていない日本の株式市場
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42872
2015年04月19日(日) ドクターZ 週刊現代 :現代ビジネス
最近のIPO(株式の新規公開)で不適切な上場が相次いでいることを受け、日本取引所グループが対応策をとるべく動き出したが、遅きに失した措置である。
'13年10月上場のエナリスは、会計不正疑惑で創業社長が引責辞任。'14年3月上場のジャパンディスプレイは上場直後から業績予想を3度下方修正。'14年12月上場のgumiは上場2ヵ月半で収益見通しを営業赤字に下方修正。いずれも株価は惨憺たるものだ。
そこで、日本取引所グループが、証券会社や監査法人による審査強化に乗り出しているわけだが、そもそも日本取引所グループも審査が甘かったのではないか。
アベノミクスによる株高を追い風にして、'14年度のIPO件数は前年度より33社多い86社になった。'15年度も100社前後に達すると予想されている。
このため、証券会社ではIPO争奪競争になって審査が甘くなり、それを日本取引所グループが見過ごしていた側面は否めない。それが投資家の不信を招いた。
この際、証券会社や監査法人の尻を叩くだけではなく、日本取引所グループもできることをやったらいいのではないか。
先般の大塚家具の父娘のバトルは記憶に新しいが、上場会社なのに同族会社のような株主構成には驚いた。日本では、上場は一種のステータスを獲得するために行うことが多い。大塚家具のような同族会社は本来であれば上場しないほうがいい。
同族会社とはいわないまでも、日本では安定株主が多く、浮動株主が少ない。こうした株主構造は財務諸表にあまり重要性をおかずに、結果として浮動株主は軽視される。こうした浮動株主が少ないことも、IPOで不適切なものが多い遠因となっているのではないか。
日本の浮動株比率は、先進国の中では高いほうとはいえない。アメリカ、イギリス、スイス、オーストラリアなどの市場は、浮動株比率が9割程度もあって、開かれた市場である。
一方、中国などの新興国は、上場していても政府や関連会社が大株主となっており、浮動株比率は2〜4割程度で低い。先進国と新興国を合わせた世界の平均の浮動株比率は7割程度である。日本は先進国の中では最低ランクで、世界の平均と同じような数字ということになる。
浮動株主が少ない日本では、先進国ではまずみられない「親子上場」がある。そういえば、日本郵政の上場は、親子上場で今年最大の上場劇としてすでに話題になっているが、その裏では財務省がいろいろと旗を振っているとの噂もある。
財務省としても、高く売れるのであれば財政収入が入るので気合が入るのは理解できる。ただし、新興国のように政府が大株主になって、その特権を使って上場会社に役人を天下りさせるのでは、とても先進国のやり方とはいえない。
日本取引所グループも、浮動株基準を見直して、親子上場をさせないくらいに、株式市場を開かれたものとしてはどうだろうか。そうした開放性こそが、証券会社、監査法人、それに取引所がよりよい審査をせざるを得ない環境だろう。そして、それが東京市場を真の国際市場にする近道であると思うのだが。
『週刊現代』2015年4月25日号より』
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